第20話 バズりすぎると逆に怖いよね

「ふぃ〜、ちかれた〜」

「だね〜」

「お腹すいたの……」


 配信を終えた俺達は特に寄り道もせず真っ直ぐ家に帰って来た。


「おかえり正人、スズちゃんもシズちゃんも」


 俺達が帰って来たのを気づいたのかリビングから母さんがおかえりといいながら出てきた。


「ただいま母さん」

「ただいまなの!」

「ただいまです!」


 元気にそう返す。


「さ、夜ご飯できてるから食べましょ食べましょ!」

「「はーい!」」

「その前に手洗いうがいだぞ」



 ※



 夕飯とお風呂を済ませた俺は今日の配信の反応を見るためにダンジョン配信専用のアプリ、ダンチューブをスマホで開き、PCでは久しぶりのT◯itterを開いた。


「まずはダンチューブの方を見るか、チャンネル登録者100人いれば成功かなとりあえずは……」


 配信中のコメントを見る限り人はまぁまぁいたと思うしそんくらいいれば今日の配信は成功と言えるかなと思いつつ自分のチャンネルを確認する。


「え〜っとチャンネル登録者数は5万か、そうかそうか……ん?」


 じゅ、5万人だとぉ⁉︎ いや、数え間違いだ、配信初日で5万人て……いや、ありえない! 一回閉じてもう一回見ればきっと5人だそうだ! きっとそうだ!


 心の中でそう唱え一回アプリを閉じてもう一回開いて確認する。


「ほ、本当に5万人だ……え、やだやだ怖い怖い、何で? 何で5万人も登録者いるの⁉︎ えぇ?」


 5万人という数字を見て俺の頭の中は恐怖と疑問で溢れかえっていた。


「う〜ん、これは喜んでいいのか? いや喜んでいいんだろうけどのんか喜べねぇ……」


 1週間配信してこれならまぁわかる、けど1日だよ1日、素直に喜べないよ。


「あるじ寝よ〜」

「明日新しいスキル試すんでしょあるじ、だから早く寝よ。」


 お風呂に入り終わって寝巻に着替えた2人がそう言いながら俺の部屋に入ってくる。


「う〜ん……」

「あるじ?」

「どうしたの?」

「ん? あぁちょっとな。」

「「?」」


 そう言って登録者が表示されているスマホの画面を2人に見せた。


「とうろくしゃごまんにん? 何これあるじ」

「もしかして今日の配信と関係ある事?」


 2人揃って首を傾げてそう言う。


 可愛い!!


「コホン、シズ正解! これは今日増えた俺達のチャンネルの登録者の人数なんだけどちょっとね? 数がおかしいなって思ってたんだ。」

「何でなの? 5万人って凄いことじゃないの? ねぇシズ」

「うん、私もスズと同じく何でなのあるじ」


 純粋、本当に純粋だなぁ2人共、頼むからそのまま純粋な子でいてくれ。


「うん凄い事なんだけど凄すぎて逆に怖いっていうか……ね?」

「あるじなんかめんどくさいねシズ」

「め、めんどくさい⁉︎」

「うんめんどくさいよあるじ」

「あ、あわわわわ」


 ぐ、めっちゃ痛いよ溺愛してる娘からの「めんどくさい」は痛すぎますって!


「そんな事より早く寝るの!」

「あるじお寝坊さんなんだから早く寝よ」

「そ、そうだな」


 T◯itterをまだ確認していないがシズに怒られるのは嫌なので寝た。



 ※



 翌日


「ん、んぁ? 今何時だ?」


 目が覚めた俺は今何時か確認する為に時計を見ようと起きあがろうとした。


「これじゃ流石に起きれないな」


 そう言って俺の腕をまるで抱き枕の如くコアラみたいに抱きついているスズとシズを見る。

 まぁ可愛いから良いんだけどね☆


「おいスズシズ起きてくれこのままだと俺動けないから」

「んぇ? あるじおはようなの」

「ん、あるじおはよう」


 俺が2人を起こすと眠たそうに「おはよう」と言った。


「あぁおはよう2人共、じゃあ離してくれないか?」

「「えぇ」」


 えぇじゃないよえぇじゃまったくうちの子達はもう仕方ないな……


「5分だけだぞ?」

「「やったー!」」


 ったく敵わないなうちの子には☆


 結局5分後も離れる事はなくそのまま20分くらい引っ付かれたまま過ごした。


「これからどうしよ……」


 ズズ。とコーヒーを啜りながらスマホの画面に写っている俺達のチャンネルの登録者数を見てそう言った。


「チャンネルの運営の仕方とかさっぱり分からん、そもそも思い付きで始めたからなぁ、ノウハウがまずないのがなぁ……」


 そう、俺はダンジョンや戦闘のあれこれは完璧と言っていいが配信に関してはど素人なのだ。


「う〜んこんな時配信業に詳しい知り合いでもいたらな〜」

「あるじいるじゃん華恋ちゃんが」


 俺のうしろからシズがそう言った。


「あぁそうか! 華恋ちゃんがいたか! でかしたぞシズ!」

「えへへ」


 シズちゃん賢い!


「となれば今日はまず華恋ちゃんに色々聞いてその後に新しいスキルを試すか! よし、そうと決まれば早速電話だ!」


 そう言いいながらスマホで華恋ちゃんへ電話をかける。


『もしもし正人さん?』

『もしもし華恋ちゃん久しぶり』


 スマホから彼女の元気ではつらつとした声が聞こえてくる。


『久しぶり! でどうしたの?』

『ちょっと相談がありまして、今から会えない? スズとシズも会いたがってたし、もしかして忙しかったりする?』

『ううん! 今日は休みだから全然平気だよ! 私もスズちゃん達に会いたいからいいよ!』

『よかった、場所は追って連絡するよ』

『分かった! じゃあまた後で!』

『あぁまた後で』


 こ、これで良かったよね? 何せ久しぶりの電話すぎて喋り方も忘れてたからちょっと怖かったんだけど。

 ま、まぁ平気かな? うん平気だな。


「スズ、シズ、出かけるから着替えておいで」

「どこいくの?」


 未だ寝巻のスズがバナナを食べながら言う。


「華恋ちゃんと会うんだ」

「華恋ちゃん⁉︎ あるじ本当なの?」

「本当だぞ」

「やったー!」


 俺が「本当だぞ」とスズに返すとスズは尻尾をぶんぶん振って喜んでいる。


 久しぶりの尻尾ぶんぶんいただきました! 可愛い!!


「だから準備してきてくれ」

「はいなの!」

「はーい」


 そう言ってスズはるんるんでシズと共に自室へ着替えに行った。



 ※



 支度を済ませ家を出た俺達はとあるカフェに来ていた。


「やっほーお待たせ!」

「お、来たか華恋ちゃん」

「華恋ちゃん久しぶりなの!」

「華恋ちゃん久しぶり!」

「スズちゃんシズちゃんそれに正人さんもお久しぶりです!」


 そう言いながら黒い髪にポニーテールの元気な女の子華恋ちゃんがこっちに来た。

 前会った時よりも魔力の流れが良くなってるし量も少し増えてる。

 成長してるな華恋ちゃん。


「好きなの頼みな華恋ちゃん、ここは俺が奢るから。」

「え、いいの⁉︎」


 目をキラキラさせながらそう言う華恋ちゃん。


「もちろん! 今回は相談聞いてくれるしね!」

「じゃ、じゃ遠慮なく頼ませていただきますよ、何を食べようかな〜ぐへ、ぐへへ」


 人が変わったように華恋ちゃんがメニューを見てぐへへと言いながらどれにしようか悩んでいる。


 美少女がぐへへと言いながらメニューを眺めるのは果たしていいのか?



「それで、相談と言うのは?」


 スズの頭を撫でながら言う華恋ちゃん。


「チャンネルの運営の仕方について教えて欲しいんだ!」

「正人さんそれを知らないでダンジョン配信始めたんですか?」

「はい……思い付きで始めた物で……」

「そうですか……」


 華恋ちゃんが呆れた顔で言う。


 だって思い付きだったんだもん!


「だ、だから個人配信者でめちゃくちゃ人気な華恋先輩に御教授願えないかなと……」

「うーん……いいよ!」

「本当⁉︎」

「で・も! 条件付きでね!」

「条件?」


 条件付きは全然良いけどどんな条件なんだ? エリクサーを欲しいとか?

 そんな事なら全然良いけど。


「私を弟子にして下さい!」

「で、弟子ぃぃぃぃぃ⁉︎」


 昼時のカフェの店内に弟子という言葉が響く。



 あとがき


 皆さんこんにちは!

 お待たせしましたいや、お待たせしすぎたのかもしれません、やっと風邪から復活致しました!


 久しぶりに風邪引いたけど辛すぎません? 喉は痛いし頭痛いし咳止まらんしで死ぬかと思った(;ω;)


 でも完全復活したので食べれなかったゴリゴリの固形物食べまくってやる!


 明日明後日は用事で更新出来ないのでご了承下さい。


 面白いと感じたら是非! 作品のフォローと☆レビュー、応援コメント等よろしくお願いします!


 ではまた次回お会いしましょう!

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