くしゃみと死神

義為

本編

「白い死神の正体は依然として不明ですが、今回視聴者より提供された映像から、身長160センチほどの女性と見られ...」

 ブツリとテレビの電源が切られる。否、ケーブルが幸村叶によって引き抜かれていた。

「機械は丁寧に扱ってくれたまえ、君」

 こちらの男はこのビルディングの主、神威カンパニーを一代で築いた男、人類の叡知により造られた「悪魔」をその身に宿した元人間、しかしてその名を神威という。

「それは確かにそう!でも、お説教は御免なんだけど!」

 人は彼を現代の英雄と呼ぶが、この少女一人に対等に扱われていた...常ならば。

「いや、お説教はさせて貰おう。君の身元は私が保証していて、君は人類のいずれ辿り着く高みとして自由を尊重している。ただし、それは我が悪魔技術の欠点を埋めるという契約を履行する限りにおいてだ。」

 幸村叶は押し黙る。かつてこの場で神威との命のやり取りを制した少女は、今は後見人に叱られる子供でしかない。

「助ける対象にも気付かれずに君の『使命』を果たすこと、それにしくじれば力の正体を単なる悪魔だと偽装すること、そして第三者には決して見られないこと。これをやり易くするためネットに噂を流しワイドショーに出演してまで、君の正体を「白い死神」という都市伝説で隠しているのだ。今回は失敗だったが、君自身を守るため以後気を付けるように」

 概ね至極全う、失敗の羅列、これまでの経緯と意図の確認、高圧的なのはお互い様なのでノーサイド。お説教ではあるが、必要以上の威圧は無く内心での反発すら許されない。

 だが、弁解というコミュニケーションを取らなければ言われっぱなしのストレスが溜まると叶は反撃のチャンスを探しながら聞いていた。

「弁解を述べるか?」

 チャンスはあっさり与えられた。

「事情は...ある。今回助けたのは、かつての私だから。ううん、間違える前の私だった。だから入れ込み過ぎたのは後悔してない。」

 幸村叶、開き直りである。神威は顔をしかめながらも話の主導権を諦めた。この少女の頑固さたるや、神威はその身で知るところであったのだ。



 薄暮の黄昏時、黒のセーラー服に身を包んだ幸村叶はとある住宅街を歩いていた。彼女はこの町の住人ではなく、通学経路として歩いているわけでもない。この町に意図を持って訪れていた。

 夕餉の香、家路に就く人々の音、当然あるはずの人の気配は、しかしその住宅街の一角にはなかった。噂は本当のようだ、と幸村叶は気を引き締める。

 この怪しげな噂が未だ噂に留まっているのは、通行人を巻き込む類の事件ではなかったからだ。住人が大量に行方不明となれば警察も動き、報道機関も飛びつくだろう。つまり、事件性が無いのだ。

 その一方で、事件性、それは悪魔召喚という新たな概念によって意味を失いつつある。悪魔というものは名前だけはオカルトそのものだが、この20年で人々の生活と切っても切れない技術となっている。科学と呼べるかは分からない。だが、多くの人間が基礎理論すら理解せずにそれを気にすることなく利用することは変わらない。違いは、技術特許申請などを一切行わずに神威が独占していること、神威が『元』人間の人外であることだ。悪魔召喚は人にとって価値あるものを差し出すことで等価のものを得るシステムだ。人が自然に見出した自然現象も、人が作り出した市場経済も、いまや人の意思によって蝕まれている。かつての常識は学びこそあれど実用に耐えるものではないのだ。

 幸村叶はこの噂を悪魔が関連した事件だと考えている。逆に、悪魔が関連していなければ彼女は年相応の平凡な少女でしかなく、噂の真実にはたどり着くことはない。

「どうしたものかな...5W1H、半分何処、何時、手段は決め打ち、もう半分何故、何、誰は不明か...」

 場所はこの住宅街、時期は噂の流れ始めた1か月前、手段は悪魔。期待を込めた推測で進めるしかない。外れれば解決は出来ないがする義務もないだけだ。

「住人が残っているなら話が早い。残ってなければ荒っぽい手段も取れる。なんとかなるかな」

 伸びをしながら独り言つ。鞄から架空の家庭教師を売り込むビラを取り出して眺める。手作り感満載のそれは、悪魔にいくらかの現金を差し出して作ったものだ。その程度の代償では本人が作るものとクオリティは変わらないが、時間の圧縮は出来る。自分の連絡先をこの一帯に仕込むため、そして周辺の監視カメラへのカモフラージュを兼ねてポスティングをしながら、人の痕跡を細かに観察する。今日は可燃ごみ回収の日、住人がいるならば収集用のコンテナやネットを動かしているだろう。一軒また一軒と住人の居ない住宅のポストにビラを差し込む。やはり郵便物が溜まっている住宅が多く、ごみを出した形跡は無い。ある家では犬小屋を庭先に置いているが、犬すら不在であった。

「分からん...」

 幸村叶、彼女は名探偵などではない。彼女が手に入れた情報は、無人の住宅街という噂が真実であることだけだ。区画を端まで歩いてしまうと、歩道のある道路を挟んで明かりの付き始めた区画が見える。ご近所づきあいというものが絶えて久しいこのご時世で隣の区画の家庭の事情を聞けるものだろうか。あるいは、無人の邸宅に忍び込んでより詳しい調査をすべきだろうか。


 

 そう考えながら道を振り返ると、区画の中ほどの一軒家で明かりが付いた。確かごみを出した形跡がなく、ポスト内の郵便物が一番多かった二階建ての家、山田家だ。手がかりの気配に胸を高鳴らせながら、状況を整理する。事前に考えておいた在宅判別法ふたつに反しながら、今住人が表札を照らす電灯のスイッチを押した。住人は日常生活を送りながらも、最近は家事に手が回り切っていないのだろう。そのようなことを言語化しないうちに思い浮かべながら、幸村叶はインターホンを押していた。...三秒おいて、カバーストーリーをざっくりと練り上げる。

「こんばんは、神威高校新聞部の斉藤と申します。現在不在となっていらっしゃいますご近所の方についてお話を伺えますでしょうか」

 肩書は全て架空のものだ。神威高校などという高校は存在しない。...反応は無い。だが、改めてこの家を観察してみると、分かることがある。かすかに音を立てながら換気扇が回り、カップ麺の匂いが吐き出されている。そして、部屋の明かりはその一室、おそらくはキッチンのみ付いている。この一軒家に単身世帯ということはあるまい。

「失礼ですが、ご家族の方はご健在でしょうか。何かお手伝いできることはございますか」

 物音が響く。何かを床に落とした音だ。粘ったかいがあったと叶は言葉を続ける。

「こちらの区画を回らせていただきましたが、一人もお会いできませんでした。なにかお聞き及びではございませんか」

「...」

 インターホンからノイズが響く。叶はしめたと佇まいを正す。

「ここから離れて!お姉さんも病院送りになっちゃう!」

 聞こえたのは、声変わり前の少年の声だ。同時に、気配を感じた。五感ではない。


 

 血がマグマの如く沸き、背骨が冷えた鉄骨となる。神経を駆け巡る興奮は光の速さに等しい。

 今この瞬間、幸村叶は人ではなくなっていた。人でないならば、かの神威と同じく悪魔か。

 否。それは悪魔を超越し、悪魔を狩るもの。

 この世にただ一つの存在に名は無い。

 それは噂ではなく紛れもなく現代に生まれた伝説、只人が『白い死神』と呼ぶもの。

 

 

 幸村叶は揺らめきながら現れた一本の刀を正眼に構える。その刀は異様な姿をしていた。刀身も鍔も柄も、全てが白い。夕暮れでありながら眩いほどの純粋な白。かつて彼女が従えた形ある悪魔が遺した純粋なる力、悪魔の契約を無に帰す悪魔祓いの刃である。姿は見えずとも、その存在を察知した狩人は、今にも放たれようとしている一本の矢だ。

 しかし、何も現れないどころか気配は去り、何の変哲も無い住宅街に幸村叶は取り残されていた。悪魔とは形なきシステム。物質として形を得るには大きな代償を払わなければならない。そう、彼女が従えていた悪魔が彼女の両親の生命を変換して生み出されたモノであったように。彼女は形なき悪魔をも斬って捨てることすら可能だが、悪魔の契約者か効果対象を前にしなければ叶わない。先ほどの気配は彼女が悪魔の標的にされたことと等しく、今はそうでない。つまり、悪魔は彼女を見ている人間に従って狙いを付け、外したのだ。

「君、そこを動かないで!」

 この場にいるのは幸村叶、この住居に残された少年、そして悪魔を操る何者かだ。白き剣閃が玄関ドアを袈裟に裂き、蹴り破り、廊下を駆け抜け、少年の眉間を貫く...その一寸手前で止まった。

 まるで時が止まったかのように、その場に動くものは無かった。一瞬の間でそこに現れた幸村叶と、自分に突きつけられた刀という異物を認識しきれない少年は、互いの瞳の奥を見つめていた。

 何秒が経っただろうか。あるいは、一瞬であったかもしれない。二人は同じ感情を互いの瞳に見出していた。困惑。そこには狩るものと狩られるものではなく、土足で立ち入った少女と住人の少年しかいなかった。先に動いたのは幸村叶だった。

「あの...ごめんね。悪魔に狙われた気がして、誰が容疑者かと考えたら、君かなって...」

「...」

 言葉を発すると同時に刀は消えていた。しかし、少年の目にはその輝きが焼き付いていた。

「まさか、白い死神...?」

「ハハハ、なんのことカナー?」

「こ、殺さないで...」

 消え入りそうな声ながら、振り絞った少年の声。視線は動かない。それは恐怖か、諦観か。

「大丈夫、大丈夫。殺さない。白い死神は悪魔を狩るだけでしょ?」

「悪魔で悪いことをしたら死神が全部めちゃくちゃにするって...」

「え、そんなことは...ある...かも...」

「ひぃ...」

 そう、幸村叶はかなり滅茶苦茶をしてきた。殺しこそしていないが、悪魔召喚を悪用した組織を叩き潰したことがある。

「悪いことはしてないでしょ?」

「それが...した」

「したの!?」

「悪魔を呼び出したら、この辺一帯の人たちを病院送りにしちゃった」

「病院送り...病院送りかぁ...」

 大事ではある。しかし、この言い方では命には関わらなそうだ。こじれる前に状況と経緯を聞き出そうと叶は考える。

「まあ落ち着いて。こらしめるか助けるかどうかは話を聞いてからにするから、まずは何が起こったのか教えてくれる?」

「うん...」

 少年が怯えているのは叶の目にも明らかであった。五秒ほどの間をおいて、幸村叶は切り出す。

「よければ、お茶を入れてもらえるかな?」

 少年が震えながら急須に茶葉を入れたのは想像に難くないだろう。

 


 茶をすする音、壁掛け時計の秒針が進む音、そして自身の心音が部屋に響くのを少年、山田宏樹は感じていた。斉藤と名乗るこの女学生、宏樹から見れば異常者でしかない。怪異現象に巻き込むまいと追い払うつもりでインターホンにて応答したのも遠い過去のようで、今は都市伝説、白い死神の言いなりになって時間が解決してくれるのを祈っていた。

「食事中に邪魔してごめんねー。お茶美味しいです」

「それはどうも...」

「おお、甘い茶菓子が欲しいなー」

 気さくに話しかける叶であり、印象の軟化にこそ成功しつつあるが、宏樹にとっては伝説の死神兼変な女へと姿を変えるのみである。既にカップ麺は伸びるだけでなく冷えきっていた。

「お姉さん、何者なの?」

「しがない新聞書きの学生だよー」

「嘘でしょ、それ」

「そういうことにしてくれたらスムーズなんだけどなー」

 幸村叶はとぼけるが、最初の土壇場で否定しなかった時点で手遅れである。

「じゃあ良いけど。近所の失踪事件、犯人は僕だよ」

「集団失踪をどうやって引き起こしたの?」

「...悪魔の暴走」

「やっぱりね。時系列順に話せる?」



 宏樹は両親の結婚記念日にサプライズをしたかったが、なにをすれば良いか思い付かなかった。どうせなら自分の予想も付かないことにしようと、数年貯めていたお年玉を触媒に悪魔を召喚したのだ。その場ではなにも起こらなかった。そういうものかと思って待っていたその日、結婚記念日の朝、事件は起こったのだ。宏樹が大きなくしゃみをすると同時に両親は床に倒れ込んで、なんとか呼んだ救急車で運ばれたのだという。そして、その週のうちに付近一体の住人たちは皆入院したのだという。

「僕が召喚した悪魔で病院送りになった人は30人を越えてるんだ!もうどうしたらいいのか分からないよ」

「大丈夫、まだ取り返しは付くかもしれない」

 叶の言葉は真剣なものとして宏樹に届いた。

「そうなの?」

「お見舞いには行ったの?」

「行ってないよ。行けないよ」

 それもそうか、と叶は顎に手を当てる。

「じゃあ、私が行ってくる。解決の糸口が掴めるかもしれない」

 不安ならここで待っていて構わないとの叶の言葉に安心した宏樹は、続いて発せられるもう遅いから一晩の寝床を貸せとの言葉に仰天させられ、感情の乱高下で眠れぬ一晩を過ごすことになるとは露ほどにも思わなかった。



 翌朝、幸村叶がカップ麺とドリップコーヒーを胃に流し込んで山本夫妻の入院する病院へ向かった後、山本宏樹はどさりとソファーに腰を下ろした。あの日から1ヶ月ほど、食事はネットスーパーで買った保存食で済ませていたので外出は生存に必須ではなかった。人と話すのもあの日以来という状況で心は錆び付き、現実から逃れるようにのめり込んだゲーマー生活で体は鈍っていた。加えて昨晩は一睡もしていない。宏樹は鈍った意識を必死で引き留めるようにかぶりを振って、昨晩からの激動を振り返る。

 斉藤というのは偽名であろうが、そこに踏み込むとどうなるか分かったものではない。あの死神は身長が自分と同じくらいだが、年齢は3つほど年上であるように見えた。あの一瞬、白く輝く刀を突き付けられたときを除いては。あれは本当に人間なのだろうか?勝手に上がり込んで寝床と食事を要求する傍若無人ぶり、その一方で真剣に自分が起こした悪魔暴走事故に向き合ってくれている年上の少女。昨晩を通しての評価はそうすべきだと宏樹は思おうとする。それでもあの瞬間の彼女が恐ろしくて、何度もフラッシュバックして仕方がない。その手に持った刀、それで命を簡単に奪ってしまえる。刀という凶器が恐ろしいのではない。刀をすぐに振るえる精神性が、その後の彼女に見える人間性から大きく外れていたことが恐ろしいのだ。

 山本宏樹は自分の感情を言語化して整理をつけると、自分の疲労、空腹、そして眠気に気付いた。キッチンに置いた段ボールからカップ麺を取り出し、ポットから湯を注ぐ。シンクにはざっと水洗いした同じカップ麺の空き容器に来客用のマグカップがある。なんだ、あの死神も食事をするし人並に気を使っていたのだ。

「死神...さん」

 思わず自分の口から零れた言葉に、宏樹は驚くと同時に、あの死神をどう捉えるかという落としどころを見つけた気がした。死神であり、人間でもある。それなら恐怖も信頼も別々に抱いていれば良い。少し気分が晴れた宏樹はカップ麺のフタを剥がして麺を啜る。少し硬い麵を咀嚼しては飲み込み、今日これからのことを考える。まずは1時間の仮眠、そして死神さんを待つ、そう考えがまとまるころには容器は空になっていた。伸びをして、一晩眠れなかった自室に向かい、ベッドに倒れ込む。温かい。柔らかい。沈んでいく意識の中で、少年は1か月ぶりの穏やかな気分に満たされていく自分に気付くこともなかった。



「起きろー少年ー」

 少年を夢すら見ることのない眠りから引き上げるのは、少女の声。もう夕方だぞー、と口にするのは幸村叶。夕日に染まる部屋で眩しそうに目を細めるのは山田宏樹。

「明日、君の両親は帰ってくるよ」

 その言葉に、宏樹は飛び起きた。期待することすらやめていたものが、こともなげに言われれば無理もない。

「どういうこと…?」

 どうもなにも言葉通りだけど、と叶は首を傾げる。

「ご近所さんも帰ってくるよ」

 早鐘のような心音が宏樹の体内に響いていた。どうして?どうやって?あまりに急に動いた状況に置いていかれている宏樹をよそに、叶は口を開いた。

「君が悪魔に願ったときに言ったこと、両親が腰を抜かすほど驚く何か、とかだったんじゃない?悪魔は正しく願いを叶えた。君のご両親とご近所さんはギックリ腰で入院してたんだよ」

 宏樹は口を動かそうとしたが、言葉が出なかった。それも当然であろう、悪魔の願いでギックリ腰にさせてしまった1ヶ月だったと?

「ちょちょいと悪魔、祓ってきたからモウマンタイよ」

 悪魔を祓う、それは契約を履行するシステムに介入して強制終了させるか物理的に悪魔を破壊するかのどちらかであり、叶は後者を実行した。当然ながら、その道のプロフェッショナルでなければ命に関わる危険な行為である。

「やっぱり死神だったんだ…」

「まあそれはいいや、とにかく、契約は慎重かつ明瞭に口にしなきゃ危ないから、気をつけること!」

 私みたいにならないで、と宏樹は耳にした気がした。

「じゃあね!もう小言は十分だろうから言わない!元気にご両親を迎えてあげて!」

 下半分が吹き飛んだ玄関ドアをくぐって、幸村叶は去っていく。夕闇の中、その姿をドアホンが写していた。



「…という訳で、病院で企まれていた大量悪魔召喚実験を阻止したことは当然言わずにクールに去ったのよ、私は!」

「当然だな。来月の活動費は申請制にさせてもらおう。」

「なっ」

「小言は十分、だろう?話は終わりだ」

 自分の行動を見つめ直せ、との言葉は言われずとも叶の胸中に浮かぶのであった。

 神威が話を聞きながらプラグを挿していたようで、テレビモニタが再び起動する。

「...病院の理事長以下経営陣5名が悪魔規制法違反の容疑で逮捕されました。捜査関係者によると、神威カンパニーの協力により被害者は保護され、現在は悪魔汚染もないことが確認されています。」

「ちゃっかり自分の手柄にしてるし…」

「君も手柄のためにやっているわけではないのだろう?私もそうだ。これにて一件落着というのが丸く収まるだろう」

 叶が文句をつけようとしたその時、セキュリティ警報が社長室に鳴り響く。

 モニタが映すのはエレベーターホールだ。そこには一人の少年がこそりと隅を走る。

「度胸はかつての君に並ぶな」

 二人してため息をつく。

「…ん?もしかして、私のときもこんなサイレンが鳴ってた?」

「当然だ。来るもの拒まずが私の主義だが、佇まいを直す程度はしたいのが人情だろう」

 まあ、今日の客は君目当てだろうがな、と神威は笑う。

 やはり食えないやつ、そう思いながら予期せぬ来客をどうしたものかと考える叶であった。

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くしゃみと死神 義為 @ghithewriter

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