私のためを思うなら

 彼は私のことが大好きだ。


 この人以上に私のことを思ってくれる人はいないのかもしれない。


 何度もそう思った。


 だけど別れた。


 

 彼は仕事が忙しく、あまり帰ってこなかった。


 浮気の心配はなくとも、寂しかった。


 2人のために用意した部屋は、少し広く、冷たく感じた。


 1人で暮らしているのとあまり変わらない気がした。


 

 でも、私のことを思って頑張ってくれているんだから、と何度もそう思うようにした。



 だけど、沸々と湧いてくるのは、お金じゃないんだという気持ち。


 多少貧乏でも、好きな人と過ごす他愛もない時間の方が価値がある気がするのは、私が女だから?


 お金にゆとりがなくても、大好きな人と一生添い遂げる約束が欲しいのは、私が女だから?



 お互いが大好きなのに、さようならした。

 大好きなのに行き違った。

 結婚はタイミング。

 きっと私たちはタイミングが合わなかった。


 さようなら、大好きな君。

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男女の些細な違い 梅雨日和 @tsuyuhiyori

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