第11話 スキル【微動】
そこで俺は先ほどから怯えた表情を浮かべ続ける少女に声をかける。
すると少女はこういった。
「さ、さっきから、私たちのすぐ上で、聞こえるの。何かが、、、すごいスピードで風を切っている音が。まるで獲物を狙うみたいに!風が、叫んでるの。ずっと。ずっとよ!!」
そう聞いた俺とサラは訳もわからず顔を見合わせた。するとブレイブが弾けたように立ち上がった。
「一旦、今すぐにだ。俺たちはこの馬車から離れたほうがいいかも知れない。今だから言うが、リアのスキルは、超感覚だ。人の何倍も五感が優れているから、俺たちが気づかない些細なことでもリアは察知することができる。きっと、何かが。何かがあるんだろう。」
馬車の開きっぱなしの窓から上を見ても、俺には特に何も見えない。
俺たちは馬車の御者に一度馬車を止めるようお願いしたが、予定を止めるのは自分の判断では、、、と渋られたので、ここから歩いていくと告げ外に出た。
「これで何もなかったら、俺たちは大馬鹿者だよ、、、。」
そう言う俺に、ブレイブは笑いながらこういった。
「いいじゃないか!大馬鹿者四人でも。その時はその時だ、ここから歩いて数時間だしな。歩けない距離じゃ–−−−」
そうブレイブが言葉を続けた直後俺たちの耳に聞こえてきたのは、リアの耳をつんざくような悲鳴と、今まで自分たちの乗っていた馬車が太い光に包まれるところだった。
「!?なッ!」
そして叫ぶ暇もなく、目の前に黒い仮面を被った人物が空から降りてくる。
「貴様らが離れたせいで、予定が狂ってしまったじゃないか。魔王様のため一人でも多くのヒトを、殺さなければならないのに。だがまぁ、短い延命だったな。」
そういって光をこちらに向けて放った!
「ッ!!
ブレイブがそういうと、ブレイブ自身の体が光に包まれ、放たれた光を防いだ。
だが、ブレイブを包んだ光はすぐに霧散していった。
「ほう、その年でこれを防ぐとは。面白いな。面白いが、、、それだけだ。連続での発動は、できそうにもないようだしな。確実に仕留めるとしよう。」
そういって何かを呟き出した仮面の男を、リアは指差しながら叫んだ。
「!!詠唱を、してる!今すぐとめて!止めさせて!」
魔法は、無詠唱が基本だ。だがそれは、本来100である魔法の、威力の構築というプロセスをなくすことで早く打っているにすぎない。魔法は、詠唱することで本来の強さを取り戻す。
途端に、周囲の景色がスローモションに見え始める。
このまま、また仲間を失うのか、、、?心の中で言葉が聞こえる。
俺は仲間を死なせたことなんて、ないはずなのに。
このままだと、サラも、ブレイブも、リアも。死んでしまう。
そんな事、、、あっていいはずがないッッ!!!!
「
刹那、男の声が止まり、動揺を見せる。
その瞬間を逃さないとばかりに、どこからともなく現れた深紅の髪の青年が、男の胸に剣を突き立てた。
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