第8話 : 再会した運命 [4]

「さあ!じゃあ、ここでお互いをもう少し深く知っていく意味で、お互いに克服したい短所を一つずつ言うのはどう?」


彼女は私がぐずぐずしているのを見て、私の心を読んだかのように先に言い出す。


突然の質問に戸惑ったが、いざ彼女が好きか嫌いかをきちんと答える暇さえ私にくれない。


「さあ…返事がないね。 こういう状況、慣れてるよね。 私が直したい短所を先に言うことにしてもいいよね?」


彼女はただ話し続ける。


「私は何か早く熱くなって、早く冷める鉄の塊みたい。 私が思う短所だよ。 ただ忍耐力不足。」


「あ… そうなんだ。」


「さあ、お前の番だよ。 公平に一つだけ正直に言って! そう言おうとするのにきっと勇気が必要だろうけど、いざ打ち明けてからはすっきりして気持ちいい! 私が断言するよ!」


私はそう返事を強要されるが、むしろ嬉しいだ。 むしろ彼女の言うことが正しいような気もする。 先にこのように率直に打ち明けられるようにしてくれてありがたいだけだ。


「私が直したい短所は高いところを恐れることだ。」


「よし!やっぱりそうだったんだ! 率直なのがとても素敵だね。」 私は思い切って告白した事実だが、彼女はむしろ平然とした反応だ。 今日一日私が見せた姿を考えてみれば、これが当然なのかもしれない。


「もう寝よう。 時間が遅かった。 今日は本当に面白かった! 明日も一緒に楽しく遊ぶには早く寝ておかないと。」


「そうだね。」 ベッドに横になるとまるで夢のような一日が終わったということが実感され、目が閉じる。


そうして一日が過ぎ、翌日カーテンの間から入ってくる日差しに目が覚める。


伸びをしながら寝床から起きる。


私があくびをしながら寝室から出ると、まるで待っていたかのように彼女は挨拶をする。


おはよう!よく眠れた?」


「おはよう!」


「今日も楽しく遊んでみよう!」


「そうだね。」


私たちはトーストと牛乳で朝食を済ませ、ホテルから出る。


「じゃあ、今日の賭けは何?」 今は完全に適応して何が待っているのかむしろ楽しみだ。


「今日の賭けは決まったことが何もない!」


「決まったことがないって?」


「ない!」


「それはどういうこと?」


「お互いに試験を一つ出して先にやり遂げる人が勝者になるんだ。 この賭けで勝った人は次の賭け種目を好きなようにできる!」


「もう私に何をさせるか決めておいたの?」


「昨夜言ってくれたじゃない? これがこの勝負の核心だ」


「最初からこういうつもりで聞いてみたの?」


「さて、あなたも何を私に注文するか考える時間が必要でしょう? 近くを一度見回してから決めたら、ここに戻ってくることにしよう。」


「いいよ。」 彼女が何をさせたいのか分からなくて少し怖いが、こうなった以上肯定的に考えることにする。 ぐずぐずしても変わることもなく、今まで彼女がしようということだけをしてきたのに、私が初めて彼女に望むことをさせることができるというのは明らかに魅力的だ。


彼女が去る姿を見ると、自然に焦ってじっとしていられない。 承諾はしたが、彼女に何をさせたら私が賭けに勝てるか頭の中が複雑だ。 昨日彼女が言ったことと行動をじっくり考えて決めることにする。


彼女にふさわしい贈り物を見つけに向かったのは元町商店街だ。


長く並んだ店の行列からあらゆる物が私を誘惑するが、いざ手が届かなくてただうろついているだけだ。 彼女の忍耐心を限界まで引き上げる物が果たして何があるか悩んでいる中で、記念品店に陳列されたジグソーパズルが目に入る。 展望台から見下ろす横浜の景色が盛り込まれたパズルだ。 数多くのパズルピースの前でぎゅんぎゅんという姿を想像すると、他のものは目に入りもしない。 彼女に一番似合うプレゼントだと思うと自然に微笑む。


きれいにギフトラッピングまでして約束の場所に戻ると、彼女が手を振って歓迎してくれる。


「ここだよ!」


「早く来たね。」


「すでに考えておいたことがあったんだ。」


「よし!」


「まさにここだ!」 彼女が私に小さなメモを一つくれる。


「ただここに行くだけでいいの?」 私がメモを広げてみると住所が書かれている。


「何か私も漠然としていたが、ただ歩き回って目に入るものがあったの。」 私もやはり彼女にプレゼントを渡す。


「ありがとう!果たして何が待っているのか本当に楽しみだね。」 彼女は箱を持ち上げて振る。


「同じだ。」 私もやはりそのメモをはためかせながら意欲を出そうとする。


「気をつけて行ってこい! ここで待っているから!」


道でタクシーをつかまえて運転手にメモを渡す。


「ここの住所に書いてあるところに行ってください。」


期待感に満ちて到着したところにバンジージャンプ台がぽつんとある。 高いところに来るとかすかに察したが、バンジージャンプをしなければならないとは知らなかった。 見上げるだけでも鳥肌が立って足がぶる震える。 このような試練を目前にしているので、努めて視線を避けようとする。


ただぽつんと立ったまま周りを見回してみると、後ろから誰かが話しかける。


「ひょっとして何の勝負で来るというのは君か?」


「え?」


「少し前に一人の少女が来て言ってた。 自分の短所を克服して願いを叶えるためにここに来てバンジージャンプをしようとする人がいるんだと」


「ああ…はい」他の場所を見回す理由がなくなった。 努めて卑怯に避けようとしたことを再確認したに過ぎない。 特に気が進まないのも事実であり、そのように無視しようとした自分が恥ずかしくてどうしても堂々と答えることができない。」


「こちらについてきてください。」


このままでは何も得られないまま時間だけ無駄にすると思って、とぼとぼバンジージャンプ台に行く。 この試験を早くパスしなければならないという考えで焦ってはエレベーターに乗って上に上がる。


ジャンプ台の端に近づいて見下ろすと、くらくらする光景だ。 私の身長に2倍は超えそうだった木が、ただ小さな一点に見える。 鳥肌が立つ。


恐怖に捕らわれてエレベーターの方へ後ずさりすると、その男が私の肩をつかむ。


「諦めるの?」


「あ…違います。 ちょっと他の所に行ってきます。」 臆病者のように逃げようとする私を叱責する質問に足を止めてどもる。


高いバンジージャンプ台の上にぎこちない静寂が漂い、どうしてもこのような卑怯な言い訳以外には到底何を言えばいいのか思い出せなくて、 きょろきょろと眺めているだけだ。 この雰囲気から抜け出そうと何か付け加えても、その事実を自ら認めながら自分だけが哀れになる格好だ。 敗北感が増すだけで、何も変わらない。 かえってそっぽを向いてしまった方がよさそうだ。 今すぐできる最善の策だ。


いざこの試験に関心を置こうとすると、自然に今彼女が何をしているのか不思議に思わずにはいられない。 恥ずかしく逃げたことに罪悪感を感じて他の関心事で慰めを得ようとするような気もするし、やはり早くやり遂げなければならないという負担感に押さえつけられた彼女の姿を見ながら同質感を感じたいような気もする。


エレベーターの前に立ったままこのような無駄骨を折るのが情けないが、やはり到底だめだという考えで下した決定だと合理化しようと思う。


そのようにタクシーに乗って彼女と別れたところに戻ると、やはり彼女はその場でパズルのピースを合わせている。


彼女に近づきたいが、バンジージャンプ台でそうしたようにためらうだけで、どうしても勇気を出すことはできない。 バンジージャンプを成功させたかどうかを聞くのは明らかだが、いざ言うべきことは怖くて降りてきたということしかないからだ。 こんな私の姿を想像すると、ただ愚かにも自分の墓を掘るに過ぎないという気がする。 もっと恥ずかしい姿だけを見せることを望まない。


負担感を少しでも減らしたくて来たのに、そのように努力する彼女をじっと見るとむしろもっと焦る。 右往左往するのは私一人だったという事実だけを自ら刻印させたに過ぎない。 彼女と同質感を感じるどころか、卑怯な自分がもっと情けない。 ここにこれ以上いる必要はないという気がして、心だけが重くなる。


彼女に一言も言えないまま時間をつぶしてバンジージャンプ台に戻ると、まるで彼がそんな私を待っているかのように立っている。


「ねえ…」 私は慎重に彼に話しかける。


「え?また来たの? 諦めたと思ったのに。」


「はい、また来ました。」恥ずかしそうに去っていった私をからかうようなその言葉に良心が刺さるが、努めて平気であるかのように平然と答える。


「また上がるの?」


「はい。」 もしかしたら私が戻ってくると知っていたかもしれない。


「さあ, 行こう。」 彼はエレベーターを指差し,私はじっと彼の後を追う。


エレベーターに乗って登りながら複雑な気持ちだけだ。 今すぐできるなら飛び降りたい気持ちだ。


頂上に到着して安全装備を着用すると、自然に実感が湧く。 手から冷や汗が出て足が震えるのが証拠だ。


その時、後ろから誰かが私を呼ぶ声が聞こえる。


「何だよ!まだのか?」


「何だ…お前成功したのか?」 恐怖から悟らせる声にびっくりして振り返ると、彼女は手を振りながら明るく笑っている。


「そう、そしてここに来たんだ。 諦めたのか気になって。 見たところまだ迷っているようだけど? ずるい何時間もかかる課題を与えておいて、いざ自分はこんなにぐずしているなんて。 私が君にあげた課題は5分もかからないのに!」


「まあ…」どうしても反論する適当な言葉が思い浮かばなくて、ただ心の中で臆病な自分だけを恨むだけだ。 ここで何か苦しい言い訳をしたところで、さらに惨めになるだけだ。


「まさかこのまま諦めるんじゃないよね? そしたら本当にがっかりすると思うんだけど。」


私は何も言わずに彼女を見つめるだけだ。


「しょうがない。 私が一緒に飛び降りてあげる。」 彼女はゆっくりと私に近づいてくる。


「え?どうしたの?」私は予想外の答えに戸惑って後ずさりする。


「君が私にくれた試験に合格したことを見せようとしているんだ。 君が飛び降りられるまでここで私も下りずに君を待つよ。」 彼女は私に完成したジグソーパズルを取り出して見せてくれる。


積極的に近づいてくる彼女を見ると、昨日祠堂で彼女が言った言葉が思い出される。


小細工をしてみたが、変わることは何もないということに気づくだけだった。 もしかしたら正解は最初から明快なのに、自分自身が無視しようとして頭の中が複雑になるようだ。 逃げられないなら、むしろ向き合って乗り越えなければならない。 自分が作り出した偽りと偽善の霧で隠された真心を分かってくれるのはただ私だけだ。


「そうだね。一緒にやればできるよ 彼女の言葉と行動に勇気を得て、固く決心して飛び降りることにする。」


「よし!その決定! 絶対後悔しないよ!」 彼女はまるで私がこの決定を下すのを待っていたかのように歓迎する。


いざ私が彼女と一緒に安全装置に縛られると、一人の時よりずっと心強い気分だ。


「さあ!一緒に行くんだ。」


「バンジー!」


私は目を閉じたまま、ただ体が宙に浮いているという事実だけでバンジージャンプをしたことを認知している。


「さあ、早く目を開けてごらん!」


私は彼女の言葉に勇気づけられ、やっと目を覚まして空から風を切り裂くような恐ろしい経験を満喫する。


列にぶら下がったまま上がったり下がったりを何度も繰り返しては地上に降りてくるが、魂がまだ空をさまよっているようで呆然としている。 彼女の助けを借りてやり遂げたバンジージャンプだが、成功したことが実感できない。 明快な真心に率直に向き合うというのが、このような気持ちかもしれないという気がする。 恐怖を克服したのが嬉しいからか、それとも短すぎて十分楽しめなかったのが残念だったからか、どうしても足が進まない。 地面に両足をつけると気分はそれでも少し楽になったようだが、このような大したことでもないことで時間を浪費したのが恥ずかしいだけだ。


「どう?面白いでしょ? もう2対2の同点だよ。 とても素敵に飛び降りたけど、勝負は勝負!私が先にやったから勝者は私だよ。」


「ありがとう。こんなに一緒にいてくれなかったら、できなかっただろう。」


「大したことない! とにかく最後の賭けで何をするか決める権限はまさに私が持っているということだ!」


「そうだね。何がしたいのか気になる。」


「早く出発しよう。 今この雰囲気が消える前にやりたいことがある。」 彼女は私の手を握って強く引き寄せる。


「ええ。」 私はあわてて無気力に彼女に引きずられるだけだ。


急いでタクシーに乗り込み、彼女をちらりと見ると、彼女の表情に期待感が膨らんでいるのを発見する。


タクシーが止まるのはみなとみらいにあるある大観覧車の前だ。


彼女は降りて広い海を眺めながら伸びを一度伸ばして、また私に首を向ける。


「今までお疲れ様。 いよいよ最後の賭けだよ。 これさえ勝てば願いを叶えるんだよ。」


「そうだよ。」


「この観覧車に私と乗るか、それとも乗らないかを決めるんだ。」


「え?」


「君がこの観覧車に乗ることになれば、君が勝つし、乗らないことにすれば、僕が勝つんだ。」


「これが君が望むその賭けだということ?」


「そう、本当に簡単だよ。 まさかバンジージャンプまでした人が怖いとは言わないよね?」


「私を試験するということはよく分かるんだけど、ちょっと予想外だね。」


「そう、そして、この質問をかけること自体が自分自身を試すことでもある。」


「喜んで受け入れてあげる。」 私は堂々と自分の足で大観覧車に乗ることにする。


「やっぱりそうだと思った。」 彼女もついてきて大観覧車に乗るとすぐドアが閉まる。


大観覧車が次第に空に向かって上がる。


都市と海が調和した風景をただぼんやりと眺めるだけだ。


彼女は私の顔をちらりと見て、先に言い出す。


「どう?この賭けを始めた時から君に見せたかった風景だよ。 本当に感激だよ。」


「そう、本当にきれいだね。」


大観覧車が大きく一周して再び元の位置に着いてドアが開くと、周辺のすべてが幻影のように消える。


いつの間にか大観覧車は見えず、昨夜見た祠堂だけが高い階段の上に止まっている。


「行こう!」彼女は私の手首をつかんで神社に強く引き寄せる。


「これがいったい…」闇の中で見た時はこんなに高い所にあるとは知らなかった。 その時は何も見えなかったので、小さな光だけを漠然と追いかけるだけだった。


「諦めちゃうんじゃないかと心配したんだ! 最後まで一緒にいてくれてありがとう。」


「お前だったんだ。あの時ここで会ったあの人。」


「誰?多分違うと思う。 私はただここで願い事をしただけだ。」


「すべてが私をここに連れてこようと企んでいるの?」


「どうかな?何かすごく語感が悪いみたいだけど… 一緒に遊びたかっただけだよ。 最善を尽くした! 」


「そうだね。」


「結局、君の願いは何だったかな? ここを離れること?それとも留まること?」


「君の願いは何だったの?」


「私の願い?私たちのトラウマのような短所を一緒に克服すること。」


「それでは最後の試験の意味は…」


「そう、私があなたを心から信じていることを証明する試験だった。 バンジージャンプをした時、君なら高いところに上がる恐怖を乗り越えられると感じた。 その信頼に応えてくれて本当にありがとう。」


「それでは…私が乗ることを拒否したら…」


「それはあなたが恐怖を克服できなかったという意味でもあるから、私の願いも叶えられなくなるんだ。」


「そうなんだ。」


「私はこの願いのために勝とうとしたが、あなたは本当に頑張った理由が何だったのだろうか? 私と遊ぶのが好きでか? それとも旅立ちたくて?」


「私は…」


「小言が長かったでしょう? これから願い事をする番だよ。 答えは私にするのではなく、この香炉にするのだ! ここに来て。心のこもった願いなら、きっと香炉がわかってくれるはずだ。 きっと聞いてくれるって!」


私は香炉の前に立って大きく息を吸う。


「私の願いはここを離れることだ。」


まさにその瞬間に香炉の火がゆっくりと消える。


「わかった。」


「でも、これで終わりじゃない。」


「これはまた会うその日を約束するんだ。」 香炉にまた別の花火が咲く。


「よし。また会うその日を待っているよ。」 すべての話には終わりがあるが、終わりはまた別の始まりを意味する。


後ろを向くと駅に立っている。


列車が到着する。


淡々と列車に乗り込む。

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