本編

ヨーグルトのゴボウ

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とう-めい 【透明】


1.①すきとおって向こうがよく見えること。

 ②すきとおって、にごりがないこと。


2.物体が光をよく通すこと。光が通過するとき、吸収される度合いが小さいこと。




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[先生]「──そして、ここで先程言った定理を活用して……水無みずなしさん?聞こえていますか?」


[水無みずなし かんむり]「え、あー、はい。なんでしたっけ。えーと、ヨーグルト?のゴボウ?みたいな。」


[先生]「ユークリッドの互除法ごじょほうです。板書は最悪取らなくてもいいので、話はちゃんと聞いていてくださいね。ほら、教科書も開いていないじゃないですか。」


[冠]「あー、すみません。教科書忘れました。」


[先生]「?ではその教科書は一体?」


[冠]「あれ?すみません、ありました。ん?でもこれ綺麗だな、私のじゃない。……あー、れんに借りてたやつだ。返すの忘れてた。」


[先生]「……後で紙透かみすきさんに謝っておきましょうね。」


[冠]「れん、ごめんね。」


[先生]「今じゃないです。」




~~~~~~




[???]「本っ当に冠はアホね。紙透れんに甘えすぎよ。」


[冠]「えー。でも色々貸してくれるし。」


[???]「でそれを毎回どこかでなくすんでしょ。水無のものなら困るのは水無だけだけど、紙透のものをなくしたら困るのは紙透なんだよ。」


[冠]「あー、確かに。何借りてたっけ。えーっと……シャーペン、数Aの教科書、倫理の教科書、古文のノート、目薬、のど飴、折り畳み傘、アイライナー、パジャマ、お箸──」


[???]「あと下着も貸していますよ!!!」


[???]「げ、紙透れん。」


[紙透かみすき れん]「うわ、日波ひなみさんじゃないですか。なんで居るんですか?」


[千明ちあき 日波ひなみ]「なに?休み時間に自分のクラスに居るのは悪いことかしら?」


[れん・日波]「がるるるるるる……!!!」


[???]「まあまあ落ち着きなって。てか君ら、なんでいつまで経ってもそんなに仲悪いのさ。」


[れん]「日波さんが冠さんを独り占めするからですよ!クラスの違うれんに度々マウントをとってくるんですから!」


[日波]「はぁ!?そんなことしてないわよ!逆にアンタこそ私から冠を盗ってるんだから!」


[れん]「‪”‬盗って‪”‬ってなんですか!?冠さんは日波さんのモノじゃないです!というかそもそもモノじゃないですから!」


[日波]「16年も一緒にいるのよ!?私のほうが冠に大事にされてるわ!」


[れん]「論点すり替えて逃げないでください!冠さんをモノ扱いしたことを謝ってくださいよ!」


[れん・日波]「(怒号)(罵声)(謗り)(侮蔑)!!!」


[???]「うーん、手が付けられないなあ。」


[冠]「おーい、ふたりとも。」


[れん・日波]「なんですか!?なによ!?


[冠]「いや、次音楽でしょ。あんまり大きい声だしたられるじゃん。これ舐めとく?」


[日波]「えっ……あ、ありがとう。」


[れん]「のど飴……ありがとうございます!ありがたく頂きます!」


[冠]「あ、せんも食べる?ほい。」


[一色いっしき せん]「ありがとう(今日はギターのテストなんだけども……)。」




~~~~~~




[れん]「だーかーらー!さっきも言ったじゃないですか!冠さんはれんのほうが好きなんです!」


[日波]「私に決まってるでしょ!?貴女みたいな自己愛のイカれたナルシストなんかを誰が好きになるのよ!」


[れん]「いっぱい好きになってくれる人がいますが!?それに、可愛いれんを大好きなれんのどこが悪いと言うんですか!?」


[日波]「それを見た冠がどう思うか、今一度考えたらどう!?」


[れん]「冠さんはれんのファン第1号ですから!」


[日波]「それは偶像としての貴女でしょ!実在する人間像の中だと冠は私のファン第1号よ!」


[日波・れん]「がるるるるるるるる……」


[染]「ねぇ水無、そろそろ五月蝿うるさいからどっちが好きなのか決めてくんない?」


[冠]「え?好きだけど、どっちも。」


[染]「まあそう言うよね。分かってた。」


[れん]「どっちも……って、それじゃ満足できません!」


[日波]「そうよ!その場しのぎのおべっかは要らないわ!」


[冠]「えー。どっちも好きだからなー。」


[れん]「じゃあじゃあ、どこが好きですか!?れんの、どこが好きですか!?」


[冠]「えー、自分が好きなところ。」


[染]「というと?」


[冠]「えー、いや、れんって配信とかで知らない人に自分の顔を見せられるじゃん。それって自分に自信がないと、自分が好きじゃないとできないことだし、自分を好きになれる人って、見てて気持ちいいじゃん。そんな感じ。」


[れん]「冠さん……!」


[日波]「じ、じゃあ次は私!冠、私のどこが好きなの!?」


[冠]「えー、自分に厳しいところ。」


[染]「というと?」


[冠]「なんだっけ。ストマクエイク?って私とは縁がない言葉じゃん。私は自分に甘いほうだから、ストマク……あ、ストイックか。ストイックに生きてる日波、かっこいいなって。」


[日波]「冠……!」


[冠]「どっちが良い悪いってないよ。私はどっちも好きだから。最大公約数、見つけてこー。」


[れん・日波]「(腰が砕け、身を捩らせて悶えている)」


[染]「わー、治るの待つの面倒くさ。人たらしさん、先に帰らない?」


[冠]「え、なんで?」


[染]「雨降り出しそうだから。私いちばん家遠いし。」


[冠]「え、寂しいじゃん。一緒に帰ろうよ。」


[染]「ほう?本当に無自覚でやってるんだねぇ君は。将来刺されないように気をつけなよ。」


[冠]「あ、でも傘なくない?駆け足で帰る?」


[染]「鞄探れば見つかるかもよ?……ほら。」


[冠]「おー、用意周到。私もやってみるかー。」


[染]「ほらそこのバカ二人、いい加減トリップから帰ってきなさい。」


[れん]「すみません、肩貸してください……」


[日波]「私も‪お願いするわ……」


[染]「君ら、将来変なのに引っかかっちゃダメだよ?」


[れん・日波]「有り得ません有り得ないわれん冠さん一筋ですからだから。」


[染]「うーん、これ水無が悪いな。気をつけなよ水無。」


[冠]「え、なんて?……あ、傘あった。」


[れん]「あ、れんの折り畳み傘じゃないですか!冠さんに貸したままだったんですね!」


[染]「……降り出したね。二人は傘持ってる?」


[れん・日波]「持ってないです。」


[染]「あー(察した)。」


[冠]「えー、じゃあ傘入る?どっちか。」


[れん・日波]「れんが!!!私が!!!


[染]「いやこれ両方悪いか。私が矯正しなきゃいけないのこれ?面倒くさいなあ‪……」




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【おまけ:お金】


[染]「一応聞いておくけど、お金の貸し借りはないんだよね?」


[れん]「お金そのものはダメです。流石に冠さんのお願いでもダメです。」


[日波]「お金が絡むことって、せいぜいジュースを奢り合うことくらいじゃないかしら?」


[冠]「染、そのラインは私も分かってるよ。」


[染]「(分かんない子たちだなあ……)」




──────




【ひとこと】

オイオイ、1話目から若干2名他人ヒトの色に染まりまくってるじゃねぇか!!!とお思いの皆さま、心中お察しします。


ですが、依存と染色は違いますよね。

彼女ら2人にも、たとえ冠にでさえ譲れない色が確かに存在しているので、実際のところ冠色に染まっているわけではないのです。

2人はただ、冠に依存しているだけなのです。


……だからタイトル詐欺ではありません(小声)。

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くりあーず!!!! とまそぼろ @Tomasovoro

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