第7話 行き先がわからない

 柚葉は、ひなたにラインを送る。


『今度の日曜日。

 どこかお出かけしよう。』


 柚葉と付き合って、

 7ヶ月は経っただろうか。


 季節は冬のため、ほぼ部活もなかった。


 予定も特に決めていなかった。


 柚葉と日曜日に出かけるのは

 初めてだった。


 いつも登下校一緒に帰ることはあっても

 まともにデートをしたことがない。


『どこに行く?』


『え、どうしたらいい?』


『ひなた、決めていいよ?

 私は着いて行くから。』


『俺についてくるの?

 でも、どこに行けばいいかわからないな。

 デートってどこ行くの?』


 ひなたは質問に質問で返した。


 部屋の隅っこ。

 ビー玉遊びをはじめたぱんだ先生。

 吹き流しを口にくわえて後ろ向きに

 ひなたにA4サイズの紙を渡した。

 それは、明日から公開する映画のチラシ

 だった。


(映画とか見に行ってもいいじゃないの?)


 ぱんだ先生は、ラブラブな様子な2人に

 やる気がないようで言葉少なかった。


(どこ行ってもいいじゃんよ。

 デートは公園行っても

 盛り上がるんだから。)


 ラインメッセージから

 通話モードに切り替えた。


「映画はどうかな。

 でも柚葉の好きな映画やってるかな。」


「映画?

 見に行くの?

 私、恋愛映画とかしっとりしたのいいな。

 アニメでもいいよ。

 アクション映画は苦手だけど。」


「…恋愛もの?

 『会いにいけたら…』

 みたいなのあるよ。」


「それ、知ってる。

 原作が小説で漫画にも

 なってるやつでしょう。

 見てないから行きたいかも。」


「うーん、

 でも、俺、映画って気分じゃないかも。

 ごめん、眠っちゃいそう。」


「そう?

 んじゃ、カラオケとかは?」


「んー、少し喉風邪引いててさ。

 上手く歌えないかな。」


(星とか見に行ったら?)


 ピロピロ笛をピーと吹く。


「柚葉、プラネタリウムとかどう?」


「眠くならない?大丈夫?」


「う、うん。大丈夫。」


「いいね。んじゃ、日曜日の10時に

 駅前待ち合わせね。」


「了解。お昼ご飯も一緒に食べような。」


「え、食べる場所はだれが決めるの?」


「あー…。

 任せて、俺、決めておくから。」


 ひなたはそう言うと、通話を終えた。


「ぱんだ先生!!

 お昼ごはん、どこがいい??」


(俺が食べたいもの言ってどうするんだよ。

 俺は、もっぱら笹か筍だわ。)


「あ、ごめんなさい。 

 柚葉と一緒に行く店、考えるの

 手伝ってください!!」


(待ってろ、今『食べ⚪︎グ』

 チェックするから。)


 ぱんだ先生頼もしい。

 ひなたのスマホを大きい指で

 器用にタップしてグルメサイトを

 開いた。


 あーでもないこーでもないと

 一緒になって考えた。


 ぱんだ先生と過ごすのも慣れてきて

 楽しくすごしていた。

 

 デート当日は、柚葉との

 1日はとてもご機嫌に過ごしていた。


 ぱんだ先生と考えた

 ランチカフェレストランも

 大成功に終えた。

 

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