時月

にゃんぱち

第1話

            ~2024年3月13日 京都駅〜



「やっっとついた~!」


俺の名前は一ノいちのせ颯来そら、高校3年生。彼女はいない。


「疲れたー」


こいつは岩崎いわさき 慎太郎しんたろう。同じ高校のクラスメイトだ。性格はビビりで怖いことになると怒り出す習性がある。


「気もぢ悪いい...」


こいつは松田まつだ 拓武たくむ。こいつも同じ高校のクラスメイトだ。仲のいい友達間だとふざけ倒すが人見知りな性格故、初めましての人とは全く喋れない。今は乗り物酔いでくたばっている。


慎太郎:「旅館に着くまで吐くなよ。」


拓武:「分かってるよ、しんちゃん。」


慎太郎:「お前そんな呼び方しないだろ...」


拓武:「うん....キモイわ...」


慎太郎:「お前が言ったんだろ!」


拓武:「ちょ、キモイて慎太郎。」


慎太郎:「いきなりなんだよ!」


拓武:「wwwwwww」


颯来:「拓武もすっかり元気になったことだし、そろそろ向かうか。」


颯来 拓武:「「Let’s go!」」


慎太郎「テンション高....」


そう、俺らはこれから1週間ある旅館に泊まる。これから起こる不可解な出来事も知らずに....





             ~旅館~


拓武:「え、ここ?」


颯来:「そうだよ。」


拓武:「なんというか...ボロッ」


慎太郎:「失礼だろ。」


拓武:「本当にここに泊まるの!?嘘だ!」


 必死に抵抗するにゃんぱち。


慎太郎:「わがままいうな。」


颯来:「とりあえず中に入ろうぜ。」


拓武:「嫌だ~」


             ガラガラガラ


「ああいらっしゃい。何名様で?」


 開けるとにこにこのおじいちゃんが出迎えてくれた。


慎太郎:「女将さんとかじゃないんだ。」


拓武:「一応、『男将おかみ』ではあるな。」


颯来:「確かに。」


「...何名様で?」


拓武:「ああ、すみません。3人です。」


 申し訳なさそうににゃんぱちが答える。


「へぇ、3名様で。ではこちらに。」


 と受付カウンターに案内される。


「えぇ~申し遅れましたが、私は古谷 勘吉と、申します。えぇ~当旅館では日本の『和』をモチーフにしたものでして、少し古風な仕様になっており、今時のお客様には少々分かりずらい部分がございます。その点についてえぇ~説明させて頂きます。」


慎太郎:「あの~申し訳ないんですけど...」


古谷:「どうかございましたでしょうか?」


慎太郎:「トイレに行きたくて...」


 慎太郎が申し訳なさそうに答える。


古谷:「...ああ、でしたらここ受付右のをお使い下さい。」


慎太郎:「ありがとうございます!」


 急いで駆け込む慎太郎。


拓武:「今イントネーションおかしくなかったか?」


颯来:「う~ん...まあなまりじゃない?方言みたいな。」


拓武:「ふ~ん...」


古谷:「では彼が戻るまで少し昔話でもしましょうか。」


拓武・颯来:「はあ...」


古谷:「この話は確か..まだ豊臣の時代だったか...」


 古谷が話し始める。


「お客様方、関ヶ原の戦いがあったことはご存じですか?」


拓武・颯来:「はい。」


古谷:「何故石田三成率いる豊臣軍が敗れたか、ご存知でしょうか?」


拓武:「え、豊臣勢だった小早川秀明が徳川軍に寝返ったからじゃないんですか?」


古谷:「多くの資料にはそう記されておりますが....えぇ~この旅館はある大名の屋敷を改築したものでしてその改築工事中、ある記録書のようなものが出てきまして....」


慎太郎:「すみません待たせてしまって。」


 古谷さんが語りだすタイミングで慎太郎がトイレから出てきた。


古谷:「おおっと、お客様も揃ったところですし、当旅館の説明に参ります。すみませんがお二方、話の続きはまた今度で。」


 そう言って古谷は説明を始める。


「えぇ~まず当旅館『時月ときつき』はここ本館と少し行った先にある別館で構成されております。基本的にお客様がお泊りになるのは本館でございます。」


颯来:「別館は何に使われているんですか?」


古谷:「えぇ~まあ、スタッフが寝泊まりする所、といったところです。」


颯来:「住み込みで働いているんですね。」


古谷:「....えぇ。」


「説明に戻りますが本館は三階建てになったおり、一階、二階は客室で三階は主に宴会の場として使われております。」


颯来:「俺達が泊まる部屋はどこですか?」


古谷:「ああ、では先にお部屋の説明をさせてもらいますね。」


「客間は鈴蘭の間、牡丹の間、柊の間、菖蒲の間、杏の間、桜の間、そして水仙の間となっており、なお、菖蒲の間は老朽化により今は使われておりません。えぇ~どの客間にしましょうか?」


拓武:「一番良いお部屋は?」


古谷:「えぇ~一番良い客間と言いますと~水仙の間が一番でございますね。」


颯来:「じゃあ、そのお部屋にする?」


慎太郎:「え、でも高いんじゃ...」


古谷:「一般の客間だと一泊5千円でございますが、水仙の間はサービスを抜いても3万円は必要でございます。」


拓武:「うわ...3万だってよ...どうする....」


慎太郎:「流石にキツイて...」


颯来:「じゃあ、水仙の間は諦めて...桜の間にでもする?」


拓武:「他の部屋は料金は一緒なんですか?」


古谷:「えぇ、そのようになっております。」


慎太郎:「じゃあ....」


颯来:「桜の間で。」


古谷:「桜の間でございますね。では、ご案内します。」







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            〜作者から〜


完全にオリジナルなので、歴史の話もそれっぽく書くだけです。はい、フィクションです。「じゃあなんであんなキャッチコピーにしたんだよ!」それは...文字数的にまとめるのが難しかったからです!

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時月 にゃんぱち @yamada_joshu

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