ガラクタ屋本日開店!凍国にて〜

南瓜の王冠

第1話 ハイ(になれる)ポーション

異世界転生…最初こそ最強を目指して修業していたものの魔力操作の練習を兼ねて始めた錬金術もどきにハマってからものづくりに付きっきりになっているのが現状だ。


…まあ、それに関しては別に良いのだがいい加減作成物が場所を取ってきたので処分したい。作った身としては出来れば活用して欲しいという感情もある。


あと、金。

ただの宿屋の倅である自分に金はあまりないのだ。


近場で売れる場所は…皇城にある軍部の訓練場で良いか、あそこ出入り自由だし。





《小隊長side》

それなりに長く軍人をやっている身だが、今日はかなり珍しいモノを見た。


子供だ。

恐らく5歳そこらと言った所か?

幾ら訓練場が軍の新人を求めている為出入り自由だからって子供が来ることは殆ない。


ましては軍と無関係な子供が来る事皆無だ。


さて、何の用か?と聞いてみたんだが自分で作ったものを売りたいらしい。


これまた珍しい…とは言え大人として子供の努力に付き合うのも大事かと売っているものを聞いてみたんだが…


「ふむ、何かお勧めはあるか?坊主」


「ワタがし、としては、これがオススメ」


独特な一人称だなと思いながらも渡されたのは赤い液体の入った瓶。形的にはポーションだが薬師の孫か子なのか?

これが何かと聞けば『高位回復薬ハイポーション』だと言う。

高位回復薬ハイポーション』は飲めば忽ち失った四肢だって蘇るという、目茶苦茶希少な薬だ。

当たり前だが子供が作れるようなもんでもないし持たせるものでもねぇ。

そもそも『高位回復薬ハイポーション』は透き通るような薄い緑色の筈だが…

もしかしたら『高位回復薬ハイポーション』が何かわかってないで言っている可能性もあるし聞いてみるか。


「ハイポーションなぁ…これを飲めば傷が忽ち治るのかい?」


「…なおらんけど?」


そんな「何言ってんだコイツ」みたいな顔をされても困るんだが。


「じゃあ、どんな効能が有るんだぁ?」


「しあわせになれるよ」


「しあわせ?」


「しあわせ、のむとたちまち、つらいことぜんぶ、きえて、ぱっぱらぱ〜ではっぴっ〜だっぴ〜、、、になるの…」


今この坊主すげぇ事言わなかったか?


「…中毒性は?」


「がっつり」


そんな飯大盛りみたいに言われても。

と言うか、


「何で軍部に売りに来たんだ?」


凄い度胸とかそういう次元じゃねぇだろ。

許可のない販売だってグレーゾーンなのに寄りにもよって麻薬を法を維持する側に売りに来るとか正気か!?


「何で売ろうと思ったんだ…」


「さいきん、はやりだと、きいて」


それがマジなら大問題だっての!

…いやまさかアレか!?


「お前それは麻薬じゃねえよ。カップル用の妊活の薬だバカ!」


寄りにもよってなんてもんと間違えてやがるんだこいつ!


「一つ聞くがその麻薬はまだ誰にも売ってないし使ってないか?」


「うぬ」


それなら、


「麻薬は犯罪だから売るな、あとその麻薬は没収な。今回は初犯だったのと被害が出てないことや年齢も考えて見逃すが次はないぞ。」


「…うぬ」


目茶苦茶面倒臭そうに返事すんじゃねぇよ。

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