第16話

「ーノイラだ」

(……綺麗)

「あ、あの…」

「どうした?…気に入らなかったか?」

「い、いえ…とっても綺麗で…聞き入ってしまって…」

「……そうか。…よかった」

(大公様…とっても嬉しそう…)

「あ、あの…大公様…」

その言葉と同時に男の眉間が一気に深くなる。

「ヒッ…あ、あの…すみませっ」

「父とよべ」

「へ?」

「早く」

「あ、は、はい…お父様?」

「なんだ?」

先程までの不機嫌さを一気に失くす。

「あ…ありがとうございます…こんな綺麗な名前をくれて…」

「…気にしなくてもいい。」

「…はい。」

その間、沈黙が続いたが、お互い悪い気はしていなかった。

ー数時間後。

「ノイラ、ここがお前の家だ」

「お、大きい…」

大公領に着いたノイラは思わず身構えてしまった。

(き、緊張する…)

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