第7話 DAMIA
「666」
獣の数字(けもののすうじ)は、『新約聖書』の『ヨハネの黙示録』に記述されている。以下に引用すると、「ここに知恵が必要である。賢い人は、獣の数字にどのような意味があるかを考えるがよい。数字は人間を指している。そして、数字は六百六十六である。」(13章18節)__聖書からの引用__
昔の映画で観た「オーメン」に出てくる悪魔の数字。
「666」
何故かは分からない。
私はこの数字が好き。
だから私は自分に「DAMIA」 と名付けた。
「オーメン」に出てくる「ダミアン」から取ったこの名前が好き。
「DAMIA」だけだと私が女だなんて気付かれないから。
でも、性別なんてどうだっていい・・・。
だからこそ、この名前は私には意味がある。
「666」「ダミアン」___悪魔の数字として・・・。
私は・・まだまだ眠れる悪魔だから・・・。
_____________
私の今の住処(すみか)。
横浜のみなとみらい地区から少し離れた所にある中華街の外れの
ぼろぼろの家、というよりは隠れ家。
韓国映画によく出てくるような半地下のような場所で生活している。
周りから見ると人気がなさそうなその場所は今の私には最適な場所だ。
入り口も外からだと何処にあるのか全くわからない。
数軒先の中華屋さんの勝手口から入り、店の奥まで進んで厨房に突き当たった所に隠れ扉がある。その扉が「住処」への入り口。
そこに入るにも隠れ扉の正面にぶら下がっている古びた鏡に組み込まれている「アイセンサー」を使って私の目で解除をしないと入れない為、そこが入り口だとは誰にも全く気付かれない。万が一他人が鏡を覗き込んだとしても、ただの鏡としての役割しかなく、ロック解除とはならないから安心だ。
勿論、その中華屋さんもダミーで今は潰れているようにしか見えない程汚い。
外壁は薄汚れ、所々貼り付けてあるタイルが剥がれ落ち、正面のシャッターは少し斜めの状態で下まできちんと閉じていない状態だ。
まるで中国の幽霊屋敷。
まさかその中に人が住んでいるなんて誰も思わないだろう。
_____________
中に入ると外観からはまるで想像もつかないような構造。
ありとあらゆる機器が部屋中を一つの要塞のようにしている。
まるでロボットのコックピットの中にいるような雰囲気。
そして至る所に政府からのネットワーク通信を遮断する防御網を敷いており、簡単には外部からここの電波は拾えない仕組みだ。
私から連絡する場合は簡単だが、誰かが私にコンタクトを取ろうとする場合は、常に切り替わる私からの通信パスコードを入力しないと外部の人も通信出来ない様になっている。それだけ私との接触は難しい。
逆にそこまでしないと政府には太刀打ち出来ない。
___そんな私の目的は政府崩落_____
今までも、他の仲間と共に政府のネットワークを何度か破壊しようと試みたが全て防御網を途中まで突破している最中に気付かれ失敗に終わっている。
表立って行動してくれた仲間達はことごとく粛清により「排除」されこの世を去った。
その肉の塊を弔う事も出来ず、頭を無くした体が「人体特殊清掃部隊」により吸い上げられるのを傍から見るだけのサヨナラしか出来ずにいた。
そんな仲間達の想いを私はずっと抱きながら毎日を過ごしている。
ただ悲しいか?と問われればそんな感情もない。もちろん涙なんかも流す事はない。
何故なら・・・私も死への恐れはないから。
「この肉体と共に政府滅ぶなら、それ又本望なり」
_________________
運良く、ここまでの戦いで、仲間と通信のやり取りをしていても私だけはいまだ政府に正体がバレる事なく生き延びる事が出来ている。
自分で作った防御壁はやはり完璧だと我ながら感心する。
私の主な役割は、皆の侵入サポートに徹してこの場所でより綿密で詳細な侵入経路を探し続ける事。ただ完全突破するとなると、仲間達各々の能力もかなり長けていないと出来ないからかなり難しい。
___私の能力は絶対に「AI」には負けていない。
なぜなら私は悪魔の力を持つ女。
だから私と同等、あるいはそれ以上の仲間を見付けなければ___
私の悪魔の心と杯を交わす者はいないか・・・。
_____
しかし、政府に気付かれ始めた私達には時間があまり無いかもしれない。
政府が私達の動きに敏感になり始めた。
そして、どうやら政府は私達の事を「虫」と呼んでるらしい。
踏み潰しても踏み潰しても何処からともなくまた出現する虫・・・。
でも残念ながら私は政府の思うようなただの「虫」ではない
「虫」は「虫」でもゴキブリのように永遠に生き続ける。
強い生命力で政府を叩き潰してみせる・・・。
あなた達が行っている以上の「仕返し」を見せてやろう・・・。
それが私が生まれてきた意味なのだから・・・。
そう私は「DAMIA」
悪魔の子・・・。
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