角川歌壇 「短歌」2024年1月号・2月号より
滝口アルファ
短歌2首
1首目
空間がふと収斂し収斂し鶏頭の花になったのだろう
角川歌壇。
「短歌」2024年1月号。
歌人・永井祐選、佳作。
〔解説〕
昨年の秋に作った短歌。
「収斂(しゅうれん)」は、収縮と同義です。
鶏頭(けいとう)の花のイメージを、
上の句を使って比喩表現してみました。
宇宙は膨張しているらしいので、
空間がふと収斂することがあっても、
決して非現実的なことではないのでは?
そんな発想から生まれた短歌です。
空間の収斂の果て=鶏頭の花、
という見立ての1首でした。
2首目
かなしみはかなしみのまま秋空の近未来めく青を見ていた
角川歌壇。
「短歌」2024年2月号。
歌人・梶原さい子選、特選。
歌人・永井祐選、佳作。
梶原さい子氏の選後評
《かなしさの受け止め方の一つのかたちが示されている。
空を「近未来めく青」と受け止める心もまた少しかなしくて。
優れた韻律の歌でもある。》
〔解説〕
かなしみはかなしみのまま、
下手にいじらないで、
静かに受け止めたまま
生きていくのがいいのでしょう。
そして見上げれば、
そこには秋空が広がっていて、
その青色に近未来を、
つまり希望のようなものを
感じ取っているのでしょう。
一見シンプルな内容ですが、
抒情の余韻の薫る1首になったかなと思います。
角川歌壇 「短歌」2024年1月号・2月号より 滝口アルファ @971475
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