第17話「学園都市・イン・テロリスト②」

男?はカウンターに札束を並べていく。

1、2。3、・・多分、百枚の束が全部で30束

3000万円!?

本気で買う気なのか?!

だが、その行動に待ったをかける者が居た。


「お待ちなさい!」

「あらん?何かしら、お嬢ちゃん」

「あたくしが先に見ていたものを後ろから

全て拐おうとは何事ですか!」

「あらあらん?これは失礼したわね?

小さくて気が付かなったわん、こっちの坊やと話していたし」

「くうっここに来てまで背の事を言われるとは思いもしませんでしたわ!」

「そうねぇ、ワタシとしては美しい物は全て欲しいのだけれど、確かにお嬢ちゃんが

先に選んでいたようねえ、仕方がないわねん、お嬢ちゃんが選んだ後にならワタシが

全て購入しても良いかしらん?」

「それで結構ですわ、此方としてもこのような事で争う気は無いですから」

「そうねん、争うのは美しく無いから嫌いだわん」


どうやら二人の間で納得がいったようだ

男?の人も見た目よりも良い人なのかもしれない。


「さあ、真澄、あたくしと婚約指輪を一緒に

選びましょう。」

「いえ、大丈夫ですから」

「大丈夫ならよろしいのでは?」

「いえ、結構です」

「結構なのですわね、では、選びましょう」

「くそうっ!全て肯定的にとられる!」


俺がどうにかして凛が馬鹿高い指輪を買おうとするのを止めたかったのだが断りの言葉を全て肯定的に受け取り反論してくる。


「進まねえから、もう諦めたらどうだ?」

「番長!でもさぁ、こんなにお高いやつなんて俺には怖くて恐れ多いというか」

「まあ、オレらもそれには同意だが」

「そうだね、僕も怖くてつけられないとおもうなぁ」

「だろぉ!?」

「真澄、これはどうですか?同じ石から取れた兄弟石だそうですわ!」

「なんか勝手に進んでるしぃ!」


とても良い笑顔で凛はペアのリングを差し出してくる。


「こっちの少し小さい方があたくしでこちらが真澄の婚約指輪に致しましょう!」

「え?待って、ねえ、まってってば!なんで右手の薬指にはめようと、痛い痛い痛い!

腕!力はいりすぎ!」

「んふふ!はめれましたわ!では、あたくしの方もお願い致しますわね?」


そう言って指輪を差し出す凛、ええ?本当に指輪をはめないと駄目なの?

凛を見ると期待を込めた瞳で見つめてくる。

・・・断るのが凄く咎められるが

はっきり言わないといけない。


「凛、あのさ」

「・・・ダメ、なのですか?」


とても悲しそうにする凛、うぐぅっ心が痛い

だけど、だけどね?こんなにお高い指輪を

どうやら凛は自身のポケットマネーで買う気

なんだよ。

こんなのを受け取っちゃったらダメでしょう

ダメなんだよ?!


「真澄っ」

「っ・・・はぁーっ」


俺は指輪を受け取ると右手を手に取った。

俺はろくでなしだなと思いもその柔らかで細い凛の薬指に指輪をはめた。

はめて貰えるとは思っていなかったのだろう

驚いた顔をした後に俺の顔を見て今まで俺達と居た時には見せたことがない

とても嬉しそうな笑顔を見せた。

凛はその指輪がはめられた右手の薬指を見ながら自らの胸に大事そうに抱き締める。


「我儘を言ってしまったのは分かっていましたわ。

ですが、本当に指輪をあたくしの薬指に

はめてくださるなんて・・・」


瞳が潤いが溢れて一筋の涙のなりポツリと

流れ落ちた。


「ありがとう、ございます、真澄」

「うん?」

「心の底から貴方様に申し上げますわ」


凛が俺に近寄り両手で俺の顔触れる

その可愛らしい顔が俺の顔にゆっくりと迫り右の頬に唇が触れる、次に左の頬に触れた。

そして、潤んだ瞳で俺を正面から見つめながら凛はその言葉を俺に伝える。


「愛しております、真澄」


本気でそう想っているのが伝わった。

俺はどう返したら良いのだろうか?

本気で凛は俺に自分の想いを告白したのだから俺にはその想いに答えを出さないといけない。

でも、俺は───


「うふっ青春ねえん、羨ましいわん」

「あっ、と」

「ハッ!?し、失礼致しましたわ!

お、お時間を取らせてしまいましたわね」


かなり照れた様子で男?の人に一礼する凛

店主さんにカードを渡してすぐに決済を済ませると横に移動した。


「うふふ、大丈夫よん、美しいものを魅せて貰ったわん、さてと店主さん後の数点は

ワタシが買わせて頂いても良いかしら?」

「ええ、大丈夫にございます、こちらの店舗で他には無い最上品になります。

願わくばこの子達をお手に取ってやって

くださいませ」

「うふふ、ええ、確かに、お釣りは要らないわ、美しいものが見れたのだもの。

お嬢ちゃん、それと、輪道 真澄君」

「へ?」

「コレ、ワタシの名刺ねん」


そう言って、手渡されたのは一枚のキラキラした名刺。

そこに書かれていたのは

──超能力保護自治団体Adams──

大幹部「アルセーニュ・リュパン」


「じゃあねん、また、どこかで会いましょう」


その一瞬で溶けるように男は消えていった。


「え?」

「あの方、どうして真澄のフルネームを?」


名刺を覗き込む凛とアリスと番長

その団体の名前を見て全員が固まった。


「なっ!?」

「おいおい、マジかよ」

「え?この団体って」


そうだ、俺は知っているけど、どうやら皆も知っていたようだ。

あの変態がボスのテロリスト集団のしかも

大幹部、じゃあこの大金は?


「あ、裏に何か書いてあるよ?」

「うん?」

『ちなみにその支払いのお金はワタシが表だって行動して稼いだお金だから安心してねん♥』

「だってさ、店主さん」

「それを聞いて安心しました、テロリストにしては随分と理知的なお方でしたね」

「うむぅ、確かにそうですわね」

「だけどな、ひとつだけハッキリしたことがある」

「番長?」

「輪道がコイツらに知られているって事がな」

「あっ」


そうだ、あの人は俺の顔と名前を始めから知っているようだった。

でも、俺を強引に拐おうとはしなかった。


「じゃあ、どうしてあの人は真澄君を連れ去ろうとはしなかったのかな?」

「だよな、俺もそう思った。」

「・・・彼等も一枚岩では無いと言うこと

でしょうか、それとも、いつでも連れ去る事が出来ると言う余裕でしょうか?」

「でもさ、あの人──」


俺と凛を見て優しい目をしていたんだ。

謎を残して溶けるように消えた男?の人

「アルセーニュ・リュパン」

あの人はただ、俺達が平和に生活をしているのを見に来た。

そう言われても信じられる気がしたんだ。















「うふふっ大きくなったわねん、まークン」


《あの時の事故》以来かしら?

きっと、妹ちゃんも元気よね?


「アルおねぇ」

「あらん?丁度貴女の事を思い出していたところよん」

「うん、おひさー」

「相変わらずねえん、ええ、お久しぶり」


いつもの如くの神出鬼没ぶりには慣れたわん

壊れ掛けたまークンをたまたま居合わせた

ワタシがプロテクトを使える複合能力者で

良かったとあの時ほど思ったことはなかったわねん。


「今日は何しに?」

「うふふ、ただのお買い物よん?

組織にはまークンの事はばれていないから

安心してワタシも動いているしねん」

「アルおねぇには感謝、ありがとー」

「良いのよん、そうだわん、今度ワタシと

ショッピングに行きましょうか?

色々と買ってあげちゃうわん」

「良いの?んじゃ、コレ」

「あらん?ケータイ?」

「一応、隠蔽掛かっているから、自由に使える」

「ありがと♥次のお休みにでもれんらくするわねえん」


そう言ってワタシはまークンの妹ちゃんと

別れたわん、うふふ、ショッピング楽しみ♥




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