第14話 デート
樹
「いいいいい、いつき!!!へ、返事帰ってきたァ!」
携帯落とすんじゃないかってほど焦って、お前は正真正銘のウブウブな陰キャだよって笑った。
「いつきぃ~~~……へへ笑」
「……きも、笑」
バイト帰りのご飯は上手くいったらしく、いつものナヨナヨしい顔がもっとだらしのない顔になっていた。
そこから距離はぐっと縮まっていき、休日に水族館にいくことになった。
前日の夜、電話がかかってきて
「ね、水族館って何着ていけばいいの?」
「いや、知らねぇよ、笑」
「下ってデニム…?それとも…チノパン的な…?服は…長袖がいいかな……半袖で上着……?」
「それは個人の温度感だろうよ!笑」
あん時はほんと楽しかったよな、笑
「魚たちが目がチカチカしないような格好にしとけよ?」
「え、そんなに見えてんの!?」
「しらねぇよ笑」
「なんだよーー、笑 まぁでも魚に迷惑かけると困るし、黒シャツ黒パンで行くか。」
「お前、水族館って暗いって知ってるか?せめて白で行け、」
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
そして迎えた当日。
朝はうるさいのなんの、車で家まで迎えに行ったんだけど、早く行きすぎてコンビニで1時間時間を潰さなきゃ行けないって電話かかってきたんだった。
おい、俺だって貴重な休みなんだ、朝からメールの通知音、ピコピコさせられて溜まったもんじゃねぇ。
「どうしよ…俺もう今日は告れないよ……」
「大丈夫だって!!自信もっていけ!」
……俺は飛んだお人好しなのかもしれないな。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
そして夜ご飯食べたあと夜景を見ながら告白する王道パターンを何日もかけてて考え尽くしたのにも関わらず、
16時頃に陸から電話がかかってきた。
「……え?」
頭をよぎるのは…………失敗パターン……?
いやいや、まてまて。
「……樹の話してたらさ、ひなちゃんが話して見たいっていうからさぁ~~~」
……とか?
………………いやいやいや…。あんなクソ陰キャがそんな応用行動は取れないはずだ。
考えたマニュアルにそって一日を終わらせることが精一杯あいつに出来ること。
おっと、考えすぎて電話が切れるところだった。
俺は通話ボタンを押して携帯を耳に当てた。
「もしもし?どうした?」
「……いつき……」
嗚呼、神よ、これは失敗パターンだ。
よし慰める言葉をいくつも考えよう。
「……どうした…?だめだったか…?」
俺は俺に出来る最大限の優しい声色を使った。
「……いや……」
いや……?
「……ひなちゃん……倒れちゃって……」
………………ん?…………ん!?
「え?……倒れたって、、救急車は!?」
「呼んで……病院に運ばれて……俺……乗ってきて今病院にいるんだ……。」
「わかった、俺がすぐ行く、何病院だ、教えろ」
俺は直ぐに近くにあったシワシワのTシャツを着て走って車に乗りこみ、
夏の暑さ到来を感じさせるような暑さの中に突き進んで行った。
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