第2話 ただいま

「「……じ……るじ! あるじ!」」

「ん、んぁ? ハッ⁉︎ スズ! シズ!」


目が覚めたら2人して俺を揺らしている。どうやら戻ってこれたのかな?


「あるじ起きたー!」

「あるじおはよう!」

「あぁおはようスズ、シズ。無事に戻ってこれたのかな?とりあえず一旦『天眼』……ふむ、ふむふむ、よし、ちゃんと日本だなってん?こんな物あったか?」


 スキル『天眼』を使って周りを確認してここは間違いなく地球でありここは日本だ。


 しかし、ちょくちょくダンジョンっぽい建物があったり冒険者っぽい服装をした人がそのダンジョンっぽい建物から出たり入ったらしている。


「あ、そういう事ね…だから女神様はああ言ったのか。」


 どうやら俺の知らん内に日本にダンジョン? が現れたらしい。

 多分日本だけじゃなく世界各国にだけど。

 それは好都合だ、何せダンジョンがあって人が出入りしてるって事はダンジョンへ潜ればお金を稼げるって事が確定してるからな。

まぁそんな事よりまずは2人に言わないとな!


「スズ、シズ、ようこそ! 日本へ!ここが俺の言ってた故郷、日本だ!」


「「うぉー! あるじの故郷! やったー!」」

 2人共嬉しそうに尻尾を揺らしている。


「っとその前に、スズ、シズ、一旦これ着てくれ。」

 そう言ってアイテムボックスから『偽装のマント』を渡した。

 この『偽装のマント』は所有者の思う姿に誤認させるアイテムである。

 とりあえず2人が普通の人間に見えるように尻尾と耳を見えなくした。


「あるじーどこ行くの? スズ気になるの」

「今から俺の両親に会おうと思うんだ。」


やっぱり何よりまず父さんと母さんに会わなきゃな!


「「あるじのお父さんとお母さんに会いに行くの?やったー!」」

「なんで喜ぶ?」

「だってスズあるじのお父さんとお母さん見てみたかったからなの!」

「シズも見てみたかった!」


そういうもんなのかな? まぁ可愛いからいいや。


「そうだったのか! 知らなかったよ、じゃあ早速会いに行こっか! えーととりあえず『天眼』まずは自分の今いる位置を知っておかないとな、ここは今神奈川県か、父さん達は引越してなければ横浜にいるからとりあえず横浜に向かうか、スズ、シズ、飛行魔法で飛ぶから捕まって!」

「はいなの!」

「分かった!」


 俺の両足にまるでコアラみたいに捕まってる2人はとても可愛い。

もう少し上の方を掴んでくれると助かるんだけどな。


にしてもこの『天眼』いつも思うけどくっそ便利だなぁ、女神様に感謝しなきゃ。


「ちゃんと捕まったな?じゃあ飛ぶぞ、いざ! 父さん達の元へ!」


 飛行魔法を使い横浜まで飛んで向かった。





「あるじすごーい! あっと言う間についたー!」

「とてもはやかったの!」

「そう? まぁ距離が近いのもあるけど少し速度早めにしたからね、っとその前に服をどうにかしないと、とりあえずアイテムボックスの中にあるかな……まぁこれでいっかスズ、シズ

 少し後ろ見てて」

「「はーい!」」

 

 流石に今着てる服じゃ目立つしアイテムボックスからマシな服を出して

2人が後ろを向いたのを確認してとにかく早く着替えた。


「よしっと、2人共もういいぞ」

「あるじかっこいい!」

「うんうんきまってるの!」

「そ、そう? ったく褒めても何も出ないぞ? ほれおにぎり」

「やったーあるじのおにぎりなの!」

「お腹すこし空いてたやった!」

「もう少しで家だから早めに食べなよ? 本当に可愛いなぁもう、連れてきて良かった!」


 くぅー。やっぱり敵いませんな2人には。


 にしてもこの服装を褒められるとは思わなかった。

 なにせ全身黒の隠密専用コートで少し厨二臭い服装だったからな。


 ま、まぁ褒められたんだから気にしない気にしない!


「2人とも着いたよ、とりあえず表札は…変わってないからおそらくいるな……じ、じゃあ入るぞ。」


 今思えば十年ぶりか。

 なんて言われるだろうか、まず間違いなく怒られるな。


 そんなことを思いながら玄関のドアを開けた。


「た、ただいま〜……」


 この懐かしい家の匂い、間違いなく家だ。


「あら、お父さんお帰……あ、あんた、もしかして正人かい?」

「か、母さん…ただいま。」


あぁ母さんだ……変わってない。変わってない。いつもの母さんだ。


「あ、あぁ正人! 夢じゃない! 夢じゃないわよね? ったく心配かけてもう、生きてて良かった!」


 母さんが涙ながらに言う。


「ご、ごめんなさい、心配かけて、十年ぶりに帰ってきたよ! このとうり元気さ。」


 あぁ、やっと帰って来れた。

 俺はそう思った。


「本当よ! 5年間なにしてたのさ、父さんも心配してたわよ、えっと、そちらの子達は? あ、あんたまさか、嘘よね?」


「か、母さん違う! 違うよ! 彼女とかじゃないから! 詳しくはとりあえず父さんが帰ってから話すよ! ほら、スズ、シズ、母さんに挨拶っとその前にこのマントを外してっと。」

 2人の『偽装のマント』を外し、挨拶させる。


「スズなの!」

「シズです!」

「「あるじのお母さん初めまして」」


 2人共尻尾をブンブン振りながら挨拶する。


「あらやだ可愛い、ん? ねぇ正人?この子達耳と尻尾生えてない?まさか、あの獣人ってやつなの? ねぇそうなの?」


 母さんが俺の肩を掴み激しく揺らす。


「う、うんそうだよ。」

「やっぱり! 本物が見れる日が来るなんて! あぁ〜可愛い! 可愛いすぎる!」


 ここも変わってないな母さんは。

 昔から漫画やアニメに出てくるケモ耳少女に会いたいとかずっと言ってたからまぁこうなるのは無理もないか。


「ちょ母さん落ち着いて、それと家上がっていいか?」

「あぁ、ごめんごめん私ったら、スズちゃんとシズちゃんだったわね、初めまして正人の母の真紀よ。ほら、上がって上がって! 今お茶持ってくるから。」


 無事に家に帰れたが落ち着けるのはもう少し先みたいだ。



[スキル説明天眼編]


スキル名『天眼』

神眼の一つ下のスキル

神に与えられし特別な眼。

神の願いを果たす者、あるいは神に認められた者だけが使う事を許された特殊なスキル。


効果

『天眼』を使った者は周囲を1000000万倍の速度で感知できる。

自分の視点を一人称から自由に変えられる。

『天眼』は万物、己より下の者の情報を全て見通せる。己より上の者は己との格差で見通す情報の幅が変わる。

『天眼』は任意で敵を威圧し、使用者との格差が大きければ大きいほど効果が出る。

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