※ 第5話 罰


「ごちそうさまでした」


「お、お粗末さまでしたっ」



私は食器を下げようとして……



「ひな子」


「は、はい⁉︎」



高嶺様に呼び止められた。



「な、なんでしょうか……⁉︎」


「テーブルに両手を着きなさい」


「え……」 


「早く」


「は、はいっ!」



言われた通りに手をテーブルに着いた。

自然とお尻を突き出す姿勢になってしまう。



「ふふ……」


「ひゃんっ⁉︎」



高嶺様が私のお尻をスパンと叩いた。



「良い音ですね?」


「は、はいぃ……」



どうしていきなりお尻なんか……っ!

 


「もう一度」


「んひっ⁉︎」



今度はパシンッ!という大きな音を立ててお尻を叩かれた。

ジンジン痛みが走って声が出ちゃう……っ



「良い声ですよひな子」


「あ、ありがとうございましゅぅ……」


「勝ち逃げが癪だったのでお仕置きしましたが……存外楽しいものですね」


「んひゃあっ⁉︎」

 


また叩かれた。

しかも今度は連続で……っ!

 


「うふふ……あははっ!」


「ああっ!」



高嶺様の気が済むまでお尻を叩かれて解放された時にはもう涙とヨダレで顔がグチャグチャだった。

こんな歳でお尻をペンペンされるなんて……っ!



「あぁ、スッキリしました……」


「ぐすっ……」 


「それでは私は準備をして学校に行ってきます。

ひな子は普段通りの業務をこなしてください」


「は、はいぃ……」



その後、制服に着替えた高嶺様は学校へ。

私も服を着てから朝食を摂って家事をこなした。



「お洗濯と掃除は終わり。あとはお買い物だけど、隠せるかなぁ……」



全身に付けられたキスマーク。

夏だけどカーディガンを着て行けば何とかなるかな?

首輪も隠さなきゃだから大変だ。



※※※※※



あれから買い物や夕食の仕込み、体型維持の為のトレーニングをこなして時刻は夕方。

昨日より早く高嶺様が帰って来た。

何か紙袋を抱えてる……?



「お帰りなさいませ、高嶺様」


「ただいま。ひな子、貴女にご褒美ですよ」


「え?」



そう言って紙袋の中から取り出したのは……メイド服⁉︎ なんで⁉︎



「こ、これは……?」


「ご褒美、と言ったでしょう?」


「で、でも私26ですし……」


「口答えですか?」


「い、いえ……っ」


「まぁ、今日は時間も時間ですし着なくて良いです。どうせすぐ脱ぐ事になりますし」


「え……?」


「今日も抱きます。お風呂に入ったら私の部屋に来なさい」


「わ、分かりました……」



※※※※※



食事と入浴を終えて昨日と同じくバスローブ姿で高嶺様の私室に入る。

高嶺様はベッドの上で本を読んでいた。



「お邪魔します……」


「宜しい」



本をサイドテーブルに置いて手招きする高嶺様。

おずおずとベッドに近付くとバスローブを脱がされて全裸にされる。

そしてベッド下のケースから束ねられたロープを取り出し、丁寧に解していく。



「た、高嶺様……それは……」


「麻縄ですよ。これでひな子を縛ります」


「何故、ですか……?」


「昨日貴女が私を抑え込んで無理矢理犯したからです。

どちらが主人かをしっかりと躾なければ」


「ごめんなさい! も、もうしませんから許してください……!」


「手を後ろで組みなさい」


「た、高嶺様……」


「二度は言いませんよ」


「……っ」



怖くて、不安で、涙目になりながらも手を後ろに組んで高嶺様に背中を向ける。

私の手首を手早く縛り終えた高嶺様は慣れた手つきで体の方も縛り上げていく。

胸を強調するように上下に縄を回して、脇の下に短い縄を通して胸上を回る縄をキュッと絞る、

そして最後に踵と太ももがくっつく程キツく足を畳まれてグルグル巻きで縛られた。



「ぅ……くぅ……っ」



おまけに足の縄は背中の縄に結ばれて閉じれなくなる。

所謂M字開脚で縛られて、もう私の身体の自由は無い。



「やぁ…っ、こんな格好嫌です……!」


「好きなだけ嫌がりなさい。どうせもう抵抗出来ないのですから」


「高嶺様……あぁっ」



この日、私は身を持って知った。

高嶺様は怒ったら本当に容赦が無い事。

そして、快楽も過ぎれば苦痛になるということを。



※※※※※



「ん……今何時?」



スマホを手に取って確認するとまだ3時。って言うかコレ高嶺様のスマホだ。



「ん〜……」


「あっ……ふふ」



私の腕枕で眠る高嶺様。

行為の後に縄を解かれてそのまま就寝。

いつの間にか腕枕の体勢になってる。

普段は近寄り難いオーラがあるけど、こうして見ると本当に可愛い。

嫌がり、泣き喚き、懇願する私をメチャクチャに責めたてた人とは思えない。



「……みさきさん」



……みさき? 人の名前なのかな?

 


「高嶺様」



試しに名前を呼んでみる。



「ん……すー、すー……」



起きる気配は無い。多分寝言かな?



「みさきさん、ですか?」



もしかして好きな人の名前だろうか? もしそうだったらなんか嫌……いや、別に奴隷の私が気にかける事でも無いんだけど。

それでも、拷問じみた快楽地獄であっても私を抱いた人だ。

別の人の名前を言われるとモヤモヤするのは仕方ない、と思う。



「ん……? あぁ、ひな子ですか……」


「お目覚めになられましたか?」


「えぇ……今何時ですか?」


「3時です」


「まだ寝れるじゃないですか……もう少しだけ休みましょう。おやすみなさい」



そう言って私の胸に顔を埋める高嶺様。

言うべきでは無い事は分かってる。 あぁ、だけど……

 


「高嶺様」


「なんですか?」


「……みさきさん、って誰ですか?」


「……」



沈黙。聞くべきでは無かったと思うけど、どうしても気になってしまう。



「……今日のひな子は淫乱でスケベで責め甲斐があったので気分が良いです。なので特別に教えてあげます」


「は、はい……」



理由はともかく話してくれるみたい。


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