神でないと勘違いされた

俺は地上に来てあるところを目指して歩いていた。そこはどこか。そう、家電と言えばなのかは知らないがとりあえず飛んだ場所から一番近かったところ。ビッグ〇メラだ。そしてここは神様専用の場所も兼ね備えている店舗だ。あの秘書的立場っぽい人に聞いたら普通に教えてくれた。


「確か入り口近くの眼鏡をかけている人だっけ」


俺はあたりを見渡しそれっぽい人を見つけて声をかける。


「すみません。オリンポスってどこですか」

「すみませんこちらにお越しください」


俺はスタッフオンリーな場所に連れ出される。


「え、スタッフオンリーの場所にあるの?」

「ここでいいかな。そこのお前。悪いことは言わない。どこからその情報を知った」

「聞いたら教えてくれた」

「そいつの名は?」

「知らない」

「はあ。とりあえず帰れ」

「なんで?」

「お前は神のリストの中にいない。つまりお前は神じゃないんだよ」

「いや自分今日から神になったんで」

「は? ちょっとまて今確認する」


店員さんは部屋に入っていった。少しして戻って来た。なんかこの世の絶望みたいな顔してる。


「もも申し訳ございませんでした!」

「そういう謝罪より案内してください」

「はいただいま!」


俺は丁寧に案内された。それこそ店員さんが後輩であろう人物を「どけ! 頼むからどういてくれ」なんていうくらいには。


「こちらが神専用のスペースとなっております」

「そっか。じゃあもう案内とかいいよ。自分で探す」

「いえお供させてください」

「休憩したほうがいいよ。ちょっと体調悪そうに見えるし」

「ではありがたく休憩を取らせてもらいます」


俺は一人で神専用のスペースをほっつき歩く。今回買いに来たものはテレビ。Wi-fi。(つながるかわからない)パソコン(ゲーミング一式)。冷蔵庫。とまあいろいろだ。もっと結論から話せば堕落した生活を過ごしたい。


「ええと毎月1000万までか。神様のお金ってどこから出てるんだろう。...パソコンはよく見ないとな」


と、1時間ほどかけて家電やらなんやらを買いそろえた。持ち運び? その場で神の世界にGo! しといた。でもまだ足りない。まだ。


そう! ゲームだ! というわけで今からゲーム機とそのカセットとか、プリペイドカードとかを買っていきます。周りから不審な目で見られてもいいようにさらに変身する。イメージはあれよ。あの子供にねだられて仕方なく買ってしまうタイプの父親。


「!? こちらすべてお買い上げですか?」

「はい」

「お支払いは?」

「カードで」


さっきカード渡されてた。こっちの方が楽。わざわざスマホとか取り出さなくていい。というよりキャッシュレスからカードレスの流れになるまで数年もなかった気がする。どうでもいい話だ。


「ふう。これぐらいかえばいいかな」


その買い物袋の中には俺が人間だった時やりこんでいたゲームややってみたかったゲームなどが詰め込まれていた。あ、中古ショップ行って中古のゲーム買おう。


「おかえりな...おかえり」

「わざわざ言い直すとこ徹底してるね。ただいま」

「あの、この大量の箱は一体?」

「なぁにただの家電だよ」

「へ?」


その日、代償の神が暮らす空間に大きな変化があった。これまで何もないような空間であったそこは変わり果て人間の作ったものがあふれた。


「これでいいかな。なんもない空間を魔改造完了!」

「な、なんということでしょう。これまで何もなかった空間に大量の家電が配置されているではありませんか」

「ビフォーア〇ター見たことある?」

「い、いえそんなことは! 別に先代がいない間にひそかに見てたわけじゃ」

「オーケーオーケー君のその弁明は聞き届けた。見たことがないってことにしとく」


その...何て名前だ? そういえば聞き忘れてた。


「名前なんて言うんだっけ?」

「おや言ってませんでした? 私はセリヌンティウスですよ」

「石工!? 君友人にメロスとか言う人物はいない? というより敬語に戻っちゃってる。...まあ個人の自由だしいいや。敬語でもなんでもお使いください」

「メロスという友人ですか。いませんね。ですがメルスとディオニクスという友人ならいますよ」

「ワザとだろ。その名前」

「? 何の事ですか?」

「いやいいよ」


まさかその名前を中学校にも言ってないに聞かされる羽目になるとは。ちくしょう神になっても国語に囚われ続けるのか俺は。(昔から国語ができなかった人)


「ねえ。セリヌンティウス...セウス。お前って人間のやってる配信ってやつ興味ある?」

「ありませんけど...まさかやるおつもりで?」

「そのまさか。俺一回でいいからやってみたかったんだよね」

「...神とかは明言するのですか?」

「それはケースバイケースだよ」

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