エレメンタル彼女。”レンタル彼女代行サービス株式会社・ラップランドフォレスト”

猫野 尻尾

第1話:乃絵瑠・ロヴェニエ 。

会社が休みのある日のこと。


朝の早くから僕の独り住いのマンションに若干一名女性が訪ねてきた。

年の頃なら20歳くらい・・・一目見てめちゃ可愛いと思った。

でも知らない女の子。


え?何かのサプライズ?・・・それとも勧誘?営業?


狐につままれたってのはこのこと。


吉野 与四郎よしの よしろうさんで、いらっしゃいます?」


「そうだけど・・・朝からなんでしょう?・・・あ〜だる〜・・・」


「私、レンタル彼女代行サービス株式会社・ラップランドフォレストって

ところから来ました、

乃絵瑠のえる・ロヴェニエ と申します」


「れんたるかのじょ?・・・ろべにえ?・・・君外人?」


「いえハーフです」

「吉野さん、私どもの代行のサイトの会員さんになりましたよね」


「知らないけど・・・」


「たしかにうちの会員さんになってらっしゃいますけども」


「だから知らないよ・・・どうせ酔っ払っててポチってやっちゃたんだろ」

「覚えてないし・・・」


「彼女レンタルなさいませんでした?」


「覚えないね、なさいませんでしたと思うけど・・・」


「吉野さん、独身でらっしゃいますよね・・・彼女いなくてお困りじゃ

ありません?」


「そりゃま、彼女いない歴長いからね・・・正直言ってめっちゃ彼女欲しいし」


「だからうちの代行に登録なさったんじゃないんですか?」


「覚えてないっつうか・・・なに?・・・それで、わざわざ俺んちに

訪ねてきたの?」


「すでにレンタル契約成立してますから」

「お望みだったんでしょ?・・・私が吉野さんの彼女になること」


「それまじ?・・・待て待て・・・だってさ、な〜んも身に覚えないもん?」

「まあ、せっかく来たんだし無下に追い返したりはしないけど・・・」

「もしお願いするとしてタダで彼女になってくれるわけじゃないだろ?」


「もちろん料金はかかります」


「あのさ、レンタルの彼女って、なにしてくれるの?」


「そうですね、私でよければ基本的に、お金を払っていただければ早い話

私とデートなんかできちゃうわけです」

「なにもお外でデートしなくてもおうちの中で一緒の時間を楽しむことも

できますけど・・・」


「いいね・・・だけど、そういうの料金べらぼうに高いんでしょ?」


「コースによります」

「ちなみに二時間で15,000円〜20,000円程度です、さらに理想のデートになる

オプション料金がプラス約2000円で飲食代やイベント、施設利用料はお客さん

ご負担・・・そんな感じです」

「それから、お泊まりとかはしませんよ」


「え〜二時間なんてあっという間じゃん・・・ぼったくりだな」


「お断りいただいてもけっこうですけど、キャンセル料がかかります」


「うそ〜頼んだ覚えないのに?」


「もう登録なさってますし、私を選んでくださってます」

「まあ、たしかに君は僕のタイプだし、彼女になってくれたら楽しいだろうって

思うけどさ・・・」

「断っちゃうとキャンセル料って・・・抜き差しならない状況じゃん」

「でさ、これって今日だけ?」


「そんなことありませんよ・・・呼んでいただいたらいつでもお伺いします」


「分かった・・・じゃ〜15,000払うから・・・僕の彼女になってよ」


「かしこまりました・・・では料金は先払いになってますので」


なんか知らないけど、僕は酒に酔っていてかレンタルおネエちゃんのサイトへ

行って、この子をポチってしたらしい・・・。


まあ、僕がポチってしたくらいだから自分が選んだ子は理想ちゃっ理想の女の子。

まあハーフの子を選んだってのは分かる。

僕は無類のハーフ好きだから・・・。


ビジュアル抜群・・・髪は僕の好みどおり長くて茶髪で背は測ってないから

目測だけど低いって感じでもない。

しかも顔がちっちぇ〜・・・そら豆かと思った。


で、僕は彼女にレンタル料金を払った。


「今から二時間、私は吉野さんの彼女です、よろしくお願いします」


彼女は玄関でペコッとお辞儀した。


「さっそくですけど、部屋に上がっても?」


「あ、ごめん、ずっと玄関だった」

「じゃ〜そういうことで、よろしく・・・の、乃絵瑠のえるちゃん・・・」


ほんっと、まじ覚えないんだけど・・・。


与四郎よしろう・・・ヨッシーよろしくね」


おっ、金払ったら、急にフレンドリーになった。


とぅ〜び〜こんて乳。





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