第4話 姉と弟もしくは兄と妹?

☆住山楓(すみやまかえで)サイド☆


私はムカついた!

何故なら徹が無視するからだ。

一体何を隠しているのか知らないけど。

思いながら私はムッとしながらスマホを観る。

そりゃ確かに私が悪いけど。


でもその。

徹にそれだけ構ってほしい。

だって徹は私の弟の様なものだしね。

家族みたいなものだから。


「で?どうだったの?」


教室にて。

陽子がニヤニヤしながら私を見てくる。

そんな陽子に私は弟が居ると説明はしている。

だがこうしてニヤニヤされると別の意図が汲み取れてしまう。

私は「無いからね」と陽子に説明する。


「私はそんな感情は無いよ」

「えー?怪しいけどなー」

「弟にそんな感情抱いたらヤバいでしょ!」

「でも血が繋がってないでしょ」

「ま、まあそうだけど!」

「じゃあ別の意図も考えられるなぁ」


陽子はニヤニヤをずっとする。

私はその姿に赤面する。

全く陽子ったら。

そう考えながら私は陽子を見る。

だけどこうして陽子は揶揄うが私達の関係を重視してくれている。


「陽子。過去の事が忘れられないからそんな感じで接してくれているんだよね?」

「それは無いけどね。家族は大切って思っているだけ」

「...」


陽子は実は家族が居ない。

つまりは捨てられたのである。

聞いた限りでは児童養護施設で育ったと聞く。

だけど陽子はいつもニコニコしている。

何故なのかを一度聞いた事があるが。


『私が笑顔で居ないとみんなが笑顔にならない』


と答えが返ってきた。

私は驚愕しながらその言葉を受けていた。

強い子なんだな。

それは私にとっては彼女に付いて行く事を決めた瞬間だった。


「陽子は強いね。意思の表現もはっきりしているしね」

「またまたそんな。私はいつも通りだよ。あはは」

「...ねえ。陽子」

「ん?」

「弟とこれからも仲良く付き合って行くにはどうしたら良いかな」

「互いの意思の尊重、かな。これは大事だよ」


陽子はそう言いながら笑顔を浮かべる。

するとチャイムが鳴った。

それから陽子は席に戻って行く。

「また後でね!」と言いながらだ。


私はそんな姿を見ながら手を振る。

それから見送った。

そして私は窓から外を見る。

よし、と思った。


☆神嶋徹(こうしまとおる)サイド☆


「怠いなぁあ。勉強」

「そら確かにな」


そんな会話をしながら俺達はそのまま机に突っ伏していた。

マジにクソッタレだと思う。

しかしあの数学のハゲ教員が。

俺が問題に答えられなかったらビシバシ指摘しやがって。

仮にも野上の救済でどうにかはなったが。


「しかしまあ」

「?」

「恋ってのは不思議だなぁ」

「何だよいきなり」

「いや。何だかお前からAIの話を聞いてからさ。考えたんだよ」

「そうか」

「したら何か恋ってのは次元を超越するんだなって思えたわ」


まあ確かにな。

俺は天井を見上げながら考えていると教室のドアが開いた。

それから顔を見せた人物が...。

何故か楓だった。


は?


「か、楓?!」

「あ?!」


野上が楓という言葉に愕然としながら俺に反応してくる。

しまった!楓と呼んでしまった!

周りが驚愕しながら俺達を見る中。

楓は気にせず俺の席まで来る。

俺は赤くなりながら「何をしてんだ!」と小声で訴える。


「寄りたい所があるから」

「あ、あ!?」

「だ、だから付き合って」

「つ、付き合ってってお前な?!が、学校では話をしないってお前が...」

「別に良いでしょ?弟と姉の関係だから」


大きな声で宣言した。

教室が絶句する。

そして俺も絶句した。


いきなり何を言い出すんだ!

思いながら俺は楓を見る。

いきなり何を!?


「ふふん。私は貴方の姉だしね」

「あ、あの?住山さん。今の言葉は?」


野上が絶句しながら聞く。

すると楓は「私の弟です」と紹介する。

嘘ばかり吐くんじゃ無い!

そもそも貴様は妹だぞ!


「楓!お前が妹だろ!」

「な!?何で私が妹なのよ!」

「俺が上だ!ふざけるな!」

「は!?私が姉だし!」

「はぁ!?」


そう言い争っていると野上が顔を引き攣らせながら「夫婦漫才?」とツッコミを入れた。

違うわ!

何でそうなるんだ!

思いながら楓を見る。


「私がお姉ちゃんだからそれは無いです」

「俺こそお兄ちゃんとしてそれは無い」

「ふんだ!」

「ふーんだ!」


っていうかこんな事をしている場合か。

教室中どころか学校中にこの関係が知れ渡るぞ、ってかもう手遅れだろうけど!

思いながら俺は楓に向く。

楓は「と、とにかく」と言い出す。

どうも楓も察した様だ。


「お姉ちゃんとして命令。私に付き合いなさい。放課後にノートを買いに行きたい」

「こ、この野郎。ふざけやがって。貴様の命令には従えない!」

「私はノートが欲しい。...お昼作らないよ」


この野郎!...はあ...。

俺は盛大に溜息を吐きながら楓を見る。

野上とクラスメイトは顔を見合わせる、というか男子生徒は嫉妬し女子達はキャーキャー言っていた。

どうするんだよこれ。

収拾つかなくなったんだが。


「神嶋。貴様を先ずはいっぺん殺す」

「野上。落ち着け。マジな布告するな」


俺は「楓もどうにかしろ」と慌てて言うが楓は「じゃあ」と直ぐに去った。

あの野郎!

俺はその後。

野上達にギルティーと断罪された。

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