嘘とほんとの気持ち

如月ちょこ【街モデ】【ダンざま】連載中

嘘に塗れた世界線

「好きだよ……」


 眼の前の女子が、また俺に向かって一言言う。


 これで何度目か。何回目か。もういい加減好きではないってことを言ってるんだからわかってほしいものだ。


 そんなことを思っていると、隣の男子たちの声が耳に入ってくる。


「……ほんと、この世界はいつ終わるんだろうな」

「俺達に都合が悪すぎるよなぁ!!」

「それなぁ……! ……あ、これも逆転しないと。変にやられたくねぇからな」

「……逆転ばっかりつまんねぇよな……。いつられるかわかんねぇし」


 都合が悪い。逆転。やられるかわからない。


 近くの男子たちの話の内容は、聞こえてくる言葉から察するに、推してるなにかが、いっつも序盤は勝っているのに後で逆転負けを食らうとかなにかなのだろう。


 だから――――眼の前の女子がいっつも嫌な顔して俺に好きだよって言ってくるのも、きっと気の所為に違いない。

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嘘とほんとの気持ち 如月ちょこ【街モデ】【ダンざま】連載中 @tyoko_san_dayo0131

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