少年型の夢

 部屋に絵を飾っている。額縁にも入れず、キャンバスのままむき出しで。おそらく油絵具で描かれたもので、描き手は当時やっと歳が二桁となったくらいの少年だった。彼はキラキラした目で、とある楽器を学ぶために留学がしたい。そのための資金をこうして絵を売って稼ぐのだと言っていた。

 わたしには彼の夢が叶ったかどうか知る由もない。あるマルシェで出会った、少年の型に夢を詰め込んだ存在。今でも少し羨ましい。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

「みじかいことのは」ちょいと詰めて 弥栄井もずま @mozma_13

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ