サイコパス転生

ユキト

第1話 三坂あゆみ転生する

 これから、死刑が執行される。

 

  三坂あゆみ28歳殺人罪、男女30人殺害、25人重傷、53人軽傷。

 やっと精神鑑定にこぎ着け、そこでも随分と日数を取られる。


 一審の裁判が開始された。

 裁判中で、あゆみが暴言三昧、暴れと、その都度裁判が中断と、本当に税金の無駄を感じられる。

 また再度の精神鑑定がなされ、やっと正常であると証明される。

 遺族、関係者からしてみれば、甘いとしか見られない。

 それでも法秩序の名の下に、平等に裁判は勧められた。

 そして、一審で、死刑の判決がでた。

 だれもが控訴と予想していたが、あゆみは控訴をしなかった。

 そのまま結審となった。


 独房で三年。

 あゆみ死刑囚は絞首刑にかけられた。


「ああ、これで楽になる」

 ボギっ!


 あゆみが目を開けると、そこは草原。

 確かに首筋に縄目の跡があるのか、ヒリヒリする。

 服装もそのまま。囚人服を着ている。

 あゆみはこの囚人服が気に入っていたので、そのまま執行された。


 あゆみの目前は、戦いの真っただ中。

 一瞬、映画のセットかと思ったが、斬られると血が出ている。

 ここは本物の戦争だ!。

 目の前の兵士から、剣を奪うと、優勢の兵士の横腹を斬った。

 その兵士は膝を落とした。

 首に剣を向けた。

 ドバッと血吹雪があがる。

 一方劣勢の兵士は、尻込みをついた。

 あゆみは優勢側の兵士を襲って、斬り刻んだ。

 こんなに運動神経あったか、

 腕っ節もあったか。

 剣が重くない。

 斬る相手の動作がスローモーションに映る。 

 

 乗馬の騎士らしき者が、あゆみ目掛けて突進してくる。

 あゆみは屈んで、その兵士の横腹を、側にある槍で突き刺す。

 そして、落馬した者の首筋に槍を突き立てた。

 もの凄く、血吹雪が出て、あゆみは興奮した。

 本物の殺し合い。

 鎧を纏っている兵士には足を狙い、膝を折った所で首をはねた。

 血が吹き出て、迫力満点。

 戦場から血の濃い臭いが漂い。 

 あゆみは余韻を感じる。 

 剣が血みどろになって、刺すか叩くかになった。

 今度は槍で、兵士を突いて回った。

 面白いほどに優勢側の兵士が倒れていく。

 劣勢だった側が勢いを盛り返した。


 優勢側の後方から太鼓が鳴り、撤退を開始。

 劣勢側もラッパが鳴り、追撃を中止した。

 戦場独特の血の臭いで充満している。


 後方から乗馬した騎士らしき者が下馬して、膝をついた。

「助太刀、本当に感謝します」

「たまたま、居合わせただけです」

「私、ホルンと言う者です。後方で休息をして頂けないだろうか」

 どうも服装、出で立ちが中世の騎士っぽい。


 おかしい言語が解る。


「ザエンと言います」

 それらしい名を浮かべただけ。

 あゆみの言葉も通じたらしい。

 ホルンの後を歩いて、後方陣地に着いた。


「この度、ザエン殿のおかげで、助かりました」

 指揮官らしき男が礼を述べた。

「いいや」

「是非、砦で寛いで欲しい」

 

あゆみは騎馬車でなく、普通の馬車に乗せられた。

どうも、全身血だらけらしい。


砦の建物の入口に、尼僧らしき服装の者がいて、湯場に案内された。

脱衣所には新しい衣服がおかれていた。

石鹸らしき物で全身を洗い、湯に浸かった。

ほんの数時間前には、絞首刑だったのに、どうも実感が沸かない。。

言葉も通じる。

反射神経も運動能力も身体能力が尋常ではない。


だが、人殺しが合法にできる事実は確かのようだ。

人を斬ったときの血吹雪、斬られた側の絶望感を見るだけでも、高揚感が湧く。 

 

 

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