最終話 文乃とさくら

月ちゃんの家に到着し、お邪魔せてもらう。

居間に通されると夕は慣れたもので、月ちゃんと一緒にお茶を淹れに行った。


「んーこたつは暖かいー」

「そうですね~」


わたしとさくらさんは炬燵にはいって暖まる。


「そういえば、さくらさんはわたしたちと同じ年だから、もっと気楽に話してもいいかも」

「確かに、同じ年だからもっと気楽に話してもいいですね」

「それじゃ、さくらちゃんと呼ぶよ」

「じゃ、文乃ちゃんと呼ぶね」

「あ、あたしもさくらちゃんと呼ぶわよ……」

「わたしも温海ちゃんとよぶよ」

「あ、ありがとう……」


さくらちゃんに温海ちゃんと呼ばれて照れてるのがいい。

温海は人見知りというほどじゃないけど、慣れない相手は苦手なんだよね。

でも、これが温海のかわいらしさだけどね


「温海さんはふだんは強気キャラだと、慣れない相手だと緊張するからかわいいんだよね」

「そうなんだ」

「文乃、余計な事を言わない!」

「わかりましたよ」


わたしと温海のやりとりをみてさくらさんは笑うけど、もう堅苦しさはなくなっていた。


「みんなお待たせ~」

「紅茶をいれましたので……チョコを食べます……」


夕と月ちゃんが紅茶を運んできたけど、月ちゃんは食べる気満々みたい。

夕から月ちゃんは甘いものが好きだと聞いてるけど、その割にスレンダーな体型だから好きだけど量は少ないのかな。


月ちゃんと夕も炬燵に入ると、温海が鞄から月ちゃんとさくらちゃんの分のチョコレートをわたす。


「温海ちゃん、ありがとう。これって県内で1,2を競う有名店のチョコだよね」 

「わたしも……1度だけ食べたことありますが……カカオが多いですが……苦みが嫌な苦みでなく……甘さとマッチしていて……

口に入れると……すぐに溶けて……カカオの香りが広がります……」


月ちゃんは簡単な食レポをするけど、こんなにゆっくりで表情がかわらない食レポは珍しいかも。


「入手困難の物を良く手に入れたね」

「店主が親の知り合いだから……」


温海はまだまださくらさんには緊張がるようだ。


「そうなんだ、温海ちゃんありがとう」

「温海さん……ありがとございます……」

「う、うん……」


温海は照れて顔を横に向けるけど、慣れない相手だとツンデレは発動しない模様。


「紅茶が冷めちゃうし~いただこうね~」

「そうだね」

「では……文乃さんのをいただきます……」


月ちゃん素早く包みを開けるけど、こういう時の動きは普通の人より早いぐらい。

そして、箱を開けると1つを手に取り口にれるけど、わたしは月ちゃんがどんな事をいうか思わず息をのむ。


「市販のもですのでが……湯煎でのとかし具合と……固まり方にすこしむらがあるらしく……

すこし脂が分離してますが……ココアパウダーの苦みあって……味は良いです……」


意外と厳しめの意見であったけど、味の方は市販の物だから問題はなかった。


「そうかな?ちゃんと出来てると思うけど」

「できてはいますが……もう少し……バッドに均等にして……固めた方が……もっと綺麗になると……思います……」

「文乃ちゃんちゃん、月は甘いものに関して手厳しいから気にしないで」

「別にいいよ、さくらちゃん。わたしもお菓子作りは初めてだから、いい意見を聞けたよ」

「そうですか……悪気はありませんので……」

「月ちゃん、わかってるよ」

「わかりました……」


月ちゃんはあまり表情が変わらないけど、すこしだけ悪く思ってる表情に見えた。


「わたしたちは~さくらちゃんのシフォンケーキを頂くね~」

「さくらちゃん……頂います……」


夕と温海はシフォンケーキを食べるけど、口に入れた瞬間に美味しくて2人の表情が変わった。


「ん~おいしい~」

「これ本当にさくらさん……ちゃんががつくったの?プロみたい」

「温海ちゃん、そんな大袈裟な。お菓子作りは月と付き合ってからつくったから、まだ半年も経ってないよ」

「これで、こんなにふわっとしたシフォンケーキが作れるんだ……」


温海はそういってシフォンケーキを口に運ぶけど、味にはうるさい方の温海がここまでいうなら私も食べたいかも。


「温海がここまで言うなら……わたしも食べたい……」

「ごめん、全部食べちゃったわ」

「わたしのが~残ってるから文乃ちゃんにあげるよ~」


夕は残っているシフォンケーキをフォークにさして差し出したので、わたしはそれを食べる。

プレーンのシフォンケーキけど、ふわふわしてバターの香りがしてとてもおいしい。

そして、口の中でまるで蕩けるになくなって、これをさくらちゃんが作ったと思とすごい。


「さくらちゃん、美味しいよ!」


わたしは思わずさくらちゃんの手を取ってしまって、流石にさくらさんも戸惑ってる。


「あ、ありがとう、文乃ちゃん。でも、手は離してね」

「あ、ごめん、美味しくてつい」

「でも、これだけ喜んでくもらえるとうれしいよ」


さくらさんも褒めれた事は素直に嬉しくて笑ってるけど、わたしがさくらさんの手を握ったら月ちゃんがすすーとさくらさんに

くっついたけど、もしかして嫉妬したのかな。


「月、嫉妬かな?」

「はい……文乃さんはいい人でですが……さくらさんはわたしのです……」


素直に嫉妬というけど、月ちゃんって意外と独占欲が強いのかな。


「月ちゃんは~お姉ちゃん子だからね~わたしにも~時々甘えるし~」

「そ、そうなんだ」


一応、わたしも月ちゃんからしたらお姉ちゃんだけどね。


「あと、意外とおっぱいが好き」

「さくらさん……やめてください……」


月ちゃんははずかしがるけど、夕ほどじゃないけどさくらさんも胸は大きい。

そう言えば、陽さんも胸が多きかったかな。

お姉ちゃん子っていうけど、そう言う意味でお姉さんが好きみたいだ。


「ごめん、月。ちょっとからかっただけだよ」

「さくらさんだから……許します……」


月ちゃんはそういいながら、さくらさちゃんの方にもたれてるけど、月ちゃんの意外な所を見れてよかった。


「そういえば、チョコレートをいただいてなかたから、いただくね」


わたしは包みから箱を出して、箱を開けてチョコレートを食べるけど……このチョコレートも美味しい。

くちどけがよく、苦みがあるけど後から程よい甘さも来て美味しい。

これはわたしが作ったものよりも、明らかに美味しい。


「さくらさん参りました……」


わたしは炬燵から出て、床に頭をこすりつけたけど、月ちゃんが言う通りわたしはまだまだ。


「文乃、さくらちゃんが引いてるわよ。文乃はこういうキャラだから」

「そ、そなんだね」


流石にこれはさくらちゃんに引かれたけど、仕方がないよね。

でも、わたしはたとえ引かれても自分を知ってらもうのがモットーだから、これで嫌われたら素直に諦める。


「でも、月と比べたら文乃ちゃんは面白いからいいかな。月は変わった子だから」

「さくらさん……それを言わないでください……」

「でも~昔と比べたら~家族や親戚以外ともよくはなすようになたよ~」

「さくらさんと……お付き合いしてから……身内以内の人とも……話しやすくなりました……」


夕が言うには、月ちゃんは昔は家族や親戚以外とは話せないなかったけそうだけど、人見知りとか出なくて

単に話すのが面倒で話さなかったらしい。

流石に学校では必要な事は話すようになったけど、それでも基本的に人と話すのは面倒だとか。


「だから~月ちゃんもかなり変ったよ~」

「はい……変わりました……。でも……夕さんも……温海さんと付き合ってから……明るくなりました……」

「月ちゃん~昔の事はいないでよ~」


今はほんわか明るい性格の夕だけど、昔は暗かったなん意外かも。


「夕が暗かったなんて意外だわ」

「温海も知らないの?」

「中三の始業式の時、夕から話かてられたのが最初だったからそれまでの事はしらないわよ」

「そうなんだ」

「そ、それは昔の事だから~気にしないで~」

「わたしは今の夕が好きだから、別にいいわよ」

「温海ちゃんありがと~」


夕は温海い抱きつくけど、相変わらず抱きつくと温海の顔は夕の胸にうずまる。


「夕さんが……喜ぶと抱きつくのは……昔から変わっていません……」


暗かったけど、喜ぶと抱きつくのは変わってないんだ。

さすがいとこだけあって、わたしと温海が知らない事を知ってるな。

あと、夕が珍しく慌ててる姿を見れたのは貴重だったな。


「もう18時30分なので、、そろそろ帰る時間らないと」

「もうそんな時間なの?遅くなるとお姉ちゃんに連絡したけど、暗くなったし帰らないと」

「そうだね、そろそろ帰らないと」

「月ちゃん、久しぶりにお話で来てよかったよ~」

「はい……わたしも夕さんや……皆さんと話せてよかったです……」

「それじゃ、お邪魔しました」


わたしたちが帰ろうとしたら、月ちゃんはさくらさんの制服の袖をつかんでた。

ただ、桜さんが言うには何時もの事で、寂しいからかえってほしくないらしい。


「月、私は帰るから話してね」

「うん……でも、キスして……」

「わかったよ」


さくらさんはそういって月ちゃんのおでこにキスをするけど、背の高い月ちゃんがそれにあわせて身をかがめるのもいいな。


「うん、尊い。……」


この光景を見て、私は思わずつぶやいた。

そして、夕も


「温海ちゃん~わたしたちもしようよ~」

「ちょ、夕、おでこや頬でも人前でキスは無理よ!」

「人前じゃなかったらするのに~」

「それも言わない!」


こっちはこっちで何時もの後継だけど、これはこれで尊いかも。


「もう、遅いから帰るわよ」

「月ちゃん、お邪魔しました」

「おじゃあしました~」

「月、また明日朝に来るよ」

「はい……皆さん、お気をつけて……あと……いつもでい……いらしてください……」

「わかった、それじゃね」


わたしたちは月ちゃんの家を後にするけど、夕と温海を駅まで桜ちゃんと一緒に送っていく。

そして、桜並木に戻ると、ここでわたしとさくらちゃんと別れる。


「文乃ちゃん、今日はありがとうね」

「いえ、こちらこそ。気を付けて帰ってね」

「近いから大丈夫だよ。婦ものちゃんも気を付けてね」

「わたしも大丈夫」

「そうだ、文乃ちゃん聞いてもいいかな?」

「なに?」

「文乃ちゃんは彼女か彼氏を作らないの?」


さくらちゃんがわたしにこう聞いて来たけど、わたしは


「わたしは付き合いたい相手はいないかな」


といつも通りの答えを言った。


「そうなんだ」

「わたしは夕と温海を見てるのが一番楽しいからね」

「それはわたしもわかる」

「でしょ?それに好きな人もいないからね」

「それじゃ仕方がないけど、わたしも月と付き合う前では好きな人はいなかったからね」

「そうなんだ」

「だから、文乃ちゃんも好きな人ができるいよ」

「だといいけどね。それじゃ、遅くなるからこれで」

「あ、その前に連絡先を交換しようよ」

「そうだね」


わたしとさくらちゃんはお互いの連絡先を交換したかけど、わたしも気になる事を聞く事にした。


「そういえば、夕から月ちゃんに送ったメッセージの返信は早いけど、月ちゃんがやってるの?」


わたしが聞くとさくらちゃんは


「ああ、それはわたしがやってるよ。会う約束も、今日の連絡もわたしが居たからすぐ返事をしたけど

しなかったら多分、2,3日……いや、1週間以上は気づかなかったと思うよ」

「そうなんだ」


やはり、返事はさくらさんがしてたのでスッキリした。


「それじゃ、今度こそ租行くね」

「うん、気を付けね。また、合おうね」

「うん、またね」


わたしはさくらちゃんと別れて家路につくけど、さくらちゃんに言われてもわたしもそろそろ好きな人が出来そるかもと思ったのであった。

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バレンタインに別の百合カップルにチョコをあげるのは許されますか? しいず @shiizuu

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