第6話 1月14日(6日目) ハイドパークを歩きます

1月14日(6日目)


 明日の朝早く出発するので、観光できるのは今日が最後。昨日にひき続き、今日も単独行動の日だ。ところで、今日は日曜日である。イギリスでは本当に休息日であり、まるまる止まってしまう鉄道路線まである。


 もちろん休みの店が多いので、日曜にショッピングはしづらい。私は日曜もやっている(とガイドブックにはあった) 路上マーケットやレコード店、 QUEENゆかりのハイド・パーク、等々を訪れ最後はローストビーフで締め括る予定。


 初めに、見納めにもう一度 QUEENファンクラブへ行く。もちろん誰もいなかったが、昨日ドアの前においておいた日本人形はなくなっていた。誰かスタッフが持っていったならよいのだけれど。ここの光景をよく目に焼きつける。 次に来られるのはいつだろうな。 そのときまでQUEENがありますように。


 ファンクラブの近くのPortobello Roadのストリートマーケットは人気があり、日曜もやっていると 「地○の歩き方」 にあるので予定に入れた。でも行けども行けども街は閑散としている。通りががりのおばあさんに聞いてみると、 "He traditionally do not trade on Sundays.” との答え。ここのマーケット は毎日やっているが、 金・土が盛んで日曜だけやってない、とも。


 ああ、「地○の歩き方」 と話が違うじゃないの。おかげで貴重な時間を損してしまった。 気をとり直して、バスに乗りハイド・パークへ向かう。


 これ自体日本でも有名な公園だが、私にとってハイド・パークとは1976年9月にQUEENがフリーコンサートを開いた場所である。QUEENのヒストリービデオにその時の様子が納められているが、それはほんのちょっとであり、ほとんど写真でしか知らない。15万人以上のファンが集まったという。どんなコンサートだったのだろう。様子を想像しながら、ゆっくりと公園を歩く。


 それにしても広い。 日比谷公園の10倍あるらしい。 それが都心にあるのだ。 皆思い思いの過ごし方をしている。 ラグビーをする人、馬を走らせる人、「スピーカーズ・コーナー」 で演説をする人...。 子供たちがバットとボールで遊んでいる。

 

 お、これが 本場イギリスのクリケットかと近寄ってみると、どうも野球に見えてしかたない。 (クリケットの動きってよく知らないけど。) イギリス人が野球をするとは思えないから、 彼らはイギリスにいるアメリカ人の子弟、 かな?


 次はコヴェント・ガーデンへ。ここは以前市場があったところで、いまは服やアクセサリー、小物を中心としたショッピングセンターになっている。マーケットもあるし、 路上パフォーマーも集まっている。


 開いている店で、皮のポーチを買う。 屋台でふかしたポテト (約310円)を 買ってベンチで食べる。ハトが集まって来たので、ここは日本人も動物愛護精神を持っていることを見せねばと思い、 ポテトを撒く。 ハトは喜んでつついていたが、ベンチの周りは食べかすだらけになってしまった。「あの東洋人め、 街を汚しおって」とかえって悪く思われたかもしれない。


 すぐ脇の、London Transport Museum に入る。 最初私は、神田の交通博物館 のようなものと思っていた。(カクヨム用注:交通博物館の閉館は2006年)イギリス鉄道発祥の国だから、いろいろと貴重な物が見られるにちがいないと期待したのだが、入ってみると様子が違う。馬車や路面電車、バスそして地下鉄しかない。


 よーくパンフレットを読んでみてわかったのは、これはロンドン交通博物館ではなく、 London Transport (ロンドン交通局)の博物館だということ。期待とは違ったがこれはこれでおもしろかった。 友人へのみやげに路面電車や二階建てバスのプラモデルを買う。


 さあ、夜も迫ってきた。 ロンドン一賑やかなピカデリー・サーカス(サーカスとはいくつか道路が集まる円形広場のこと)にある、 大きなTower Recordへ行こう。(渋谷、横浜にもあるやつね。)ここはアメリカ資本だから、日曜もやっている。「地○の歩き方」にもやっていると書いてある。


 で、なんでやっていないのさ。これがラストチャンスなのに。(普段の日曜はやっていて今日はたまたま休みだったみたいだ。 ) なんてこったい!


 近くの Our Price (レコードのチェーン店) がやっていたので覗く。ここで QUEENのシングルCDが1枚(カクヨム用注:Scandal。一番新しいシングルのThe Miracleはなかった)買えたからよかったが、 結局レコード店にはあまり行けなかったなあ。残念。


 とうとう目的地もあとひとつ、CARVERYというレストランを残すのみとなった。 この店は10.95 ポンド、チップもいれて約12ポンド (2880円) でローストビーフやローストポークが食べ放題の穴場。


 今回のツアーの現地スタッフに教えてもらったもので、たぶんガイドブックには載っていないと思う。この値段でローストビーフが食べられる店はなかなかないのでは。皆さんにもお薦めします。(地下鉄 Marble Arch駅下車 Hotel Cumberland 1階)(カクヨム用注:The Cumberland Hotelは現存しますが、The Carveryというお店は現在は当該地にはないようです)


 E君とロビーで会い、最後の夕食。 おいしかったけれど、 疲れ果てていて、 途中で睡魔に襲われフォークを落とす始末。こうして最後の夜も終わった。


※第7話(最終回 7日目・8日目)は23日朝8時公開。とうとう帰途へ。

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