第8話 決着
かざそうとした左腕が肘から先で切断され、鮮血を撒き散らしながら綺麗に宙を舞う。
そこから先はスローモーションのように非現実的にも感じる。
第三の矢がアイゴノックスから放たれようとしている。
振り上げられた
スローモーションのような世界で、俺の右腕はようやく追いつき、敵に向かってかざせる。
即座に念じる。
『無』
一部残った
間髪入れずに奥で隠れているメディラスの元へと向かう。
無数の触手が先程まで生きていたアイゴノックスの方向へと向けられている。
やはり、この様子からこいつがアイゴノックスを操っていたのだと悟る。
『無』
メディラス方もまた、全身跡形もなく消え去った。
左腕を見ると、血が勢いよく噴き出している。
急いで切断された左腕を拾いにいく。
『レベルが1005から1006へ上がりました』
レベルアップ通知がされるがそれどころではない。
アドレナリンが出まくっているのか、痛みは不思議とそこまで感じない。
左腕を切断面につける。流石に苦痛で顔が歪む。
綺麗に斬り落とされているのがせめてもの救いだった。
「
切断面が温かな光に包まれる。
しばらく光の粒子が左腕を包んだ後、その光の粒子は少しずつ消えていく。
すべての光の粒子が消えた後に、傷口などは1つも残らず綺麗に完治しているように見える。
恐る恐る、左手をぐーぱーしてみる。問題なくできる。
「はー、よかったー」
安堵のため息を吐いた後に、アイゴノックスが座っていた座席に座り込む。
『レベルが1011から1012へ上がりました』
『レベルが1012から1013へ上がりました』
ちょうどその時、レベルアップ通知が終わったようだった。
ようやく落ち着いて、先程の戦いを振り返られる。
絶命したはずのアイゴノックス攻撃してきたのはなんだったんだろう。
それに死んだ後の方が攻撃は早かった。いや、早すぎた。
アイゴノックスにおかしい点は……ない。ならメデュラスか?
「あった! こいつだ」
この魔法は、戦場に倒れた味方を一時的に蘇らせ、彼らを操ることができる。
操った味方は通常時よりも1.5倍の力を持ち、敵に対して圧倒的な攻撃を仕掛けることができる。
「なんだよそれ」
思わず声が出る。
通常時よりも1.5倍ってじゃあ、1500レベ相当ってことじゃん。
そりゃ躱せないよ。
冷や汗が出てくる。
一歩間違えると死んでいた。
手をかざす。この単純でかつ、直ぐにできる動作よりも更に早いスピードで攻撃されたら、敵を無に帰す前、やられるということだ。
今回の戦いでよくわかった。
座席から立ち上がる。
部屋の奥に更に扉があった。
俺は慎重に扉を開き、更にダンジョンの奥へと進む。
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