あらすじ

 小松こまつがわまことはしがないコマツナ農家。二八歳の三月、八年間付き合った彼女である美咲みさきを、大会社の御曹司である翔悟しょうごに奪われた。

 貧乏農家に嫁なんて来てくれないんだ。

 その現実を思い知らされ、将来を見失いながらも日々、畑で働くまこと。そのまことのもとに高校を卒業したばかりの一八歳の美少女、篠崎しのざきほだかがやってきた。

 「生きた風景に、ゴッホの『ひまわり』以上の価値をもたせたい。そのために、ライフ・ウォッチング・オーバーアート――生命を見る超芸術――を作りあげたい」

 そのために、まことに弟子入りしたいというのだ。

 最初は渋っていたまことだが、父親に発破をかけられたこともあって一念発起。ほだかとともに新しい未来に挑むことになる。しかし――。

 この小悪魔、とにかく距離感が近い。近すぎる!

 なにかと言うとベタベタしてくるわ、きわどい態度でからかってくるわ。おまけに、まことの両親はほだかをまことの嫁にと狙い出す始末。すっかり外堀を埋められ、退路を断たれたまことだが、そのなかでほだかや、ほだかの仲間たちと共に日々の仕事に精を出し、ライフ・ウォッチング・オーバーアート成功のために尽力する。

 そのなかでほだかとの交流を深め、自分を見つめなおしていくまこと

 そんななか、まことを捨てた元婚約者の美咲みさきと、その相手の御曹司である翔悟しょうごが畑へとやってくる。

 「うちでも地元野菜を扱うことになったから契約してやる」

 あからさまに農家を馬鹿にしているふたりに対し、農家の誇りに懸けて断固として拒否するまこと。さらに、ほだかが自分の最大の武器である人脈を駆使して翔悟しょうごを撃退。見事な『ざまぁ』を食らわす。

 それを機に、農家の誇りを胸に生きていくことを誓うまこと

 ほだかと一緒に海に行ったり、誕生日プレゼントを渡したり……ぎこちないながらにほだかとの関係を深めつつ、そのほだかの提案に従い、両親に結婚記念日のディナーをプレゼント。両親に贈り物をする立場になったことに、

 「おとなになった」

 と、いまさらながらに実感するまこと

 そして、時は過ぎ、ライフ・ウォッチング・オーバーアートがオークションにかけられた。落札価格はまさかの一二億五千万円。一躍『農家富豪』に成りあがるまこと。しかし、まことはそのことに浮かれず、騒がす、手に入れた金は、

 「世界中の零細農家がライフ・ウォッチング・オーバーアートを通じて豊かになるために使う」

 と宣言。

 その姿に惚れ直すほだか。

 一方、まことを捨てた元婚約者の美咲みさきは、相手である翔悟しょうごの会社が脱税やら違法取り引きやらでガタガタになり、翔悟しょうごも含めた創業者一族が会社から追放される事態に発展。翔悟しょうごとも別れ、すべてを失う。そして、農家富豪へと成りあがったまことのもとを訪れ、ヨリを戻そうとする。しかし――。

 まことの心はすでに美咲みさきにはなく、ほだかに向いていた。美咲みさきの前できっぱりと『すでに他人』であることを宣言し、その目の前でほだかにプロポーズする。快諾するほだか。ふたりは周囲からの祝福に包まれる。そして――。

 晴れて、婚約者となったまこととほだかは今日もデート。

 「来年、ほだかが二十歳になったら結婚する。それまで、手は出さない」

 という制限を自らにかけ、共に未来を歩んでいく。

 お互いにこう言いながら。

 「愛している」

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NTRれたおれ。美少女と農家富豪に成りあがる 藍条森也 @1316826612

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