27話 騎士部ー前編ー

 【ウィザード・セクト】の候補者らが集う部活騎士ナイト部の部室前にたどり着いた私たち。でも、一つ疑問に思ったことがあった。


「先輩、何故部室が校庭の森の中にある教会なんですか!?」


 そう、編入試験のときに使用した森の更に奥深くに小さい教会が存在してあり、その教会をなんと! 部室代わりに使用していることを初めて知った私は副部長のネオ・フィーネ先輩に問い詰めた。


「校長が顧問だからね。校長のお気に入りのこの教会で部活をすることになったんだって、部長が前に言ってたさ!」


 何だよそれ。校長それでいいのか……。他にも部室になる場所あったでしょうがよ〜。


「部室ないくらいならまだマシだろ」

「それはそうだけどさ〜」

「部活も神聖だから良いじゃないか!」


 ネオ先輩はそう言うが、そもそも部活内容を知らない私達はますます不安になってくる。部長も知らないし……。


「ネオ、部活は何をするんだ?」


 アノールはネオ先輩に活動内容を問いかけた。私は心の中で『よく聞いてくれた!!』とガッツポーズをした。


「見てからのお楽しみですよ先輩!」


 ネオ先輩はアノールに答え、教会のドアを押した。教会の中は女神像が真ん中にあり、その女神像を囲むようにガラスのテーブルと椅子が置いてあった。そして、三人のケストレル寮・ルーン寮・リオール寮の制服を身に纏った生徒が優雅に座ってくつろいでいた。


「部活じゃなくて、何かの会議なのでは?」


 思わず突っ込んでしまった私。それに反応するかのように、金髪のロングヘアのチャラそうなルーン寮の制服を着た男子生徒がククッと込み上げる声を抑えるように笑った。


「レオン」

「おー、すまねぇな。こいつのツッコみについな。お前ルナ・マーティンだろ? 校長から聞いてるぜ! 成績優秀で一年生なのに【ウィザード・セクト】の候補者に選ばれたってな」


 ケストレル寮の制服を着た糸目の男子生徒に『レオン』と呼ばれた生徒は、椅子から立ち上がり、私の目の前に移動してきた。


「貴方は?」

「俺はレオン・ケイン! ルーン寮の監督生で、固有魔法は『雷魔法サンダー』だぜ! よろしくなルナ・マーティン」


 レオン・ケイン先輩と握手を交わし、そのまま手を引かれなぜか抱き寄せられてしまった。私の後ろにいたアノールとセドは『あ”?』とハモった。


「ふぅ~ん。只者じゃねぇなお前。氷の使い手は稀少だ。それに魔力量が半端ねぇ。制御してつもりだろうが、俺たちにはバレバレだぞ。なぁルーカス」


 私を抱き寄せたまま後ろを振り向くレオン先輩。ルーカスと呼ばれる男子生徒は、頭を抱えた後、光の矢をケイン先輩に向かって放った。すると、レオン先輩にお姫様抱っこされながらその矢を避け、ルーカス先輩の元に移動した。


「おいおい、ルナ・マーティンもいるんだからいつも通りに攻撃するのやめねぇか?」

「はぁ……やかましいですね。それと、早く彼女を解放してあげなさい。連れの方たちが今にでも貴方を○そうとしていますよ」

「えぇー! 名残惜しいけど、ほい。これでどうよ!」


 レオン先輩はやっと私を解放してくれた。解放して早々アノールとセドは私の前にズガズガと歩いてきて私を隠すように前に出た。


「嫉妬深い男は嫌われるぜ? まぁそれはそうと、入部希望の奴はルナ・マーティンとセド・レナードか? アノールは別だもんな」

「まぁな。のために来ただけだ」

「お前兄弟いたのか?」

「いた……」


 アノールは何か言ってほしそうにこちらを見てきた。もうツッコまないよ私は。 そんな見ないでよ。何も言いたくないから。疲れるし。


「事情はまぁ聞かねぇがな。こいつに何かされそうになる前に、俺やルーカスに言えよな?」

「善処します」

「何もしない。多分」


 その多分が怖いんだよ。


「そろそろ本題に戻りますよ。さて、改めまして僕はルーカス・グレイナと申します。騎士ナイト部の部長を務めさせていただいています。副部長はネオ・フィーネです。お困りごとがあれば何でも聞いてくださって大丈夫ですから安心してください。それでは、今から部活動の活動内容の説明と、部員の紹介をしますので、席に座ってください。アノールもどうぞ」


 こうして、私たちは騎士ナイト部の説明を受けることとなったのであった。


続く

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