エピローグ

第43話 〜番外編〜笑顔の仮面



▪️▪️▪️▪️▪️▪️

 



「秋山、お疲れー!」

昼休憩のベルがなり、めぐはにこやかに秋山の席に向かう。


「お疲れ様。」

秋山は穏やかな笑みを浮かべ、めぐと一緒にフロアを出た。





「なんか、収穫あった??」

めぐはにやりとして秋山に尋ねる。



「小倉さんが、いつのまにか、指輪はずしてましたねぇ。」

禿げた頭をおしぼりでふきながら、秋山が答える。



「マジで!?あんなに自慢げだったのに!!この前、美波さんのこと吹き込んだから、意識してるのかな。」



「さあ。。小倉さんの席の近くの掲示板に、行事部を装って、美波さんが大きく映っている、昔の社員旅行の写真は貼ってみましたけどね。」



「やるな、秋山!」



「陽奈さんと、何かあったとかそっち方向の可能性もありますよね。先週、小倉さんと晴翔さんが玄関でもめてたってさっき誰かがいってましたよ。」

秋山は笑顔で続ける。



「マージーでー!?!?」

めぐの目が輝いた。

「2人、この前恋愛話してたから、そろそろどっちかが気づいて修羅場がくると予想してたんだけど、もうきたか!!」




「そろそろ、晴翔さん、めぐさんに連絡してくるんじゃないでしょうかね。小倉さんと晴翔さんで、晴翔さんが勝つとは思えないですから」



「晴翔、可愛いからな〜。飲みにでも誘ってやるか。」

めぐは頭をポリポリしながら、嬉しそうに言った。



「小倉さんも、鈍感だけど、独占欲強いから、許して元サヤはないと思うんだよね〜。この前、美波さんが未練あるってゆっといたから、今頃、美波さんに連絡してるんじゃないかな。」


「あの2人、いつもケンカしてましたけど、長かったですからね〜」



「で、陽奈は、別の男に連絡して、またすぐ次にいくだろうね。」


「私もそう思いますね。ああ見えて、大胆で、男好きですよね、ひなさん。奏多さんとか、

あるかもしれないですね。」



「だよね〜、アハハ。でも奏多さんは、結局巨乳の山本さんにいく気がする。それにしても、秋山ほんといつも、いいネタ仕入れてくるわ。おかげで、毎日仕事にくるの、楽しみで仕方ない。」



いつもにこやかな秋山が、一瞬無表情になった。





「私のことなんて、誰も興味ないですから、空気みたいに思ってるんですよ。だから、私がいても、気にせずに色々ハレンチなことを喋ってるんでしょうね、みなさん。」






そう言い終えるとまた、いつものようににこやかな笑みを浮かべた。





「そんなことないよ、秋山!私は秋山のこと、大切だし、お兄ちゃんみたいに思ってるから。これからも、毎日ランチしよ♪」

めぐは秋山の顔をまっすぐ見て、可愛く言った。




「私にそんなことをいってくれる人は、この世の中で、めぐさんだけです。めぐさんが楽しんでくれるなら、なんだってしますよ、私は。」

温かいお茶をすすりながら、にこやかに笑う秋山の口元が、ほんの一瞬、にやりと動いた。







------完------

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