第6話 新しい居場所

 慌てて、ヨシアは元手下3人と共に来た。


「本当に、成敗したのですね」

「ここが新たな居場所だ。盗賊稼業は卒業で、ここを拠点に町でもできないか」

「・・・・・・」


「街道沿いに町があると、その地域が発展するのだが」

「平安の世ならよいのですが、いつ戦争になるかと」


「鍛冶屋とか、衣服とかの商いはないのか」

「山賊がたくさんいるので、商いは難しいかと」


「じゃ、この街道周辺だけでも、山賊がいなければ、どうだ」

「我々を信用されません」


「じゃ、手当を頂いて、街道警護ならどうか」

「・・・・・・」


「随分と悲観的だな」

「・・・・」



「元商いのレクレンと言ったか、どうだ、町の建設は?」

「街道の安全が確保されれば、商いの荷馬車は通行できます」



「目標がないと、未来の展望が見えない。

 路頭に迷う人ばかりでは、荒廃する。

 田畑の安心した作物つくり、

 治安の良い地域が必要だ。

 理想論だが、目標が必要だ」

 言葉の少ないあゆみにしては、饒舌過ぎた。

 前世は詐欺師に向いてたのかな?



「ザエン様。わかりました。農家に従事したい者はそのままに、こちらに移住したい者達を募ります」



 翌日、クルル達が荷馬車に家財道具一式を詰め込んで到達した。

 クルル達ご一行は明るかった。

「何年ぶりだ。屋根で眠れるのは?」

「まさか、ここで過ごせるとは」

「本当だ。ザエン様は凄い」

 昨日、人殺しをさせたので、一皮むけたようだ。



 もともと、家屋同士が廊下で繋がっている6軒造り。

 家屋から離れて、納屋が2棟。

 馬小屋も2箇所ある。

 相当羽振りの良い山賊だったようだ。


「クルル、ここを町にしたいと考えている」

「へぇ!」

「もう山賊稼業は卒業だ」

「本当ですか」

「ああ、山賊狩りは続行で、手下を増やす」


 あゆみは町の図面を浮かべる。

 道路に沿った商業地区と職人地区に住居地区。

 宿もほしい。

 飲料水の確保に、下水道の設置もしたい。

 領主の館に、家臣達の住まい。

 規模は500人ぐらいの町かな。

 手下に鍛冶屋はいないのか・

 陶器職人がいないか。

 服を織る者はいるか。

 手下に特技のある者を見つけるか。

 次から次へとプランを浮かべると、楽しくなる。



 









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