第5話 山賊狩りへ

 昨夜の指示で、山賊23名に武装させた。

「これから、実戦訓練に向かう」

「何処へ行くのですか」

「クルル。近場の山賊狩りだ。実戦経験を積んでもらう」

「へぇ!。襲撃するんですか」

「当然だ。この地域で山賊は一つだけでいい。これは従属契約の命令だ」

「・・・・・・」

 確かに命令すると、従属契約が発動する。

 山賊らの頭上に、円径模様が出現する。

 面白い世界だ。



 デコボコ道路から、それて歩くこと4キロぐらいか、山並みに集落が見えた。

「ここが目的地です」

「そうか、みんな遠巻きに囲め。合図で矢を射り、できるだけ殺すな」

「どうしてです?」

「手下を増やすのよ。危険人物は殺すが」


 囲みが完成したので、あゆみは火の付いた矢を櫓に射る。


「お前らに、降伏を伝えに来た!」

 あゆみは集落の入口に立つ。

 手下も周辺から姿を出した。

 一人が向かってきたので、即両手両足を切断させた。

 周辺の者達は腰を抜かした。

 最後に首を斬り落とした。

 余りのも残虐な光景に、顔から血が引いたようだ。


「逆らう者は出てこい!」 

「・・・・・・」

「これじゃ、実戦訓練も無駄か」

 クルルの指示で集落全員が引き出された。



「選択は二つ。手下になるか、ここで殺ぬかだ」

 山賊風情でも家族持ちがいるとは、あゆみは不思議に感じる。

 あゆみは両親の顔すら知らない施設育ちだ。

「・・・・・・」  

「強者が頭で、問題ありません」

「お前が元頭か」

 

 この山賊には子供含め29人もいた。

 家族持ちで、今未亡人になった者も。

 ここでは子供も含め従属契約をして、一喝であゆみの手下になる。

 山賊らの頭上に、円径模様が出現し,消滅した。


「ヨシア、ここでは農耕をしているのか?」

「山賊稼業では、食べるのも事かきますので、できるだけ自給自足を目指しています」

「クルルのように、かっぱらう者ばかりではないんだな」

「元々、農家の次男・三男以下の寄り集めなので、農業ができるのです」

 あゆみはクルルの元手下数人に、猟へ行かせた。

 ここの山賊は、どうも農耕山賊のようで、襲って物を奪うのではなく、防衛としているようだ。

 どうも、クルルよりヨシアの方が、頭が良いらしい。


 暫くすると、クルルの元手下が、獣を二匹狩ってきたので、肉料理を始めた。

 さっきの緊迫感が薄れた。

 久々の肉料理であったようだ。



「ヨシア、手下を増やして、一定地域の支配を考えている」

「・・・・・・」

「山賊生活から、安住な地域で暮らせる状態を築きたい」

「独立をしたがる山賊も多いと思います」

「ザエン様、この先の山賊は凶悪でして、周辺の支配は難しいとか」


「そうか。まだクルルの手下の実戦をしていない。そこを襲撃する」

「えっ!」



 肉料理後、クルルの元手下23人とヨシアの元手下10人を連れて、襲撃に向かう。

「今度は、実戦だから、命の保証はない!」

 全員死を覚悟した行軍。


 随分と歩いた。

「山賊らしく、逃げ場を抑えて、正面攻撃だ」

 絶望の顔をしている。

「これは命令だ」

 山賊らの頭上に、円径模様が出現した。


 山賊のアジトは珍しく、道路沿いにあった。

 周辺を柵で囲み、門番もいる。

 小さな砦に毛のはいた程度。

 あゆみは手下に火の付いた矢を射って、柵を燃やさす。

 あゆみは剣を抜いて、伐って出る。

 門番を斬り伏せ、中に進撃をした。

 手下も慌てて、後を追う。

 ここでも、面白いほど人を斬れる。

 防御力はないに等しい反応。

 頭らしき男が出現したが、歯ごたえがなかった。

 多勢なのに、次から次へと斬られていく。

 何体か首を落としたので、血吹雪に感嘆をあげた。

 少し休息して、元手下達の戦闘を見る。

 

 へっぴり腰で、ほとんど実戦経験がないに等しい。

 あゆみに逆らった者達がほとんど重傷者。

 なんとか制圧を完了。

 広場に集められた。

 女6人と降参した男7名。


 手下に、重傷者の殺害を命令する。

「こうするんだ」

 あゆみは実技を示す。

 手下は怯えながら、命令には逆らえず、重傷者の首筋を、心臓を突き刺していった。

 あゆみは男達7人と従属契約を結ぶと、遺体を埋めさせにいかせた。


「お前達はどうする?」

「もう、帰る場所もありません」

 女達は無垢の体でないので、覚悟を決めたようだ。

「殺した男達の未練はないのか?」

「元々家族を殺した者達ばかり、生きるためにいただけです」

 女達に案内され、あゆみは館内を見た。

 トレイも風呂もあるのを確認できた。

 住めそうだが、戦略的に問題はないのか。

 洞窟暮らしは無理だ。トイレも風呂場もない生活は。


「クルル。洞窟にある一切を持って来い!」

「へぇ!」

「ここが、新たなにアジトだ」

「お頭」

「ヨシアに、ここに来るように伝えよ」

 クルルを含め元手下15人で、洞窟から引っ越しの指示を出した。

 ヨシアの元手下10人には、柵の補修を命じた。

 クルルの元手下8人には狩猟を命じた。


 これで衣食住に一歩近づける。

 館の財産を確認する。

 食糧も武器も資産も結構ある。

 随分と悪事を働いたのか。

 女の一人が経理に詳しいらしいのがいた。

 元商家の出で、商いの途中、荷馬車が襲われ、女一人残して、皆殺しにされたと。

 ここの女達とは従属契約は結ばなかった。

 頭が死亡すれば、自然と契約が解除になるが、そもそも女達には従属契約はしてなかった。



 






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