第2話







 えへへ♡


「お父様、お母様、ミカエルお兄様。僕ね、今日はツインテールに合わせて薄いピンクと白のドレスにしたんだよ♡」



「今は新緑の時期でしょ?それに合わせて今日はライトグリーンのドレスに合うメイクと髪型にしたんだよ♡」



「王都で評判のマカロンとチーズケーキを侍女達と食べて来たんだ♡」


 美味しかったよ♡



「侍女と一緒に町を歩いていたら男の人達に『私達と一緒にお茶を飲みませんか?』って誘われちゃったんだ!」


 僕、男でベルガモット王国の第二王子だよ!!


 それなのに、女の子と間違えるなんて失礼だよね!?


 ヽ(`Д´)ノプンプン



「「「怒りたいのはこっちだよ!!!」」」


 礼儀に教養、語学に政治等、王子として必要な事を身に付けず、ドレスやメイク、ダンスといったお洒落と娯楽にしか興味ないガブリエルに国王夫妻と王太子のミカエルは『今日は完成したばかりの水色のドレスに合わせてリボンも水色にしたんだ♡ね?僕に似合っているでしょ♡』と、新作のドレスを着られた喜びで鼻歌を歌いながら軽やかなステップを披露している第二王子の姿に心の底から泣きたい気分だった。


 いや、実際に三人は〇田泣きをしていた。


「父上、母上・・・我等はどうすればいいのでしょうか・・・?」


「もうダメだ・・・」


 何でガブリエルは男として生まれちゃったのかな~?と、頭を抱えて悩んでいる国王とミカエルに王妃がある一言を口にする。



 グリーンローズ公爵家のヒルデガルト嬢をガブリエルの妃に迎えましょう



 と──・・・。



「ヒルデガルト嬢を?」


「そう。ヒルデガルト嬢が側に居たらガブリエルの男としての闘争心と言えばいいのかしら?刺激されると思うの」


 優秀で武芸にも秀でている男勝りだからなのか、百八十一センチという長身に凛とした雰囲気のある公爵家の令嬢でありながらヒルデガルトは女性から非常にモテる。


 噂ではどこぞの高位貴族の夫人がヒルデガルトのファンクラブを作ったらしく、未婚・既婚問わず貴族女性が入っているとの事だ。


 そんなヒルデガルトと接する事で、ガブリエルが男らしくなってくれるのではないだろうか?


「・・・・・・母上の仰るように、上手くいきますかね?」


「そんなの、やってみなければ分からないに決まっているでしょ!!」


 グリーンローズ公爵家へレッツラゴー!


「「・・・・・・・・・・・・」」


 彼女の劇画風な顔つきと、善は急げと言わんばかりの気迫に押されてしまったのか、何も言い返す事が出来ないまま国王とミカエルは王妃と共にグリーンローズ公爵家へと向かうのだった。








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