第8話 客観視
やっと協力を引き受けてもらえた花織。
しかし、喜んだのも
その内容は、昨日鮮やかな勝利を見せた
条件の厳しさにその表情が
しかし、
花織もその後についていく。
不安で胸がいっぱいでも、そうする他にない……。
一方、
店内に入ってすぐ、彼は異変を感じ取る。
奥のテーブルにできた人だかり。
その中心には対戦を終えたばかりのプレイヤーが二人いて、どちらも
それはまさしく、昨日まで
視点こそ違えども、彼の目には
視覚と聴覚による情報が自然と入ってくる。
目を
目が離せなくなる。
その脳内へと、対戦を終えた二人の声がなだれ
「言った通りだろ?
「誰がお前なんかに……!」
「そうか。まあ、無理にとは言わない。
もう一度、
目を見開き、
顔には冷や汗が伝う。
と、その横を敗者となった男子が
「おい、待てよ!」
呼びかける
しかし、男子は反応を示さず店内を飛び出す。
だが、一向に止まる気配はない。
そうして、二百メートル程走った
その男子は急に立ち止まると、振り返るなり
「……何?」
「あいつ、何なんだ?」
対し、男子は
「お前、知らないのか? 最近ずっとあの店に来てるあいつを」
「あー……最初に言っておくべきだったな。あの店に入ったのは今日が初めてなもんでな、
「……いつもあんな調子で、カードゲームは下らないって言って回ってる奴さ。
そう言って男子は去っていった。
残された
自分も同じではないか、と。
家庭での問題が、花織たちに対するいじめの引き金になったのではないかと。
しかし、
彼の場合、その事情とは両親の思想。
それを表す言葉が
「いいか、
「そうよ
洗脳にも似た、呪いのようなその言葉。
それがきっかけだったと、
親の言葉によって植え付けられた価値観。
その結果他人を見下していたことを、今になってようやく自覚する。
自分も同じだと、気付く。
そう、さっきの
程なくして、
その先程の勝者が自分を倒すと言っていたことを。
「
遠くに見えるショップに向かってそう吐き捨て、
――その
「火の国の
「カウンター発動、ネゲイション」
「はうっ!」
やはり、苦戦を
花織は完全に心が折れ、今にも泣きそう。
「やっぱり無理です。ゲームが得意な
対する
加えて、自分の話を聞いてくれた初めての存在でもある。
さすがの
迷いながら目を合わすと、
直後、ついに
「わかったわかった。ヒントをくれてやる」
「ありがとうございます!」
その変わり身の速さに
「ネゲイション。このカードは1プラス水1コストで使用できる。レプリカならどんなに強力なカードでも、これ1枚で対処できてしまう。わかるか?」
「え、ええと……?」
「逆に言えば、どうせ対処されるなら、どんなに非力なカードでも同じだ。つまり、同じく対処されるのであれば、コストが低いカードの方が被害が少ないということ。どうして
「私、わかったかもしれません!」
「そうか。まあ、今日はもう遅いから、明日までにじっくり考えてこい」
「はい! ありがとうございます!」
元気よく返事する花織。
その表情には、さっきまでの不安などもうどこにもなかった。
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