第7話 ハルマの好きな人

気まずくなってしまった。


「まあ、俺にできることがあるなら協力するよ。」


それが何かは全くわからないけど。



「……じゃあさ、練習付き合ってよ……。」


「え……ああ。」


今?このテンションで?



ハルマが近寄って来て、キスをする。

ハルマが好きな女の子なら、あの澄ましたハルマからこれだけ求められたら気持ちいいだろう。


かくいう俺も、ハルマの吐息と丁寧な舌使いに興奮してきた。

さっきはその気になれるか自信がなかったのに、なんて現金な奴だろう。




「あのさ…。まあ、キスを始めてしばらくたつけど、練習に……なってる?」


「……うん。どうしたら気持ちよくなるか、わかってきた……。」


そんなこと考えながらやってたのか……。

器用だな。



でもきっと、相手が違えばやることも違うだろう。

早く練習じゃなくて、ちゃんとハルマが好きな人とできたらいいのに、と思った。



―――――――――――――


帰り道、ハルマの好きな人について考えていた。

練習は大事だけど、知らなかったとは言え、ハルマのファーストキスを奪ってしまった。


ハルマはそれで良かったんだろうか?

下手でも、初めてはちゃんと好きな人が良かったんじゃないだろうか。

よりによって、俺が相手って……。

でも、それって、ハルマは案外男もいけるってこと?


そうか、アイツは男を好きになってしまったのかもしれない!

なら、言ってたこともわかるし、俺に練習を頼むのもわかる!

合点がいった。


ハルマがそんなハードな恋愛をしていたとは知らなかった。

応援しよう。

ハルマが他の人とは違う選択をしたとしても、俺はいつでも味方だ。

幼馴染で、あいつをよく知っている俺にしかできないことだろう。

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