幕間2 泡沫の夢
きっと、貴方は私を否定するでしょう。
貴方が見た
私は、貴方を信じています。
どこまでも、貴方は正義となる。
道を踏み離さず、私にたどり着くでしょう。
ええ。
貴方は正しい。
私の選択は、間違いだったのかもしれません。
だから、今の私は貴方に託します。
先へ。過去へ。
「嗚呼。過去の私が見たら、どう思うのでしょう。恥ずかしくて、死んでしまいそうです」
──彼女は、誰よりも優しかった。
──敵だというのに。
──この手にかける時ですら、彼女は微笑んでいた。
「ありがとう。最後の勇者。貴方のお陰です」
もし、立場が違えば、私たちは、良き友達になれたのかも……
そう、何度も思ってしまった。
──強く握った拳が、紅く染まった。
──地獄の女神は、自分が討った。
全ては、一夜の夢のよう。
儚く散り、元に戻る。
焼きつくような痛み。
失った怒りと悲しみ。
それら全てを抱えた。
「許せ、とは言わない。せめて、安らかに、アルカナ」
──違う。間違っていたのは、俺の方だ。
──今を変えるため、全てを犠牲にする。
──俺の方が、悪だったんだ!
極限状態の中、溜まりに溜まった感情をぶつける。
「気に病むことはないさ。君は、君の正義を押し通したんだ」
ポンと肩を叩かれた。
悪魔の囁きが、胸を刺す。
「彼女も、彼女のやり方、正義があった」
慰めになっていない言葉をうけ、彼は立ち上がった。
「あああああああああああああああああああああああああああ!!」
「へえ。良いねえ、この記憶」
「でしょう!もっと褒め称えたまえ!」
「いやいや、画面の前に立つのはやめてくれよ。続きが見れないじゃんかー!」
「私のこと褒めてくれるまでここから退きませーん!」
「はいはい偉い偉い。スゴイネー」
「棒読みやめてよー!そんなんじゃ、私はどかないよー!?」
「股を押し付けないでよ。ほら、繊維の中から白いパンツが見えてるよ」
「えっちだなあ!」
「はいはい」
そこは、小さな映画館だった。
全面を埋める巨大なスクリーンに、ソファーのような高級感を持つ椅子。
ただし、観客は誰1人としていない。
上映されている映像は広大な砂漠。
そんな中、中央の席に子供が2人。
同じ衣装、同じ髪型をした少女。
白亜に染まった長髪に、シミ一つのない白。
中世西洋のお嬢を思わせるドレスを身に纏った2人は、抱き合っていた。
だらしなく唇を重ね合い、唾液を混ざり合わせている。
「あーあ。終わったじゃんかー!」
「私のパンツの方が大切でしょ!?」
少し感情的になりながら、少女たちは話を続ける。
「楽しみだね!!」
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