転生、転移、召喚が同時に起きた結果、俺が二人増えました

@KURONOINU

第1話 

「おーい起きてるかい?そろそろ起きてもいい頃だと思うんだけど、他のみんなは起きてるのに。」


不意に少年のような声が聞こえる。なんだ?俺は横になっているのか?重い瞼を開け体を起こす。目の前には白い空間が広がっていた。

ここはどこなんだ?俺は何をしていたんだ?思い出してみようと思ったが混乱しているのかさっぱり思い出せそうにない。


「やっと起きたみたいだね、二度と起きないのかと思って心配したよ。」


そんな事を考えていたら声の正体が前の方に回ってきていた。見た目はほんとにただの少年のようだったが髪は白?いや銀なのか?顔立ちも見たところ日本人ではないようだ。


「混乱してえいるとこ悪いけど、とりあえず君も話したいことがあるからみんなのところに行こっか。」


そういいながら少年は俺の後方を指さした。指さした方向を見ると50メートル位先に二人の人影が見えた。あの人達がさっきから言っている『みんな』なのか?彼はここのことを知っているのか?聞きたいことが多すぎる。が、今はないをすればいいかわからないし促されるままあそこに行けばいいか。


起き上がって人影の方向に進んでいくが、気まずい、とても気まずい隣を歩いている彼に何か話しかけたほうがいいだろうか?あそこにはすぐ着きそうだが名前を聞く時間くらいはあるだろう。


「あのー名前はなんていうの?あっ!ごめっまずはこっちが名前言わないとだよね。俺は東琉生っていうんだけど」


やっべ、またやったよこれ陰キャダダ漏れじゃねーかコミュニケーション力よわよわかよ。やっべーもう顔見れないわこれ恥ずかしすぎる。何も喋ってないのにいきなり名前聞くとか脈絡なさすぎだろ。もう目合わせられないわ。


「なんでそっちから聞いてきてんのに恥ずかしそうにしてんのさ…僕はモカこれでいいかい?最初に名前を聞いてきたのは君が始めてだよ」


おお…体がめちゃくちゃ熱くなっていく以外にはこの一連の会話に失敗はなさそうだぞ。

そんな事を考えながら歩いていると目的地についたようだった。


「は…何だよこれ…」


俺は『みんな』の顔を見た瞬間言葉を失ってしまった。そこには俺が二人いた。

また気を失いそうだった。






「えーみんな注目!お話があります!」


少年はそう言って話を切り出した。

何を話してくれるんだろうか、聞きたいことは山ほどあるが黙って話を聞くことにした。俺の顔をした二人も黙っている。自分の顔を見てこんなに不快感を感じるとは思わなかった。決してブスだからだとは違うけど。


「まずは自己紹介からといこうか、僕はモカ、この世界の意思あるいは神と言ってもいい存在さ。」


うわぁ…これは胡散臭さポイントプラス1ですわ。いきなり言われてもピンとこない。

他の俺を見ても怪訝そうな顔をしていた。


「続けるよ、君たちも疑問に思っているであろうこの場所は僕が作り出した僕のための空間さ。」


いやまずはそんなことよりも、なんで俺が二人も増えてるんですかね?という気持ちが大きくてこの空間に対しては、ふーん以上の感想が生まれてこないんですが。

そう思っていると俺モドキの内の一人が俺が最も聞きたいことを声に上げた。


「そんなことより!俺が二人も増えてるんだよ!俺は学校から帰っている途中だったはずだろ!?それがなんでこんなところに飛ばされて俺が二人も増えてんだ!」


「わかった順を追って説明するよ、みんなもそれでいいね?」


俺と俺モドキたちは黙って聞いていた。


「えと、みんなはここに来る前のことを覚えているかい?」


モカのそんな問に俺は思いだしながら答えていった。


「ああ覚えてる、ここに来る前は学校から帰る途中だったはずだ。そして駅前の交差点で体が光ったり地面に魔法陣が出てきて、次の瞬間にはこの場所にいた。」


俺モドキたちの方を見ると頷いていた。あんなおかしな光景忘れるわけもない。あの魔法陣でモカはここに連れてきたんだろうか?


「だいたいそれであってるよ、補足ついでに言うと君は魔法陣に戸惑ってる間に後ろからトラックにはねられたみたいだね。」


「は…はぁ!?」


俺はモカの言葉を聞いて思わず声が漏れてしまう。

どういうことだよそれ!俺はもう死んでるっていうのか!じゃあここはあの世ってことなのか!?


「どういうことだよそれ!俺はもう死んでるっていうのか!じゃあここはあの世ってことなのか!?」


今までずっと黙っていた俺モドキの一人が焦ったように声を荒げる。

いやそれ俺が思ってることなんですけど、心読まれたかと思ってビビったわ。


「そうだねトラックに跳ねられた君は即死だった、でもここはあの世じゃない。」


モカは淡々とそう言うが自分が死んだなんてそうそう簡単に受け入れられるようなもんじゃない。俺モドキたちも絶句しているようだった。


「まぁもう言っちゃうか、君には異世界への転移、召喚、転生がホントにピッタリ同時に降り掛かったんだ。でも君は一人しかいないからね同時に起こったこれらに対する世界の修正力が働いちゃったんだ、転移、召喚、転生全部がうまく発動するように、君が三人に増えることによってね。」














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