第17話 ダンジョン配信1日目③

「ふぅスッキリ! ね? スズ!」

「うんスッキリなの!」

「今日はぐっすり眠れそうだな……」


 :シズちゃんスズちゃんついでに主も探索で疲れた体にミミックの悲鳴がとても沁みました! 明日からまた頑張ります!

 :快感だった……

 :これから定期的にミミックの拷問ショーしない?w

 :ミミックよ……来世はきっと良い生活してるぞ

 :あの拷問されたらもう地獄行かなくていいレベルにやばかったw


 30分くらいでやめさせるつもりだったがシズとスズに押し切られて結局1時間半もの間続いた……うん。何と言うか凄かった……それだけ。


 あ、でもミミックから珍しくちゃんとした物がドロップした。

 何かの鍵(?)みたいな物がドロップした。


「シズスズ……そのなんだ?

 ……次からはミミック見ても拷問しようとしないでくれよ? 俺も少し可哀想に思えてきてしまったから。」

「う、分かった」

「分かったの」


 どこか不満げながらも2人はコクコクと頷いた。

 これでミミックは拷問されずに済むだろう……多分。


「それにしてもこれどこの鍵なんだ? ちょっと『天眼』で見てみるか……何々?」


『天眼』でドロップした鍵を鑑定してみる。


擬宝獣ミミックの鍵]


 希少度[A]


 ミミックが長い年月貯めに貯めた宝が眠っている部屋への鍵、場所は所有者が念じれば目の前に扉が現れる。


 ミミックはただひたすらに自分が集めた宝を守り抜く為に宝箱へと擬態し人を魔物を欺き宝を守ってきた。


 この鍵はミミックが死の間際に集めた宝への執念が形を成し物質化した物。


  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


「う〜ん……なぁスズシズ?」


 シズに視線を向ける。


「うん……」

「うん……」

「次からはミミックに優しくしてあげような?」


 :あかん泣いてまう

 :ミミックー‼︎

 :そういう事だったんか……

 :やばい俺これからミミック殺せそうにない( ; ; )

 :ごめんよミミック……

 :うぅ(;ω;)


 ミミックの真実(?)を知りめちゃくちゃ申し訳なくなった俺達だった。



「ミミックへの謝罪もしたことだしとりあえずこの鍵使えるみたいだから早速使ってみようか!」

「「うん!」」


 :切り替え早w

 :さっきの謝罪は嘘だったのか?

 :ミミックをいじめてタノシイカ!

 :まぁミミックだしこんなもんでしょw

 :ミミックの扱い雑すぎw

 :まぁ散々探索者を弄んだ罰だから

 :切り抜きもう上がってるw


「失礼な、ちゃんと申し訳なく思ってるよ? ホントノホントニ」


 くっ、さすがに気づかれたか。でもまぁミミックだしうん……ねぇ?


「あるじ早く使お!」

「そ、そうだな。えーと確か鍵を持って念じれば……」


 鍵を手に持ち出てこいと念じた。


「あるじ何も起きないね」

「何も起きないな」

「あるじ、なんか揺れてるの」

「確かになんか揺れてるって……うおわぁ!」


 ゴゴゴゴゴゴ。という轟音と共に地面が揺れ扉が地面から這い出てきた。


「こういう風に出てくるのか」

「扉大きいの!」

「この扉の中に今度こそお宝が……」


 :扉デッカw

 :キ◯アん家の玄関かよw

 :本当に開くのかこれw

 :こんなのが下から出て来たの⁉︎

 :これがダンジョンクオリティか……

 :中のお宝も馬鹿デカそうw

 :これで中身しょぼかったらシズちゃんがまた……

 :おいフラグ立てんな!


 視聴者達も扉のデカさに驚いてるようだ。


「扉が出たは良いけどどこに鍵挿すんだ? 絶対大きさ足りないだろこれ」


 これで開けれませんとか言われたらこのダンジョン破壊しようかな?


 そんな事を思った。


「あるじ鍵貸して」

「スズ? どこに挿すか分かったのか?」


 肩をポンポンとスズ叩かれ鍵を貸してと言われた。

 もしかして分かったのか⁉︎ もしそうだったらうちの子は天才すぎるぞ!


「いいから貸して!」

「わ、分かったよ。はい」


 とりあえずスズに鍵を渡した。


「えーと……こうすれば……ほら開いたの!」


 鍵をドアにかざし、右に捻ったらなんと扉が開いた。


「やっぱりスズは天才だな!」

「えへへ、凄いでしょ!」

「スズ偉い!」


 :おお

 :スズちゃん賢い!

 :親より賢い娘定期……

 :何が出てくるかな!

 :ワクワク、ワクワク、ワックワク!

 :下層だから結構いいの出るんじゃね?


「何が出るかな、何が出るかな!」

「スズ食べ物がいいな~」

「魚ならもっと嬉しい」

「俺は魔道具が良いかな~特にアクセサリー系。」


 :食べ物は出ないんじゃないか?

 :食べ物系がドロップするダンジョンじゃないと出ないぞ

 :ダンジョン産の食料ってうまいよな

 :特に牛豚鳥!

 :それな

 :大体装備系か珍しいとこでスキルオーブとか

 :スキルオーブ出たら熱い!


「スキルオーブ? なんだそりゃ!?」

「食べ物出ないの?」

「食べ物出ないなら私もアクセサリーがいいなー」


 :スキルオーブ知らないマ?w

 :スキルオーブ知らないとかもうおじいじゃんw

 :探索者講習ちゃんと受けたのか?

 :絶体講習寝てただろw

 :スキルオーブ知らないのは危機感持った方が良いぞw


 スキルオーブ? そんなの聞いたこと無いが?


「探索者講習? そんなの受け――たけど寝てないからな! 

 ただちょっとうとうとして目を瞑ってただけだ!」

「あるじ早く入ろ!」

「おっとすまんすまん、早速入るとするか!」


 コメントに反応してる間に開いたでっかい扉の中に入る。


「さあさあ何が出るかな魔道具こい!」

「もう何でもいいや。」

「私も。」

「っ!? 宝箱? とりあえず一旦『風斬かざきり』」


 :!?

 :急にどうした!?

 :ミミックだったらやばいもんね


 またミミックだったら今度こそやばいので『風斬』で目の前の宝箱を切り付けミミックかどうか確認する。


「……」

「……」

「……」


 ガキン。という金属音だけが鳴りミミックの鳴き声こは聞こえなかった。


「よし! 本物宝箱だ!」

「やったー!」

「ようやく……」


 :犠牲が増えなくて良かった

 :うおおおお‼︎

 :何が出るんですかねぇ……


「よし、それじゃ開けるぞ。」

「う、うん。」

「早く早く……」


 ゴクリ。と唾を飲み込み、ゆっくりと宝箱を開ける。


「こ、これは⁉︎ 何だ? 玉?」

「玉だね。」

「玉なの。」


 宝箱を開けると虹色に光る謎の玉が入っていた。


 :おぉ⁉︎

 :スキルオーブだぁぁぁぁ‼︎‼︎

 :激アツ展開来ましたよこれ!

 :しかも虹色やんけ!

 :運がええな!


 どうやらこれがスキルオーブってやつらしい。視聴者達が大騒ぎしている。


「ほう、これがスキルオーブか……しかもご丁寧に3つ。」

「あるじー、せっかくだし今使ってみない?」

「丁度3つあるし良いじゃん。」

「そうだなせっかくだし使うか!」


 3つあるし色からしてなんか良いのが出そうだし一個ずつ使ってみる事にする。


 :久しぶりのスキルオーブだ!

 :ハズレもあるから気をつけろよ!

 :でも虹だし平気やろ

 :そうだな虹はいいスキル出るの確定してるしな


「てかどうやって使うんだ? お前ら知ってる?」


 スキルオーブの使い方がわからないので視聴者達に聞いてみる。


 :し・っ・て・た

 :ですよねーw

 :そうだこいつスキルオーブ知らなかったんだったw

 :使うって意識すれば使えるぞ

 :今度からはしっかり調べとけな?


「う、うるさいな分かってるよそんな事……今日明日でちゃんと学んで来るから」


 :ハイハイ

 :ちゃんとお勉強しまちょうね〜

 :スキルオーブなんざ小学生でも知ってるぞ


 これ完全に視聴者になめられてるだろこれ……マジで見とけよ? 次の配信までにしっかり全部知識詰め込んでわっと言わせてやる!


「2人共スキルオーブ持ったな?」

「「うん!」」


 2人に一個ずつスキルオーブ渡しちゃんと持ったか確認する。


「じゃあ3カウントで使うぞ」

「はいなの!」

「ワクワク!」

「いくぞ、3……2……1!」


 3つ数えスキルオーブを使うと意識した瞬間目の前が光に包まれた。


「うわっ、眩しっ」

「んにゃあ!」

「眩しい!」


 :目が目がぁ……

 :これ知ってないと目やられるよね

 :眩しすぎる


「何も変わってないが。」

「だね。」

「何も変わらないの。」


 光が収まったが特に何かが変化した訳でも無くすこし拍子抜けだ。


 :ステータス見んしゃいw

 :ステータス見ろw

 :ステータス見れば分かるぞw


「あ、そうかステータス見ればわかるか! 『ステータス』」

「「『ステータス』」」


 視聴者に言われステータスを確認する。


「えっと……おっ! スキルが本当に増えてる! 何々……『同等分身ドッペルゲンガー』自身と同じ力を持つ分身を短時間作り出すか……ぶっ壊れじゃねぇか!」


 何だこのスキル⁉︎ 短時間とはいえ俺をもう1人⁉︎ いいんですかこんかスキル


 :主がもう1人だと⁉︎

 :なんて物を引いてんだあんた

 :やばすぎw


「あ、でも再度使用時間リキャストタイム24時間だ。」


 そこはちゃんとしてるのね。


「ねーあるじ〜スズにこんなスキル増えたの!」


 そう言ってスズが俺にステータスを見せてくる。


「えーと何々『金縛り』、対象をの動きを封じる、ただし視界に対象の体が全て入っていないと発動しない、『金縛り』使用時、使用者は動けないか……これもパーティーなら結構使えるか……」


 スズもかなりの当たりだ、敵の行動を封じるってだけでかなり助かる。


「シズはどうだ?」

「う〜んこれはいいものなのかな?」


 最後にシズはどんなスキルを取得したか聞き、ステータスを見せてもらった。


「えーと何々……『異空間』だって⁉︎ 何々、大きめのコンビニくらいの広さの異空間を作り出し、出入りできる……これってさ……一々家に帰らなくてもここで過ごせばずっとダンジョンに潜ってられるんじゃないか? でかしたぞシズ!」


 これは俺が夢に見たスキルじゃないか! いや〜今日は運がいいな!


「とりあえず色々検証したいし今日は配信やめて帰るか! 2人共それでいいよね?」

「うん! 早く帰って試したい!」

「早く帰るの!」


 今から検証やらなんやらしたら帰るのが遅くなってしまいそうだから今日は帰ってご飯とか食べてから検証しようかな!


「そらじゃあ今日の配信はここまで! チャンネル登録とか高評価とかよろしくな!」


 :検証してるとこ見たかった……

 :次も絶対見るわ!

 :チャンネル登録もうしたぞ!

 :次はもっと戦闘シーン見せてくれ!

 :ミミック拷問助かった!


「う、次はちゃんと戦闘するよじゃあまたな!」

「またなの!」

「またね!」


 終わりの挨拶をし配信終了ボタンを押した。


「よし、帰るか。」

「「うん!」」



 あとがき


 昨日寝ちゃってましたすみません!

 気づいたら寝てて起きたら深夜の3時……なんたる不覚……


 まぁ切り替えてしまおう!


 それにしても今日もっと短めにしようと思ってたらめちゃくちゃ長くなってしまいました……


 次は掲示板回なので短めにします!


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