第13話「俺の本気」

アン、寂しい思いをさせてしまった分を

これから俺が全力を尽くす!

まずはアンに俺を見て貰わないとだな。


「アン」

「・・・ぶつぶつ」


・・・うん、何かをずっと呟いている

瞳も虚ろで周りに気が付いて無いよね

うーん、気が付せる方法、うーん、よし

俺がマイシスターアイドルプリンセス

美波里にへそ曲げられた時に使う手でいってみようか。

俺はアンに近付いていく、目の前に立つと

俺は力強くアンの華奢な身体を抱き締めた。


「・・・ふえ?」

「アン、ごめんな、俺が馬鹿なばっかりに」


片手でアンの身体を抱き締めたまま空けた手でアンの頭を優しく撫でる。


「あわわっ」

「おっやっと俺を見てくれたな、アン」


マイシスターアイドルプリンセス美波里に

語りかけるのと同じくらいの態度で

優しく、力強く、甘やかす。

アンの瞳を真っ直ぐに見つめて両手でアンの頭を優しく持ちゆっくりと額同士をくっつける。


「ッ~~~(声にならない叫び)」

「約束、《思い出したよ》」

「!?ま、ましゅみにいしゃん」

「忘れていてごめんな、でも、アンに

会いたくなかったわけじゃないんだ

ずっと会いたかった」

「っ」

「毎日、おはようって言いたかった

寝る前に隣の窓からおやすみって言いたかった」

「ま、真澄、兄、さん!」

「ずっと一緒に俺も居たかったさ

だけど、俺にはそんな事を言うだけの

資格なんてなかった」

「ちがッそんなことない!」

「アン、聞いて」


額を離してアンを見つめて、また、両手で

力強く抱き締めた。


「あぅっ」

「だけどね、言うべきだったんだよ俺もそんな我儘をさ、だからそんな馬鹿なおれへの罰だったのかな?

当たり前が無くなってしまった時に

俺は何をしていたんだろうって後悔した」

「・・・」


そっとアンが震える手で俺の背中に腕を回す

恐る恐ると言った感じで抱き締め返してくれた。

そのまま、アンは黙って俺の話を聞く。


「俺も、アンが居なくなってしまって

寂しかったよ」

「っ!!」

「ずうっとさ、隣に居るものだって思ってたからさ」


ポツリと俺の肩が濡れた。

アンの涙がポツリポツリと止めどなく溢れている。


「グスッ、う、うちっ、もっ!」

「うん」

「うちも、うぅ、ずうっと、ぐすん、うう

ずっと!」

「うん」

「寂しかったよ!!寂しかったっ!!」

「ごめんな」

「離れたくなかったっ!」

「俺もだ」

「隣にいたかった!」

「うん、俺もだよ」

「うう~」

「これから」

「ぐすん?」

「離れて居ても会いに行くから」

「真澄、兄さん!」

「もう、寂しいなんて言わせないから」


アンの目を見て俺はそう言った。

アンは顔を真っ赤にしている

アンの頬に手を添えて俺は

マイシスターアイドルプリンセス美波里に

いつものように言っている言葉をつい、

言ってしまった。


「ま、真澄兄さん?」

「愛してるよ、アン」

「?!?!?」


ボンッ!!、とアンが爆発した。

目を回したアンはそのまま腰を抜かしたようにその場に座り込む。


「あれ?アン?」

「ふ、ふふ、ま、真澄兄さんがぁ」

「アン?おい!しっかりしろよ!アーン!!」


ぐでんぐでんと力無く揺れるアン

それを見て焦る俺、そして──


「・・・お前、輪道、すげえな」

「はっ!?」


応接室のドアを開けていつの間にやら

担任の童子摩先生の姿があった

どうやら能力暴走が学園内で起きると

分かるようになっているらしく飛んで来たらしい。

しかし、いざ来てみたら俺がアンに近付いて

抱き締めているシーンに遭遇して立ち止まったところでその一部始終を目撃した訳だ。


「もう、童子摩先生、来たなら言って下さいよ」

「いやぁ、青春してる時に悪いかなってな

でも、まさか、暴走を収められるとは

おもってなかったぞ」

「それは、まあ、俺もです」


童子摩先生と話していると倒れていた

皆が起き上がってきた。


「ああー、来るのが遅ぇよ、童子摩」

「ああん?先生つけろや万場」

「他の奴らは大丈夫か?」

「うう~、僕も何とか」

「ふうー、大丈夫ですわ」

「わたくし、目眩がっ」


そう言って麗香先輩が俺の方に寄りかかってきた。俺は麗香先輩を抱き止めると安否を伺う


「大丈夫ですか?麗香先輩」

「いいえ、大丈夫ではありませんの

これは、あなた様にあ・い・し・て・る♥

と言って貰わないと良くなりそうにはありませんの!」

「あ"あ"っ!?何を考えていますか!

麗香!あたくしが先ですわよ!」


そのまま凛と麗香先輩は取っ組み合いを始める。

いや、元気ですやん。元気が有り余りすぎてますやん。

とりあえずこの二人は放って置こう。

他の人達も確認したが特に体調は崩してなさそうだ。

良かった、あとはぐでんぐでんになってしまったアンだけか


「しっかし、どうしてアンはこんなにもぐでんぐでんになったんだ?」

「「「はっ?」」」

「うん?どうしたんだ?皆?」

「えっ?いや、輪道君?さすがにそれは」

「待て、なあ、輪道、あの愛してるってのは」

「ああ、あれ?あれはさいっつも妹に言ってるけど?」


アリスが顔を天井に向け、番長が顔をしかめて片手で顔を隠す、静留が驚愕の表情で固まり、女性陣達は表情を消して冷たい目線を向けて来る。


「え?」

「さすがに無しですわ」(凛)

「ええ、魅尋さんが可哀想ですの」(麗香)

「輪道君、それはいけないわ」(符覽)

「魅尋さんが正気に戻ってもその事は言ったら駄目だよ!」(動飼)

「あーし、こんなにもにぶちんなの初めて見たし」(氷夜守)

「せ、先輩、アンちゃんにそれ言ったら駄目っすから!駄目っすからね!」(奈々香)

「いやあ、さすがに笑えんはこりゃあ」(童子摩)


女性陣に詰め寄られ怒られる俺、え?何で?

アンも俺の妹みたいなものなのに?

そう言うとペシンと女性陣に頭をはたかれる

そして聞かれた、女の子を好きになったことはあるのか?と


「ええ?いや、ハハハ、さすがに俺だって

高2だよ?」


そう言うと少し安堵の顔をされたがしかし

次の俺の言葉に周りは凍りついた。


「20歳まではそう言うのは作ったら駄目だって事くらい知ってるさ」



どうしたんだ?皆?とてつもなく驚いている

俺、何か間違ったことをいったかな?





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