第10話 母の懸念
「2人は何か妙な事態に巻き込まれたようだな」
ブリジットは思わずそうぼやかずにはいられなかった。
プリシラとエミルが入っていったという目撃情報があった
それがあった場所に行ってみると、そこはすでに
そして周囲で聞き込みをしていた
「そんなにまでして
首を
「こんな時にボルドがいてくれれば……」
彼女の夫であるボルドは
父の黒髪を受け継いだエミルは、
そして
迷子になったエミルをいとも
だがボルドは数日前から体調を
「おい……これを見てくれ」
そう言うベラは地面に片
そこには何者かが争ったような足跡が残り、さらには人のそれと
「まだ新しいぜ。お姫様がひと暴れしたんじゃないかとアタシは思うんだが、母上殿はいかがかな?」
少々おどけてそう言うベラの頭をソニアが軽く小突く。
ブリジットは地面にしゃがみ込むと、土にくっきりと刻み込まれた特徴的な
「この踏み込みの強さは間違いなくプリシラだな。あいつは自分の下半身の強さに自信を持っている。だからこうして思い切り地面を掘るように踏み込む
「で、その踏み込みの強さで誰かをぶっ飛ばして、ぶっ飛ばされたその誰かは鼻血でも噴いたってことか」
地面に残る
「どうやら何らかの
「あのプリシラを押さえ込める男がそうそういるのか?」
ソニアの問いにブリジットは
「あいつは確かに成長はめざましいが、まだ経験も浅く幼さが残る。たとえばエミルを人質に取られたりしたら、どうしていいか分からなくなるかもしれん。とにかく情報集めだ。
そう言うとブリジットは周囲で待機する
「これだけの人数では情報収集も骨が折れるな。娘たちのことで迷惑をかけるが皆、急いで事に当たってくれ。ベラ、ソニア、悪いが頼む」
そう言うブリジットにベラとソニアは神妙な
☆☆☆☆☆☆
馬車の
しかし自分があのビバルデの街からどの方角に連れて来られたのかが分からない。
プリシラは頭の中で大陸の地図を思い描く。
だが、方角と移動時間が分からない以上、自分たちの現在地は分からない。
先ほど、同乗している女たちにこの馬車の向かう先を
気力のない彼女たちと話していると、自分まで弱気になりそうだったので、プリシラはとにかく頭の中でこの先の自分の行動をいくつもの選択肢に分けて思い描く。
(この馬車から降ろされる瞬間を
プリシラは内心の
父のボルドが言っていた。
状況が悪い中では
プリシラは父の顔を思い浮かべながらいくつもの考えを
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