第14話リーシェ、フロアボスに喧嘩を売られる

「像の正面三マス以内に入ると入り口に戻されよう」


「どうやら、この大量に並んでる像の正面三マス以内に入らないように進むのが条件みたいですね」




成程。なら簡単ではないですの?




”そうそう、像を一つづずらして”


”頭使うゲームみたいw”


”リーシェちゃん。俺達も手伝う!”




「レールガン!」




”ふぁッ!”


”え? 何してんの?”


”リーシェちゃん。像を一個ずつ”


”駄目だ聞いてねぇw”




「レールガン!」




”斬新な謎解きw”


”そんなのあり?”


”リーシェちゃんならありw”




「あれ? この像だけ色が違いますの?」


「何か怪しいですね」




”絶対ギミックだよw”


”間違いない”




「なんか変な顔ですの」


「髪飾りの形が変ですね」




『ゴン』




「? なんかドローンが壊れましたの」


「リーシェ様。私が修理します」




「なんか変な髪飾りですね・・・」


バキッ


「やらかしたのですわ」




”なんか変な音がw”


”やらかしたとか?”




「リーシェ様。私が見てないところで変なことしないでくださいよ」




ガンガンガンッ!




”なんか変な音が響いてるw”


”てか、なんの音?”


”さっきっから色々破壊音が聞こえるんだが?”


”アリスちゃん。それ、フラグw”


”リーシェちゃん、何してんの?”




「・・・これでわかんないのですわ」 




ゴゴゴゴゴゴゴーン!




”何が起きてる?”


”なんか硬いもの殴ってる?”


”マジで何やってんだかww”




「やっぱりだめですわ・・・もう、いたずらしますわ」


 


キュッキュッ。




“なんか油性マジックの音・・・”


“ぞくぞくっと感じて不快”


”まだ猿みたいな生物だった頃の 仲間に危険を知らせる時の鳴き声に似ているから”


”それとは違う意味で嫌な感じがする・・・”


“ちょ、リーシェちゃん、マジで何してんの?”




「ドローンの修理できました」


「あっ! 見つかっちゃった。わ、私じゃないのですわ!」


 


“なんで落書きしてるの?w”


“いや、像が可哀想すぎるw”


“駄目だ。腹がよじれるw”


“ちょっと見てない間にw”


”フリーダムかよw”


”アホの子だw”




「私が悪いんじゃないですわ。だって、像に怪しい鍵穴があって、髪飾りが多分鍵だと思ったのですわ。でも、違っていて、これ考えた人がおかしいのですわ。ヤバいと思って、殴って顔を整形しようとしたんですけど、上手くいかないから、油性マジックで少しは見栄えがいいように。・・・髪飾り無くなっちゃったし・・・」




”バカすぎてワロタw”


”人のせいにするのはよくないw”


”髪飾り無くしちゃったしじゃねえよw”


”落書きのクオリティが酷すぎてワロタw”


”落書きくそわろたw”


”まずは絵の塾に行こうw”




自分でも信じられないセンスの落書きの顔の像の前で立ち尽くす。


髪飾りが無くなって、不自然な顔になってるのですわ。


 


私、知りませんでしたわ。自分にこれほど絵の才能がないなんて。落書きが恥ずかしくて、誤魔化すためにギミックを解除しようと、天井をレールガンで撃ったりしていたんだけど・・・とにかく色々頑張ったのですわ!


「あ! 壁がはがれてきたのですわ!」


「リーシェ様! 天井が壊れてるのですけど? 何やってたんですか?」


どうしよう・・・と思案していると。


「リーシェ様。この鍵穴の鍵を探せばいいんですよ」


「その鍵が何処にあるのかわからないのですわ」


「あの一か所だけ色が違う床が怪しいんじゃないですか?」


「え? ほんとですわ」




”アリスちゃん有能”


”リーシェちゃん、マジアホの子w”




「よいしょ」


「宝箱がありますね」


「よし、とりあえず宝箱開けるのですわ」




”絶対ダメw”


”今までどこで探索者してたんだよ・・・”


”異世界でしょw”


”マジで可愛いw”


”いきなりヤケクソで地雷踏み抜こうとしてて草”


”異世界レベルのスリル・・・!”


”今までのと違う意味でやべえ・・・!”




歴戦の戦士である私も流石にこれだけの人達の意見を無視できませんわ。


賢い私はアリスに聞いてみたりする。




「アリスだったら宝箱どうしますの?」


「もちろん宝箱を開けます!」




”こいつら、ダメだw”


”常識! 誰か常識あるヤツ連れて来い!”


”アホしかいねえww”


”アホの子が増えた・・・”


 


「空きましたわ」




”フアッ?”


”なんで開けたw”


”開けたww”


”開けたんか!ww”


”くっそワロタw”


”何故ここで開ける必要ある?”


”むしろ開けて何も起きん方が謎w”




「と、言うことは、この鍵で錠を開ければ良いのですわ」


「待って下さい、リーシェ様。それはおそらく罠です。こっちの鼻の穴が正解と思います」


 


”なんでそうなるんだよ・・・!”


”なんで鼻の穴?”


”なにこの面白い子はww”


”鼻に突っ込むなw”


”クッソワロタwwww”


”想像したら笑いが止まらんw”


”腹ww痛いwwww鼻に突っ込むwwww”


”何のために鍵穴あったんだよww”


”逆にわかりにくいわww”




「えい。あれ? なんで? あ! ヤバい」




ゴキン




「・・・」


「・・・」




”なんか変な音した?”


”もしかして、鍵折れた?”




「・・・鼻がもげちゃったのですわ」




”そっち?”


”もうだめだww”


”笑いが止まらねえww”


”リーシェちゃん天才ww”


”何気にアリスちゃんも逸材ww”




「アリス。気にする必要ないですわ。こっちの鍵穴で開けば正解で、それで終わりです」


「でも、もし、また違ったら?」


「その時は帰るのですの」




”ちょww笑い過ぎて死にそうww”


”重ね重ねやらかすなww”


”散々ボス部屋荒らして帰るつもりだぞww”


”せめてクリアしてww”


”駄目だww笑いを堪えきれないww”




鍵穴に鍵をさすと、かちりと音がして、次の部屋へのドアが開きましたわ。


次の部屋へ移ろうとした時、突然大声が聞こえたの。




「ちょっと待て!」


 


”!?”


”なに?”


”なんか大きな声が響いた!!”


”誰?”




「私の・・・私の・・・! 私の顔に落書きしたのは誰だぁっ!」


大きな声の主はさっき落書きした変な像だった。髪飾りには気がついてないのですわ。


「髪飾りももいだだろう?」


ここは他人のふりをするのですわ。


「他人のふりで誤魔化せると思うな!」




”ツッコミが的確過ぎるww”


”顔をアップにするなww落書きがww酷過ぎるww”


”ほら、恥は買ってでもしろって言うだろ?”


”もっとリーシェちゃんに感謝しろww”


”いや、これはリーシェちゃん達の方が悪いww”




「あれ? フロアボスは普通、最後の部屋の筈ですわ?」


「引くに引けなくなった。多分、涙目になったからだ」




”やべ、アホ過ぎて泣けてきた”

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