第10話 【奏多】やさぐれ奏多

小倉の野郎、許せねぇ!!!


深夜2時、ベロベロになった俺は、夜道の空き缶を蹴り、ぶつぶつと文句をいいながら歩いた。


今日のバーベキュー、開始時間の少し前に陽奈が来たのを見た。


やっと陽奈と話せる日がきたと心ときめいたのに、なぜか恵が陽奈をテントの方につれていったせいで、女好きな小倉のヤローがずっと陽奈と話していて、席も遠かった俺は陽奈と話すチャンスを逃してしまった。


だいたいよ、小倉は美波と付き合ってたじゃねーか!!ただでさえ女が少ない職場だっつーのに、陽奈まで狙いにいくんじゃねーよ!!オッサンのくせに若い子狙うとか、調子のんな!!


蹴っ飛ばした空き缶の勢いあまって、前方の酔っ払いに思い切りぶつかった。

だが相手もベロベロに酔っ払っていたおかげで、騒ぎにはならなかった。


小倉と話している陽奈はなんだか楽しそうに見えて、俺はずっと嫉妬でイライラしてしまった。

バーベキューの間、酒の力を借りて、俺はずっと近くにいたタイプでもない30代独身の女性社員にモーションをかけてしまった。

相手もまんざらでもなさそうにして、俺の好みのタイプや女性遍歴なんかを聞いてきた。


俺はただ他の女性にモテている俺を陽奈に見せつけてやりたかったんだが、陽奈は気づいてくれただろうか。

そもそも陽奈は、おれが同じ職場だと知っているんだろうか。



このままでは、小倉に陽奈を持っていかれてしまう!なんとしても、早急にデートに誘わないと。


陽奈は恵と仲が良さそうだ。恵を通して接点を作るとするか。


よし、明日のうちにアクションを起こすぞ!


決意をあらたに、深夜3時、俺は酒とつまみを継ぎ足した。

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