第24話:百円ショップ・DE・デート



 ホムセンデートを終えて、帰宅。


 と、その前に。


「ちょっと百円ショップに寄っていい?」


 ホームセンターで色々と買い揃えた後ではあるが。


「ん? まだ何か買うの?」


「うん、ちょっと見て行きたいものがあって」


「いいけど?」


 ホームセンターに併設された百円ショップへ。


 基本的に多くの商品が百円で提供されている雑貨店。


 ホームセンターに近い品揃えながら、ホームセンターより安かったり、ホームセンターでは取り扱っていないような商品もあったり。


 もちろん、値段なりの品質の面もあり。


 ニーズに応じて使い分ける、買い分けると言ったところか。


 だから故に、併設していても問題ない、と。


 まさに。


 そのショップに入って、雪人が目的のモノを見つける。


「あったあった……ホームセンターより品揃えがいいかも?」


「え? またハサミ!?」


 驚愕の、アカネは。


「一体、何本買うのよ……」


 驚くのもあるが、呆れると言うか、若干引き気味。


「あー、うん……まぁ、ね?」


 何が、まぁ、ね、だ、と。


 突っ込みたいけど突っ込めない、アカネ。


 いやいや、ここは心を鬼にして。


「ちょっと、さすがにハサミ多すぎでしょ? すでにいっぱい持ってるのに」


 今はまだ、いいかもしれないが。


 近い将来。


 子育てや高校卒業後の学校の事を考えると。


「無駄遣いはそろそろ、ね?」


「うっ……うん、わかってるけど、一本だけ。百円だし、許して?」


「むぅ……」


 言いながらも、沢山並んでいるハサミをひとつひとつ確認する、雪人。


 正面から見るだけでなく、横からも。


「これ、良さそうだな……かなり刃が薄い。よし、これにしよう」


 一本のハサミを手に、レジに向かおうとしてまた足を止める雪人。


「今度は何ぃぃいい」


 アカネもさすがに。


「あ、いや、これ……もう一個だけ、ね?」


「むぅ……」


 商品二個、税込み二百円、なり。


「それ、何なの?」


「商品自体は、靴の底に入れるクッション」


「それも、『また』って感じだけど……物は全然違うね?」


 以前に買って、物体オブジェクトの芯として使っていた『靴の中敷き』とは異なって、かなり小さい。


 透明で薄いそら豆のようなものが、六個入っている。


「パッケージの説明によると、女性のハイヒールとかで足が痛くなりそうな箇所に付けるジェルみたい」


「女装でヒールも履くの?」


「や、そうじゃなくて……あぁ、いずれはそれもあるか……いやいや、今はそうじゃなくて、ね」


 雪人の説明によると。


 物体オブジェクトをブラの中に入れただけだと、ブラごと、ずり上がって来てしまうので、そのずり上がりを防ぐ、あるいは軽減するために、身体と物体オブジェクトの間に入れてある程度すべり止めにできないか?


「ってコトで、これだと小さくて裏側に貼れるかな? って」


「へぇ……」


 まぁ、アカネにとってはまだ可愛いと思えるレベル。


 これ以上の暴走は阻止しなければ、とも思うが。


 ここは一旦。


「まぁ、好きにすれば?」


 突き放しつつも、見守ろう。


 そう思う、アカネ。



 寄り道はしたけれど。


 さぁ、帰宅したら作業を。



 つづけよう。





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