桜が舞い散るこの日をもう一度

しゅら

第1話-高校最後の一学期始業式

 春休みが終わり、自転車で高校生活最後の始業式へと学校へ向かいます。

「春休み短かったな〜」

と思いながらも自分は自転車を淡々と漕ぎます。

 その時ふととある風景が浮びあがりました。

「あの桜、もう咲いてるかな?」

そう、1年前に友達と見に行った桜並木でした。

「まだ時間あるし少し遠回りだけど、見に行こうかな」

まだ学校の登校完了時間まで40分以上あったため見に行くことにしました。

 桜は散るほど咲いてはいなかったものの満開でした。自分はこれを見れただけで満足でした。

「やっぱ何回みても綺麗だなー」

気持ち良い風が吹く中で自転車を漕ぎながら桜並木を通っていきました。

 その時、学生服を着た男女二人が手を繋ぎながら歩いているのを見ました。そして、自分はふと、

「(自分もこの桜の下で告白とかしてみたいなー)」

と、少しばかり思ってしまいました。「まぁ無理か」と自分で少し笑ってしまいましたが。

 桜並木を通り過ぎたあと、登校完了15分前に学校に着くことが出来ました。

 校門をくぐり玄関で上履きには着替えようとした時、見慣れた顔が玄関に入ってきました。

「章太じゃねぇか!久しぶり!」

「お〜!翼じゃん!」

1年、2年共に同じクラスで一番仲が良かった友達がいました。

 そこから同じ教室に向かいました。向かってる途中気になることがありました。

「章太さ来年のコースどこ行くん?」

「俺か?俺は普通科の物理理系だぜ」

「うお、まじか!同じやん!」

まさかの自分と同じコースで同じクラスになることが濃厚になりました。とりあえず、知ってる人が誰もいないという心配は無くなりました。

 教室に入り2年の担任だった先生の話を聞き、椅子を持ちながら、始業式の会場である、体育館に向かいました。

長い校長の話と進路部長の話を聞き終わり、いよいよクラス替えの発表の時が来ました。

「(仲良くなれそうな人と同じクラスになってくれ〜!)」

そう強く願いながらクラス表が貼られたホワイトボードを見ました。

自分の名前は3-Fにありました。その下に章太の名前が。

「やったー!とりあえず喋れる人がいないってことは無くなったかな」

一気に緊張が解けました。これで1年は安泰だ!そう思いながらクラス替え先の教室に行きました。

案の定、自分が知らない人ばかりで章太の存在だけが頼りでした。

2時限目が終わり、休み時間に入ったところで、章太が友達と思われる同じクラスの人と喋ってました。

「これは新しく友達を増やせるチャンスなのでは...?」

そう思いながら期待と不安が入り交じる中で章太に話しかけに行きました。

「章太〜って、友達?」

「そうだよ。中三の頃から友達なんだよね」

「近野光太郎だ。よろしくな」

とても明るく、優しそうな人で安心しました。

「自分は中野翼。これからよろしくな」

とりあえず1人友達が出来ました。しばらくは光太郎と話そう。そう思いながら3時限目が始まりました。

3時間目の授業が終わり4時間目に入る前の休み時間の時、自分はスマホを触っていると、ある女子が話しかけてきました。

「中野翼くんだよね?」

さすがに驚きました。その人とは話したこともなければ見たことすらありませんでした。もちろん名前を知る事もなかったはずです。

「そうだけどなんで自分の名前を...?」

「やっぱり!翼くんが1年生の頃から知ってるよ〜」

自分の友達が自分のこと話したんだなと深く考えませんでした。

「君の名前は?」

「川瀬美咲。よろしくね!」

やはり名前を聞いても知らない人でした。しかしどこか魅力的な女子だと思っていました。

そんなことを思っていると4時間目の始まりのチャイムが鳴りました。

午前授業だった今日4時間目が終わるとすぐに帰ることが出来ました。

その帰り道、章太に美咲のことを知らないか聞いてみました。

「今日なんか話しかけに来た女子がいてさ、川瀬美咲って言うんだけど何か知らないか?」

「全く分からないな。お前に気があるんじゃないの?」

「んなわけあるか」

そしてその日は何も分からずに一日が終わってしまいました。せっかく仲良くなれたんだしいいか。そう思うことにしました。

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