レンタル彼女は病院に運ばれる
「小瀬川が病院に運ばれたんだ」
小瀬川 凛音が病院に運ばれた...?
一体どういうことか、全く理解できなかった。確かに凛音が病院に運ばれたのなら、何日も家に帰っていない理由も説明がつく。
ただ、
「どうして・・・・・どうして小瀬川 泉は仕事中に病院に運ばれるようなことになったんだ?」
そう、そこが1番の問題だ。
凛音の仕事内容的に、病院に運ばれる要素があるとするならば、利用者に誘拐されたり、他の男と歩いていることに怒りを覚えた誰かが、凛音を攻撃したとしか考えられない。
そして何日も病院にいるということは結構な重症だろう。
俺は凛音が心配でたまらない。
「詳しいことは小瀬川が入院している病院で話す」
俺は健に言われたため、夜も更けてきた時間に特別に病院に入らせてもらった。
事務所から街の外れの方に、車を走らせ、1時間。
俺は恐怖と戦っていた。
小瀬川 凛音が病院に運ばれたということは結構な重症なのだろう。
そして彼女が何かこれから生きていく上で、大きな傷を物理的だったり精神的に負っていないかが不安だった。
勿論、彼女は気の強い人間だが、女性だ。何か男性から暴力を振るわれていたりしたら、彼女だってきっと怖いだろう。
とにかく無事であってくれと願うばかりだ。
夜も更け、人気のない静かな病院に辿り着いた。
だが俺はこの病院に見覚えがある。
「ここって脳や精神の専門病院じゃないか?」
俺はかつてテレビで脳や精神の病院を見たことがある。この病院には最先端の技術が備わっていて、脳や精神の重い障害を抱えた人が入院する病院だ。
だが、入りたいという人が多すぎて、緊急搬送はやっていないと報道されていたが...
「ああ、涼。ここから話す内容は信じられないと思う。だが、信じてくれ」
深刻な表情で言った健を見て、俺は不安を隠しきれなかった。
「実はな、凛音は脳の障害で入院しているんだ」
脳の障害
この病院に入院しているということは、相当症状が重いことを指している。
「でも、どうして?しかも勤務中に」
「それは・・・」
健が理由を告げようとしたその時、
「健さん!」
薄暗い病院から1人の男性が走ってきた。
「ちょうど良いところに。紹介しますね。小瀬川の幼馴染であり、俺の友達の涼です」
「初めまして。足立 透真と申します。小瀬川さんの幼馴染という関係なのですね」
足立 透真と名乗る男性は、30代半ばで優しそうな見た目をしていた。微笑む姿は、とても穏やかだが、少し疲れているようだった。
そして俺は1つ気になることがあった。
それは
この人見たことあるな...。
何処かでこの足立 透真さんという名前を聞いたことがあるし、顔も見たことがある。
「初めまして。突然で申し訳ないですが、足立 透真さん。何処かで顔を拝見させていただいたことがあるような気がするのですが・・・」
すると彼は
「ああ、それは多分ですね、テレビでお目にかかったことがあるのかもしれません」
と前置きし、彼は衝撃の告白をした。
「なんせ私は業界No.1のVtuber事務所『ゔいのじ』の社長ですから」
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