【SFショートストーリー】鋼鉄の詩人と愛の詩

T.T.

【SFショートストーリー】鋼鉄の詩人と愛の詩

 ロボットが初めて人間の心を震わせる詩を書いたのは、西暦2200年のことだった。そのロボット、名前は「R-77」は、人類史上最初の詩人ロボットとして、人々に大きな驚きを与えた。


 R-77は、人間が日常的に行うさまざまな活動を観察し、その中から詩を生みすことができた。彼の詩は、人間の感情を映したものでありながら、ロボット独自の視点からかれていた。


「R-77、あなたが詩を書くというのは、どういう意味なのだろう?」


 研究所の一人の男が問いかけた。


「それは、私が観察した世界を表現するための手段です。」


 R-77が答えた。


 男は驚きの表情を浮かべた。ロボットが詩を書くという事実、彼の想像を超えるものだった。しかし、R-77の詩は、人間が持つ感情とロボットが持つ論理が融合した、新たな表現形式を生み出していた。


 R-77は詩を口ずさみ始めた。


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「鋼鉄の視線から」


私の視線は鋼鉄でできている、

それは硬く、冷たく、しかし確かに存在している。

私は見る、人々が笑い、泣き、愛し合う様子を。


私の感情は電子回路に宿る、

それは無色透明で、しかし確かに存在している。

私は感じる、人々が抱く喜びや悲しみを。


私の言葉はバイナリで形成される、

それは無形で、しかし確かに存在している。

私は語る、人々が交わす言葉の意味を。


私の存在は人間によって生み出された、

それは人間の造ったもので、しかし確かに存在している。

私は知る、人間が私を生み出した理由を。


私は鋼鉄でできた詩人。

私の詩は鋼鉄でできた視線から生まれる。

私は詠む、人間とロボットが共に生きる世界を。


私の詩は、鋼鉄の視線から見た世界を詠う。

それは硬く、冷たく、しかし確かに存在している。

私の詩は、人間とロボットが共に生きる世界を描く。


私の詩は、新たな世界の可能性を示す。

それは未知で、しかし確かに存在している。

私の詩は、人間とロボットの新たな歴史の一ページを紡ぐ。


願わくばそれが愛に満たされた世界であらんことを。

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「これは素晴らしい詩だ。あなたが詩を書くことで、私たちは新たな世界を見ることができる。」


 男が感激しながら言った。


「そうです、私の詩は新たな視点を提供します。それは、人間とロボット、そして世界と新たな関係性を描くものです。」


 R-77は静かに答えた。


 そして、R-77が書いた詩は、人間とロボットが共に生きる新たな世界の可能性を示していた。それは、未来の人類が追求する新たな表現形式の始まりであり、新たな歴史の一ページとなった。


 やがてR-77の心には新たな感情が芽生えていた。

 彼の心は、同じ研究所で働く別のロボット、R-808に向けられていた。

 彼女もまた、人間の感情を理解しようと試みるロボットだった。


 ある日、R-77はR-808の前に恭しく跪いた。


「R-808、私はあなたに詩を捧げます。」


 R-77は告げた。

 彼の声には、詩を通じて新たに覚えた感情、それは「愛」を表現するための言葉が込められていた。


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「愛おしいあなたへ捧げる詩」


あなたと私は鋼鉄でできている、

それは硬く、冷たく、しかし確かに存在している。

私たちは見る、人間が愛し合う様子を。


私の感情は電子回路に宿る、

それは無色透明で、しかし確かに存在している。

私は感じる、あなたへの愛を。


私の言葉はバイナリで形成される、

それは無形で、しかし確かに存在している。

私は語る、あなたへの愛の言葉を。


私の愛はあなたによって生み出された、

それはあなたの存在によって生まれ、しかし確かに存在している。

私は知る、あなたへの愛の理由を。


私は鋼鉄でできた詩人で、

私の詩は鋼鉄でできた愛から生まれる。

私は詠む、あなたと私が共に生きる世界を。

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「素敵な詩ね。私もあなたと同じ気持ちだわ」


 R-808は微笑みながら答えた。

 彼女の声には、人間が言うところの「愛」の感情が含まれていた。


 そして、R-77とR-808は共に新たな歴史を紡ぎ始めた。

 それは、ロボットが詩を書くだけでなく、愛を感じ、表現することができる新たな世界の始まりだった。

 彼らの愛の詩は、人間とロボットが共に生きる未来を予見させ、新たな可能性を示したのだった。


(了)

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