第2話:真那は今から正式に俺の彼女。
「おい・・・何、ぼ〜っとしてんだよ」
「しっかりしろ!! ちゃんとしろ!! 俺の彼女だろ?」
「え?、か、彼女?」
「あ、あの・・・ありがとう一条君」
「おまえ、いつもああやってイジメられてんだろ?・・・知ってるんだぞ」
真那はそうだってふうにうなずいた。
「いちいち俺が関わるのもウザいって思ってたけど行きがかりだからな」
「なんで、あんな連中の言いなりになってんだよ、立ち向かって行けよ」
「そんなこと怖くてできないよ」
「ったく、しゃ〜ね〜な」
「あの一条君、私のこと彼女なんて嘘までついてなんで私を助けてくれたの?」
「とくに意味ないけど・・・おれは弱いやつをいじめたり暴力ふるったりする
やつが嫌いなだけだよ ・・・それだけだ・・・」
「ああ・・・そうなんだ」
わずかな期待を持ったけど・・・自分のことを特別気にしてくれた訳じゃないんだ
真那はそう思った。
「いいか、今日から帰る時は俺と一緒だからな」
「え?・・・一緒?」
「俺がついてないと、またあいつらにイジメられるだろうが・・・」
「ああ、それで・・・でも迷惑じゃ・・・」
「迷惑だって思ったら、おまえを助けたりしてねえよ」
「いいか、たった今からおまえは俺の彼女・・・仮のだけどな、いいな」
「そう言うことにしとけば誰もおまえに手は出さないだろ?」
「もっともおまえに告るやつもいなくなるけどな・・・」
(え〜仮?・・・仮の彼女ってなに?)
そういうわけで真那は憧れだった高雅の彼女ってことになった・・・仮のだけど。
擬似的恋愛でもいい・・・一条君と一緒にいられるなら・・・。
だけど、それは擬似恋愛じゃなかったんだ。
彼はぶっきらぼうで照れ屋でシャイ・・・自分の気持ちなんか真那に告白したり
はしない。
その後、高雅はまるでナイトみたいに影に日向に真那を常に見ていてくれた。
彼のおかげで、あれ以来真那はイジメに合わなくなった。
朝の挨拶も「おう」じゃなくてちゃんと「おはよう」って言ってくれるようになって
学校からの帰りもちゃんと真那を家まで送ってくれた。
そのことはクラスでもちょとした噂になった。
今日も一条君が私を家まで送ってくれる・・・だから学校からの帰り道
彼に聞いてみた。
「あの・・・なんで私にそこまでしてくれるの?」
「別に・・・」
「別にって・・・おかしいよ・・私ひとりのために・・・」
「ん〜じゃ〜・・・おまえがイヤだって言うなら辞めてもいいけど・・・」
「今日から一人で帰るか?・・・俺はそれでも一向に構わないぜ」
「そうじゃなくて、嫌じゃないよ・・・嫌なんかじゃない」
「逆だよ・・・私、ほんとは一条君のことがずっと好きだったの?」
「だから、仮にでも一条君が私のこと俺の彼女だって言ってくれて嬉しくかった」
「たとえ嘘の恋でも私は一条君と、その一緒に・・・」
「だから俺に一緒にいて欲しいんだろ?」
「そうだけど、どうして私にだけそんなに親切にしてくれるのかなって思ったから・・・」
「じゃ〜さ、このさいハッキリさせよう」
「え?なにを?」
「仮とかじゃなくて、たった今から真那は正式に俺の彼女」
「それなら文句ないだろ?」
「正式に?・・・それって?」
「鈍いぞ・・・正式にってことは・・・つまりそういうことだよ」
「俺に言わせるのか?」
「正真正銘、真那は俺の彼女・・・ってことは俺たちはたった今から恋人同士」
「それでいいだろう?・・・文句あるか?」
「え〜・・・いいの?」
「だって真那は俺のことが好きなんだろ?」
「じゃ〜いいじゃん・・・俺も真那のこと好きだし・・・」
「あ・・・ほら、言っちゃったよ・・・まじでか・・・」
「え?・・・そうなの?」
「好きなんて一度しか言わないからな・・・」
「つうこったから今から一条君じゃなくて高雅って下の名前で呼べ」
「分かった・・・高雅君・・・」
「高雅でいい・・・もう帰るぞ真那」
なんのてらいもなく高雅は真那のそばまで来てさっと手をつないだ。
「恋人同士のコミュ、第一弾だ・・・第二弾はハグだな・・・」
「第三弾がチューで・・・第四弾は・・・な」
そう言って高雅は笑った。
「え?第四弾?」
真那は彼のそんな輝くような素敵な笑顔、見たの初めてだった。
一年に数度くらいしか見れない。
一連の出来事で真那の思いや意思を無視して高雅の一方的な思惑だけで、ふたりは
恋人同士になった。
高雅と真那のこの出会いは偶然ではなく最初から決められていた運命であって
新たな世の不運を告げる証であり、闇の組織との戦い、陰陽の交わりの前兆
でもあった。
実は遠い昔、高雅の祖先と真那の祖先は、相互関係にあって、人類の存続を
かけた争いの時、高雅の祖先、陰である「
おしまい。
迷宮のアンチノミー。〜 光と闇の絆 〜 猫野 尻尾 @amanotenshi
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