Part3

年末年始になり私は田中くんからきた一件のメッセージにワクワクしていた。

[今年の年越し、一緒にしませんか]

私はその文字を見てスマホを落としてしまうくらい動揺して、嬉しかった。


そんな様子の私を横で見ていたユナは

「なーに??デートにでも誘われたの~??」

とニヤニヤしながら言ってきた。

私はうるさい!!と笑いながら叫んだ。


年越しの時、

田中くんはなんだかとても大人に見えた。

まるで今までのが子供だったかのようにクリスマスの出来事から大人になってしまったな〜と思う。

「来年も、その先もずっと一緒にいられますように。」

田中くんがそう言いながら笑顔を見せた。

私は、頷きながら田中くんの手を握った。



桜が舞う春の季節になった頃、私は田中くんと2人で並木道を歩いていた。

田中くんもクリスマスの一件から一気に私にいろんな表情を見せてくれるようになったと思う。


恋人になれなくったっていい。

一番側にいられる存在であれば私は幸せなんだと思っていた。


2人で信号機の前の横断歩道に並んだ。

信号は赤信号だ。


「ねぇ、田中くんはまだハルが見えるの??」

そう聞くと田中くんは少し寂しそうな顔をしながら、

「あのクリスマスの夜からハルはいなくなってしまったよ。

本当に遠いところへ行ってしまったんだ。」

と、言った。

「大丈夫、ハルはどこにも行ってないよ。田中くんの側にずっといるから。」

私はそう言って頭を撫でた。


信号が青になった。


2人は歩き出した手を繋いで一歩一歩、未来へと過去から逃れて進むように歩いていった。


私は小鳥の声が後ろの方から聞こえたので、少し立ち止まり横を見た。

すると、大きな音をたて車が私の目の前にいた。


そして次の瞬間には高く空を飛び、地面に体を叩きつけられた。


視界が赤く染まり始め、繋いでいた手は赤く染まっていた。


「猫月さん!!」


叫ぶ、田中くんの声が聞こえる。

でも体は動かない。

私は、手をできる限り伸ばし、

精一杯の声で言った。

「田中くん...愛してる」

次の瞬間、目の前が真っ暗になった。


遠くなる意識の中でさっきまで感じていたのと同じ手の温もりが伸ばした手を包み込む。

「猫月さん。君まで俺をおいていかないで...。お願い死なないで...

必ず助けるから。」

そう言われた気がする。


そして意識は完全になくなった。


次に目が覚めた時、私はベットの上だった。


でも困ったことにお医者さんに何を聞かれても、

自分が誰でどんな人生を歩んできたのかがわからない。


いろんな景色が記憶の中に出てくるけど、どの人物もバラバラでわからない。


お医者さんたちがいなくなった後、病室に1人の男の子がきた。

男の子は引きこもりでもしていたかのようにボサボサの髪、死んだような目、匂いのする服をきて今にも倒れそうな様子だった。


「猫月さん。大丈夫??...じゃないよね。俺が側にいたのに守れなくてごめん。

でも無事で本当によかった。」

私はそう言われ困惑しながら、

「猫月?それは誰?そして君は誰?」

その男の子は寂しそうな顔をして、次の瞬間精一杯の作り笑いをして

「君の名前だよ、"猫月ハル"。そして僕は君の彼氏だよ。」


私はそれをききすごく心があったかくなった。

そうだ、私はハルなんだ。猫月ハル。

そしてこの人は田中くん。私の彼氏。


思い出した。

全ての記憶と感情がつながったような気がした。


私には大好きな人がいて、その人が彼氏なんだ。

私は幸せだ。


「アイシテル」


私は泣きながら満面の笑みでその男の子に告白した。


風に吹かれて病室の生花の花びらが散った。


その様子を病室の入り口から盗み見して、

「だから忠告したんだよ、ユメ。

でもこれで君は幸せなんだね。

さようなら、私の愛する人...。」

そう言いながら、去っていく1人の少女がいた。


本編:end

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未来予知少女:猫月ユメの恋は終わらない 希咲 ルナ @kisaki_ln

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