Track.3 「先生」

 自分は、いつからか小説を書くときに「絶望の中にも希望を少しだけ織り交ぜよう」と決めていたと思う。

 

 それは物語のキャラクターに救われてほしかったし、物語を創造した自分自身が救われたいと思っていたから。

 それに「そんなただ暗いだけの話を読みたい人なんていないんじゃね?」と思ったことがきっかけだった。

 けれど、最近感じたこととしてはどうやらそうでもないみたい。


 意外と頭からケツまで真っ暗でなんも見えん、みたいな作品を求めてる人って一定数いそう。そんな気がする。

 カクヨムでわかりやすく希望のない話を書いている人もいるけど、それはそれで面白いし尖った魅力があるし。自分も、心をえぐってくるナイフみたいな作品の力に美しさを見出すことあるし。


 音楽でいうと、Lyu:Lyuリュリュ がそう。

 

 CIVILLIANシビリアンってバンドがおりまして、そのバンドが改名する前は「Lyu:Lyu」と名乗っていてですね........。

 どっちも好きなんだけど、Lyu:Lyu の方が負のエネルギーがやばい。絶望の集大成みたいな音楽。

 

 どれくらいやばいかっていうと、タイミングによっては聴いたことを後悔する。

 負のエネルギーが強い作品を喰らうと、こっちが影響受けてネガティブが加速するからね。用法用量タイミングは守った方がいい音楽。


 ボーカルであるコヤマヒデカズさんの「世界に対する剝き出しの敵意」がえぐくて、普段から悲しいこと考えやすい人ならより感じやすいと思う。

 実際、自分も「一言一句違わずまったく同じこと考えたことあるわ」って共感したことあるし。

 わざと気分落としてガッと上げたい時とか、感傷的になって日頃の膿を出しておきたいなって時には非常によい。


 「メシア」「彗星」とかメジャーどこも好きだけど救われなさでいくと「先生」が好きだな。


 「先生」から始まるサビの歌詞、悲しすぎるもの。

 こんなん聴いた日には、この世に生まれ落ちたことそのものを後悔するよね。

 ちなみに先んじて言っておくと、この曲に救いは最後までありません。

 明確な希望が示されることなく、この曲は絶望で終わります。


 「いやいや、そんなんつらすぎるやん!」って人は、そもそもLyu:Lyu 向いてないかもしれん。........WANIMA とか聴こう!

 強いて言うなら、この曲の救いは間奏のギターくらいかも。慰めてくれてる感じしませんか、あの音色。


 美味しいもの食べても、友達と話してもどこか満たされない部分がある。

 自分はそういう時に、Lyu:Lyu を流しながらとびきり暗い小説を書いています。

 

 

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