謎の洞窟



 宿に戻ったクロノはすぐに自分の部屋へと向かい、趣味である魔剣の本を読み始めた。


 特にクロノが好きなのは魔剣の種類や能力についてだ。やはり男というのはどの世界においても変わらないものなのだろう。


 特にクロノのお気に入りの本は

「魔剣図鑑」と呼ばれる能力が判明していたりする魔剣がまとめられた本だ。


 数個ほどこの本に載っている魔剣を紹介すると


 ・『自律人形オートマタ』と呼ばれる魔剣は能力を使うことで持ち主と同等の力を持った存在に変わり持ち主の敵に自動で攻撃を仕掛けるという能力を持つ。


 ・『転生ノ手鏡リィンカーネーション』と呼ばれる手鏡型の魔剣は自身の全能力を受け継いだ状態で転生が出来るという一生に一度しか使えない能力を持つ。


 ・『魔術之神髄グリモワール』と呼ばれる本の魔剣は自身が使う魔術の詠唱破棄、威力増大、並列起動などの様々な強化を自身の力量に応じて与えるという能力を持つ。


 またこの本に書いてある魔剣の性質として、


「・魔剣はその能力が強大であればあるほど代償も大きくなる。

 ・常時発動型の魔剣のみ対価が存在しない代わり能力が控えめとなっている。

 ・代償はその魔剣を従えられればられるほど大きくなる。また、従えられるほどに魔剣本来の力を行使できる。」


 の3つが書かれている。

 他にも魔剣ごとに多少の違いがあるが大まかにはこの3つとなっている。


 そしてクロノは常時発動型の方を求めている。

 能力的には多少低めだが代償がないという一点において非常に優秀な魔剣である。


 今日もいつものように過ごしたクロノはまた明日のスライム狩に向けてぐっすりと寝ることにした。


 ――――――――――――――――――――――


 翌朝、いつものように朝早くに起きたクロノは宿で食べられる朝食を食べに1階へと降りていった。


 朝食は焼きたてのパンにコーンスープというあっさりめのご飯となっており追加でお金を払うともっと豪華な朝食となる。が、クロノはそんなことをするほど余裕は無いので朝食はいつもあっさりだ。


 朝食を食べ終えたクロノは宿屋を切り盛りしている夫婦と少し会話をしてから武器を借りにギルドへと向かい始めた。


 向かっている途中に露店で売られている昼食用のお弁当を買いつつギルドへと着いたクロノは早速武器を借りに受付へと向かった。


「今日も早いですね〜クロノさん。」


「やっぱりできるだけ稼いでおきたいですからね。この銅剣なら買えますけどこんなのでスライム以外のモンスターを倒せるわけないですし…。」


「この銅剣も貸し出ししすぎて切れ味なんてないようなものですものね。」


「本当にその通りですよ!もう剣ていうより棒ですね。ちょっと剣の見た目に寄りすぎた棒です。」


「まぁ金属製ということがせめてもの救いですよね。

 あっ、そういえばクロノさんがいつもスライムを狩っているところの近くで土砂崩れが起きたらしいんですよ。今のところ特に目立った被害は無いですけどくれぐれぐれも気をつけてくださいね。」


「そうなんですか。わかりました!ありがとうございます!」


 受付嬢といつものような会話をしたクロノは受付嬢の注意を心に留めながらいつものスライム狩りへと向かっていった。




 スライム狩りの場所へと着いたクロノは早速スライムを見つけては倒すの繰り返しを始めることにした。

 とは言っても四六時中スライムが出てくる訳では無いため暇な時間も出てくる。

 そうなると気になってしまうのは朝受付嬢から聞いた土砂崩れ現場についてだ。

 危ないのはわかっているけど気になってしまうというのはある意味冒険者の性なのかもしれない。


 気になったクロノは危ないということをわかっていながらもその土砂崩れの場所へと向かっていった。


 (土砂崩れと言っても今は起きてないし今のところ被害がないって話だし少しぐらい見に行くのもいいよな。)


 そう考えながら例の現場まで着いたクロノはとあるものを見つけた。それは人が1人ほど入れそうな洞窟であった。


「こんなところに洞窟はなかったよな。ってことは今回の土砂崩れで出てきたってことだ。

 でもブランさんの話では洞窟があったなんて言ってなかったしな。ということは俺が新たな洞窟を見つけたってことだよな!

 発見者特権ってことで今から少し覗いてみようかな。危なくなったら直ぐに逃げればいいしな。」


 流石は冒険者。多少の危険よりも好奇心の方が勝ったというわけだ。


 クロノはスライム狩りを一旦中断して装備をしまいランタンに火を点して洞窟の中に向かうことにした。


 しかしクロノはまだこの後に起こることについてはまだ何も知らないのであった。


 ――――――――――――――――――――――


 補足


 ・魔剣を従えるということは魔剣に認められるということになり、そのためには本人の素の力量が高くなければいけないため、魔剣を持っていると言うだけでは魔剣を使えるということにはならない。

 

 とある展開までは飛ばし気味に進めたいので補足という形であとがきに詳しいことを説明したいと思っています。

 それと良ければ星1でも構わないので評価をして貰えるとありがたいです。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る