※ 第4話 初めての夜伽

お風呂で念入りに身体を洗い、慣れないバスローブを身に纏って高嶺さんの部屋をノックしてノブを捻る。


「どうぞ」


「お、お邪魔します……」



高嶺さんの寝室は凄い豪華だった。

広いベッドと大きなテレビにオシャレなテーブル……他にも調度品がいっぱいあったけどもう数え切れない。

そんな部屋の中央で高嶺さんは高そうな椅子に座って本を読んでいた。

お風呂上がりだからか凄く良い匂いがする……!



「こちらへ来なさい」



椅子から立ち上がった高嶺さんがベッドの側に立って私を誘う。

高嶺さんの前に立つと、バスローブの紐をシュルリと解かれた。



「ぁ……」


「ふふ……良い身体ですよ。この体型を維持しなさい」



バスローブがはだけ、私の身体が高嶺さんの前に晒される。

恥ずかしくて咄嗟に隠すと両手を掴まれ無理矢理開かされた。



「奴隷の分際で主人に隠し事ですか?」


「……っ、ごめんなさい……」


「服従のポーズ」


「はい……っ」



両手を頭の後ろで組んだ服従のポーズを取ると高嶺さんが私の身体に触れながら周りを歩く。



「クス……立っていますね。寒いんですか? それとも期待しているのですか?」


「わ、分かりませんっ」


「ふふ、まぁ良いでしょう」



そう言うと高嶺さんは私の手を引いて優しくベッドに寝かされる。

高嶺さんも自分のバスローブの紐を解いて裸になると、私のお腹に馬乗りになった。


白い肌、肉付きの薄い身体。本当にヤクザなのか疑わしいとすら思う。

儚さを感じる程の美しい肢体に思わず見とれてしまう。

あぁ、だけど……あの眼は“捕食者“だ。

絶対的な支配者の眼だ。



「ひな子、私はこれから貴女を抱きます」


「……はい」


「私は貴女を奴隷として扱います。

愛でる事も甘やかす事もありません。ただ欲望のままに貴女を抱きます」


「はい……」


「宜しい。今後、私の事は高嶺様と呼びなさい」


「はいっ……」



高嶺さん……高嶺様の端正な顔が近付いて……私の首筋に吸い付いた。



「んん……っ!」


「ん……良い声ですね」



私の両手首を掴み、ベッドに抑えつけながら首筋から鎖骨に掛けて吸い付いてくる高嶺様。

ゾクゾクと身体の芯が震える感覚に頭がクラクラする……!



「高嶺様……ぁっ」


「ふふふ、敏感ですね?」


「わ、分かりません……っ」


「おや、人に抱かれるのは初めてでも無いでしょうに」


「お、女の子にされるのは初めてです……っ」


「そうですか。では、女同士の快楽というものを教えてあげましょう」


「あっ……」



高嶺様は首から鎖骨、胸、脇腹とキスの雨を降らしながらどんどん下に下がっていく。

そして……



「んぅっ!」



わたしのあたまが、スパークした……




※※※※※



「んんっ、喉痛っ…‥」



翌朝。目を覚ますと私の隣で高嶺様がスヤスヤ眠っていた。

昨日のアレは夢じゃ無かったんだ……


自分の身体を見下ろすと、全身の至る所にキスマーク。

今まで人並みに付き合って来た事はあったけど、ここまで情熱的に愛された事は一度も無かった。



「ん……ひなこ……」


「あ、高嶺様……」



凄んでる時は怖いけど、今は年相応に幼く感じる。



「お、おはようございます! お身体痛くないですか⁉︎」


「……痛いですよ。よくもやってくれましたね?」


「ひぃっ⁉︎」



実は……昨夜散々抱かれた後、昂ってしまってつい高嶺様を押し倒してしまった。

しかも非力で簡単に抑え込めてしまって……キッと睨みながらも抵抗出来ずに嬌声を上げる高嶺様を見て、その……止まらなくなってしまった。

 


「奴隷の分際で主人に楯突くとは良い度胸ですね。褒めはしませんが」


「ご、ごめんなさいっ! どうか借金を増やすのだけはお許しください……っ!」


「今後の働き次第ですね。取り敢えず朝の仕事を始めなさい」


「はいっ! 朝食を作って参ります!」

 


急いでリビングに向かう。

流石に裸ではあれなのでエプロンを付ける。



「よいしょ」



朝起きたらまず窓を開け、外の空気を取り入れる。

次にお米を研いで炊飯器にセット。

今日のおかずはベーコンエッグ。

油を敷いてフライパンで熱する間にお味噌汁の具材をお鍋に入れて煮立たせる。今日は大根のお味噌汁。



「おはようございます。さっきぶりですね」


「あ、おはようございます高嶺様!」



時間になったのか匂い気付いたのか……高嶺様が起きて来た。

服装は素っ裸にバスローブのみ。ちらちら見えてしまって目の行き場に困る。



「裸エプロンとは中々ですね」


「た、高嶺様のお部屋に私の服が無かったので……」


「構いませんよ」



そう言って食卓に付く高嶺様。

急いでご飯をよそってお味噌汁とベーコンエッグもテーブルに並べる。



「美味しそうですね」


「あ、ありがとうございますっ」



高嶺様は両手を合わせていただきますをして朝ご飯に着手する。

裸エプロンを指摘された私はその間後ろで終始下を向きっぱなしだ……

食事中に着替えに行って怒られたら嫌だからただ待っているしかない。

 

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