23話 学園生活の始まり
次の日、編入試験を合格した私ルナは、同室のマリアンヌ・アイリーンと共にファリス寮の制服を身に着け、共同スペースへ向かった。ついに今日から憧れの学園生活を送れるのだ! そして、共同スペースに向かった理由は、クラスが振り分けられている表があるため、それを見に行くからだ。表を見ると、私は一年C組らしい。
「私はC組だわ。マリアンヌはっと……」
「私もルナちゃんと一緒だ~。わ~ぁい!」
マリアンヌはそう言うと、嬉しかったのか私に抱き着いてきた。朝からこの可愛らしい子を摂取できて満足や~と思っていると、後ろから物凄い低い声で『おい』と声を掛けられ振り向くと、眠たそうにレオナにもたれかかっているセドがいた。
「今の声どっち?」
「セドちゃんよ」
「ん゛……」
声ひっっっっっっっく!! 朝弱いのかしら? だとしてもここまで低いとは……初めて見たわ。
「セドちゃんね、昔から朝が弱いの。機嫌も少し悪いけど、声が物凄い低いのよ〜。だから驚かないでね?」
「そういうことなら……」
「セド君の弱点だねぇ~」
マリアンヌの言う通りだ。いつかいじり倒してみよ~。
「あっ、レオナとセドのも見てあげようよ!」
「そうだねぇ~。どれどれ~?」
私とマリアンヌはクラス表を見て、セドとレオナのクラスを探した。
「セド・レナードはっと……一年C組」
「レオナ君は~A組だぁ~」
レオナだけ違うクラス!? なんか寂しいな。みんな一緒だったらよかったのに。
「あら、アタシだけ違うクラスね。みんな頑張ってね~。休み時間とか必ず遊びに行くから!」
「レオナ、違うのか?」
レオナにもたれかかっていたセドは小さく欠伸をしながら、レオナから離れた。どうやら声も戻っているため、眠りからやっと覚醒したらしい。
「おはよ~セドちゃん。お目覚めになられたのね」
「あぁ。すまない……」
「いいのよ! セドちゃんになら何でもしてあげるわ!」
レオナのその言葉に私は肩をピクッと震わせ反応した。これは、BLの予感がすると! セドレオなのかレオセドなのかめちゃくそ気になってしまう!
「セドのこと好きね~レオナは」
「そうよ~? アタシ、セドちゃん好きよ」
レオナは私の問いに満面の笑みで答えた。その横でセドはそっぽ向きながら『うるせぇよ……』と耳を赤くさせ呟いた。セドの反応を見てしまった私は胸を躍らせた。脈ありだと!! 私はセドレオを推すことにすると、この瞬間神に誓った。セドレオを見守っていると、ファリス寮の監督生であるエレノア・カトレア先輩が階段から降りて、こちらに向かって歩いてきた。
「おはようございます。ちゃんと寝れましたか?」
エレノア先輩は微笑みながら私たちの心配をしてくれた。朝からお美しい……。やっぱりサングラス必要だなと心の奥底で思った。
「おはようございます! 寝れました!」
「それは良かったです。クラス表見ましたか? 二年まではクラスが変わり、三年だけは二年と同じクラスで過ごすことになります」
「来年はレオナ君も同じだったらいいねぇ〜」
マリアンヌはレオナに笑いかけると、エレノア先輩はキョトンとした顔でレオナを見つめた。
「もしかして、貴方……ルナさんたちとは違うクラスになったのですか?」
「えぇ」
「たとえクラスが違っても、仲良くしてくださいね?」
「勿論だわ~!」
こうやって言っていても、内心寂しいとか思っているタイプだなレオナは。生前の頃色々見てきたせいなのか、どういう人間なのかわかってきてしまう。でも、レオナはいい人ではある。オネエだけど。
「今日から授業が始まります。皆さん頑張ってくださいね」
エレノア先輩の励ましのお言葉を貰うと、タイミングよくゴーンゴーンと鐘の音が聞こえた。授業の始まりを知らせる音。そう、この鐘の音が私たちの新しい学園生活の始まりを知らせる音でもある。
「学園生活始まりだぁ!」
私たちの新たな物語が、今始まりを告げたのであった。
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